暗い場所だった
日の差さぬじめじめした・・・そこへ何かが集まってきていた
「黒い龍をどうにかしなくてはいかん
われらの身の破滅に繋がる
何か弱味はないか」
「育ての父親 コンビ組んでる相棒
但し下手に刺激して覚醒されると厄介だ」
「奴の後見は ミリオンだ
あの妙な吸血鬼
吸血鬼のクセに血を吸わなくても平気なんだ」
「それは今の黒い龍も同じだろう
転生し 血を必要としなくなってる」
「厄介だ
あの至上最強吸血鬼ミリオンがついているのは」
「16で天才科学者と言われた人間で 人生に絶望し自殺諮り 親戚と親交あった女吸血鬼に助けられ19で 吸血鬼になる
吸血鬼になっても色々と妙な研究を続け
自分の血を与えた恋人が狂うと それを救う為 時間跳躍の研究すらモノとしちまった」
「吸血鬼なら血だけ吸っていればいいのに」
「まったくだ」
「で どうなったんだ 恋人は救えたのか」
「吸血本能だけになっちまった恋人を眠らせて 大元修正に出たそうだ
時間の跳躍重ねながら 何しろ不老不死 時間は 有り余っている
旅の途中 拾った子供を養女にして
遂に時の果てに立つ神に会った―という
そのセシアンなる神は盲目であったのだとか
奴は言ったそうだ 「心まで盲目になるんじゃない」
ミリオンの養女はセシアンの世話をするため 時の果ての地にとどまり
ミリオンは滅亡に向かう地球の歴史を過去に溯り 修正する作業に取組んでいるそうだ
転生する前の黒い龍は妖怪 化け物 怪談についての研究をしていて その時代にミリオンと暫く旅している 」
「なんとも なんとも」
「こちらへ引き込めれば 最高の味方なんだが」
「さよう われらのように ころころ態度を変えて裏切らぬゆえ」
その発言をした怪物は周囲から殴られた
「味方なら最高なんだが」とは ここに集ったモノ達皆の思いで 敵に回せば 最悪―なのだった
「龍の相棒に通じる神社の姫巫女は」
「やめろ ありゃ 真姫(魔姫)に繋がっている」
「異次元の怪物で最強最凶なのを従えている・・・
あれには以前ひどい目にあった」
「ただちょっと人間にとりついたり 食べてみたり モノ壊したりするだけの―」
「つつましく存在する我等なのに」
「ひそめる闇も減ってきたし」
共通する敵をどうにかやっつける為の闇のモノ達による集まりは だんだんぼやき大会へて変化していく
彼等は単純で案外感激屋な善良な部分もある
ただ時に凶悪な意志を持つモノが出現し 周囲はそのモノに引摺られたりする
案外 人間社会に似ているかもしれない
やがて夜明けが近付き彼等は 各々の縄張りへ戻って行く