雪消え時には春を待っていたかのように、カタクリやキクザキイチゲの花が咲いていた。
それら、地表に生えて咲く花は終わりを迎え、木々に緑が戻り、次には樹上に花が咲き始めた。
今は藤の花盛り。どこを見ても紫色の鮮やかな色が目を奪う。
昔は、藤などの蔓性の植物は巻き付いて木々を枯らすので嫌われて着られるのが普通だった。
誰も山に入らなくなり荒れ果てた象徴かもしれない。
山で雑木を切って薪、燃料として使っていたのはそんなに昔の話ではないのだが。
藤の花に次いで目立つのがこの白い花。
「アンニンゴ」の花です。木は「ウワミズザクラ」とか「ウワミゾザクラ」と呼ばれる。
花穂と呼ぶ房状のつぼみかは、根元のほうから徐々に白く開いていく。
まだ、花が開かない、蕾状の花穂を塩漬けににして食べる習慣もあります。
香りとかすかな苦みが雪国の人に好まれる。我が家では赤飯に乗せることもあります。
そして、このアンニンゴの木は、古くは「鉈柄(なたづか)」とも呼ばれ、粘り強く折れにくいので刃物の柄として使われたのです。
着られなくなった雑木の例にもれず、山には多く生えていて、この季節はあちらこちらで白く開いています。