銀杏と木枯らし一号と銀杏かぶれ(その1)
ある会社に出向し、初めての長岡出張所の開設に深くかかわった。まだ、正式の事務所は無くて古い、国鉄時代の線路班の建物が仮事務所として使用された。その古い平屋建ての建物のすぐそばに大きな銀杏の木があり、事務所の屋根を半分も覆うほどに成長していた。大先輩の一人は「俺たちが植えたのだが大きくなったなー」と感慨深そうに語った。
二シーズンを過ごしたが、最初の晩秋か初冬だったかの時期に驚かされた。陽の短い季節で、事務所内には明かりをつけて残業をしていた。風の音が強くなったと感じ始めて間もなく「バラバラ」と言う大きな音に驚かされた。
なんと、たわわに実を着けて屋根を覆っていた銀杏の枝々から、強い風、木枯らし一号に揺すられた実が屋根のトタン板を激しく叩くように落ちたのだった。いくらでも拾えたが、満員電車の車内に持ち込むこともできない。日を改めて自動車で出勤し、大量に持ち帰った。
さて、ご存じかも知れないが、銀杏は危険な要素も持ち合わせている。正式には「ギンナン接触性皮膚炎」で通称「銀杏かぶれ」です。他の植物、ウルシなどもかぶれることが知られているが、体質的に強い人、弱い人といます。
(続く)