一度『ドル箱』に足を掛けて打ってみたかった(その2)
でも、出玉率と言うかお客を儲けさせるのも、パチンコ屋経営者または釘師と呼ばれた人たちの<
調整も有ったには違いない。事実、既営業のパチンコ屋の近くに新規開店したときなど、
客寄せのためか普段よりも出玉率が明らかに良くなったものでしたから。
某駅前に新規開店したときは、お客が大喜びしました。
普段よりも明らかに出るようになったのでしたから。仲間は終業を待って隊列を組んで押しかけたものです。
その新規開店して間もない店に貴重な休みの時間を割き、朝の開店から入ったことがあった。
始めて間も無く、弾いた球が勢いよく、穴に吸い込まれ、チューリップと呼ばれる大きな誘導扉が開きっぱなし状態。
その頃の機械は半自動式と言うか、自分の指で弾を込める必要は無く、
上皿から自動的に弾くバネの先端に落ち込む仕掛けだった。
だから、労力も節減され左手でせっせと球を送り込む必要も無くなっていたのでした。
調子よく打ち続けると、下の球の受け皿がすぐに一杯になる。でも、この球を掻き出すタイミングも微妙で、
そこでリズムが崩れることさえありました。その日はそんなことは全く関係なく、出始めたら止まる気配も無かった。
すると、店員が近づいてきて耳元でささやく。「お客さん、換えないでくださいね」なんて言う。
店にしたら、どんどん出ている機械は宣伝にもなる訳で、いわばその日の目玉商品のような物。
それをすぐ景品に換えられたりしたら折角の店の作戦も功を奏さない事になりますから。
ささやくのみならず、親切にも下の受け皿からプラスチックの玉入れ箱に移してくれたり、
その箱も一杯になると、とうとう木製の大きな箱、通称「ドル箱」を足元に持ってきて移し替えてくれる。
そして、球の追加のたびに「〇〇番さん追加です」と放送がながれる。その番号の呼び出しが、
続くものだから他のお客がのぞきに来る。
出玉無制限とは宣伝で謳ってはいても、10,000発出し切ったところでストップがかかりました。
でも、パチンコを始めた際に夢に見た「ドル箱に足を掛けて打つ」をとうとう実現させた一日は忘れられない。
(終わり)