夢見るババアの雑談室

たまに読んだ本や観た映画やドラマの感想も入ります
ほぼ身辺雑記です

「姫の宿」―1―姫御前との遭遇

2007-10-24 22:38:34 | 自作の小説

市街地にしては閑静な場所に聡明女学院は位置する
駅からの大通りより やや北東に貴恋山(きれんさん)があり その中腹に姫御前神社 足元に聡明女学院があるのだった

中等部と高等部 六学年

余程アホでない限りエレベーター式で行ける大学はバス停で三つ先の風姫山(ふうきさん―とも かぜひめやま ―とも呼ばれる)の麓にある

かつては大和(やまと)女学園と並び 名門女子校 お嬢さん学校として名を馳せたものだ

いや・・・現在も多分そうなのだろうが 案外在校生達は そういうふうに見られていると聞いたら「げ・・・」と言うかもしれない
そんな生徒がいる
勿論例外かもしれない そうであってほしい

嫌いな科目は無視し好きな科目なら授業した教師の言葉 授業中に何があったかまで覚えている・・・偏った記憶力の持ち主がいる

何故か下級生から上級生まで人気があり バレンタイン・デ―のチョコレートは毎年増える一方
学園祭前には アニメキャラクターのコスプレに参加を求められ 上級生から強引にさらわれそうになったこともあるらしい

藤衣(ふじい)なつきと言う
少年めいた外見の凛々しい感じの女の子だ
写真部に所属している

その友人で上級生から{聡明のクレオパトラ}と呼ばれるのが 香月(こうづき)さやか
東大を目指す才色兼備 なよっとせず きりりとした美貌だ

文芸部に所属する

姫御前神社の神主の娘 安倍すずか

おっとりとした美少女
美術部に所属する

三年間 中等部で同じクラス

名前が皆平仮名なので相性が良いのか クラブは違うのに仲がよい
たいてい三人つるんでいる

目立つ三人なのだった
事件起きれば 真ン中にいる事も多いので 担任泣かせでもある

その日 自主的な部活動で なつきはデジタル一眼レフ
さやかはメモ帳
すずかはスケッチブック持ち 貴恋山にいた
それぞれ クラブの為の作品づくりの行動であったのだ

三人の共通点としては 漫画と本好きであろうか

好きな分野は異なるが
あと三人とも「踊る大捜査線」のファンなのだ

三人は決して事件を呼んでいるわけではない
しかし・・・事件が寄ってくるのかも・・・しれない

カメラを構えていた藤衣なつきは 何かの気配に つい習慣で蹴飛ばしてしまった

と男がドサリと倒れる
痴漢か?と思ったなつきだが よく見れば男の服は血に染まっていた
「おい あんた大丈夫か?」助け起こすと男は「女が・・・」と言って息絶えた

作業服 多分中年

「何か声しましたけど大丈夫ですの」絵筆持ったまま 安倍すずかが現われた
黒目がちの目が愛らしい
長い髪は校則で三つ編みにしてあった

「ほぼ死体が確実死体になった」と答えるなつき

遅れて 香月さやかが姿を見せる
「死体って穏やかじゃない言葉が聞こえたぞ」

「女―って言い残して死んだんだ」と答えるなつき

さやかは眉を上げた「ダイイング・メッセージが女? なつき胸触られたの」

「なっ・・・なんで そうなる」この~って表情になるなつき

彼女には制服を着ていて 子供から「有難う おにいちゃん」と言われ 私服で女子トイレに入ろうとして不審人物に見られた―また「男子トイレはあっちよ」と注意された前科がある

二人を押さえてすずかが言う「まぁまぁ 漫才してないで ここは警察ですわ」

名前 住所 身分 電話番号
繰り返し聞かれた後 すぐにサイレンの音が聞こえてくる

それもそのはず 警察署は聡明女学院の南向かい側で 消防署も二つ北向こうの交差点にある

香月さやかの父親は殉職していて その近くの警察署の捜査一課にいた

で顔見知りの山本一男が 背の高い若い男と 制服警官達と共に現われた

さやかはぺこりと頭を下げる

さやかの友人という事で 山本はなつきとすずかの事も知っていた
だから駆け付けてきてくれたのかもしれない
身分証明の写真をドラマのように律義に若い男は見せた
それによると名前は雅(みやび)京四郎

三人の生徒手帳で確認し 死体になった男と遭遇した様子と事情を ひどく生真面目に質問している

山本は雅に任せていた
そうこうしているうちに 三人の担任 長崎薫と学年主任 大島千恵子が現れた

生徒よりも初々しい雰囲気を漂わせ 壺井栄の小説「二十四の瞳」からとり 大石先生と陰で呼ばれている

大島先生は長崎先生より僅かに背が高い
いつもてきぱきした感じで歩いている

三年間 三人の担任している長崎先生も学年主任の大島先生も大変だ

「怪我はありませんでしたか あなた達」これは長崎先生

挨拶と紹介が済んだ頃 鑑識も検死もほぼ仕事が済み 死体に見覚えないか確認するように言われた

すずかは首をかしげ 思い当たる事がありそな雰囲気

先に大島先生が言った「おそうじおじさんですわ 貴恋山を散歩がてら掃除していて 名物おじさんとしてタウン紙の取材受けた記事を読んだ事があります」

「父と話しているのを見たことがあります」と すずかも言った

すずかの父が神主な姫御前神社は近いので 警官が呼びに言った

程なく現れた痩せて背の高い男が すずかの父の涼明だった

「高木光男さんです 病気で入院して退院後リハビリかねて散歩を始め ついでにゴミ拾いもしてくれて
以前の職業柄 辺りの歴史についても話し込んでいくことも多かったですね
ああ彼 歴史を教えていたんです
わたしとは地元の中学の同級生でした」

あっさりと死体の身元は判り 涼明に住所も教えてもらい 確認の手配がされた

念の為 それぞれのアリバイが質問される
書類作るのに警察署へ行くことになった
「パトカーの中って こんなふうなんだ」
キラキラした目で なつきは見回している
山本はニコニコし 雅は呆れていた

殺人事件に遭遇したのに何なんだ こいつらは―と 思っているのである

古今のミステリー作品読破に燃えるさやか
ホラー オカルト 怪談 恐怖小説 そういう類いの映画
失神者続出という恐い映画も つっこみどころ捜して大笑いしながら見るなつき

父の仕事の関係か醒めた神経持つすずか

三人娘は 少しだけ普通じゃないかもしれない

調書へのサインも終えて出てきた娘達をそれぞれの家族が迎えた
すらりと背が高く宝塚の男役めいた雰囲気があるのが さやかの母 香月あやか 親の代からの歯科医

背は変わらないが 丸みを帯びた体つきなのが なつきの母 みづき

すずかは涼明がそのまま待っていた

翌日 三人は塀を境に隣接する男子校の校舎を眺めながら 彼女達の穴場的場所で 事件について話し合い 学校ではゆっくり落ち着いて話せないということで 放課後

姫御前神社に集まる事にした

姫を祭った建物横のでっぱりが ベンチ代わりに丁度良いのだ

掃除は省エネ(つまりは手抜き)で済ませ 下駄箱ダッシュ

建物横に落着くと すずかが爆弾発言をした「この山の何処かに埋蔵金があるのですって」

「舞い雑巾 それは器用な」と真面目にボケるなつき

なつきのボケを冷たく黙殺し さやかが尋ねる「殺された人は 散歩がてら掃除して埋蔵金も捜していたと?」

「相談受けて父も 残る古い記録など ひっくり返して探したけれど 場所を書き記したものは無かったって

埋蔵金はマニアになると かなり熱くなるらしくて
父はそのあたりの事を心配していたわ」
眉を寄せてすずかが答える

「古い記録なら 案外お寺なんかにあるもんだけど」さやかは 何やら考える様子

なつきは関係なく「はら減った」と呟く 「埋蔵金なんて どうでもいいさ~ 」

自分達で犯人が見つけられるなんて思い上がってはいない
ただ何かしないと 死んだ男の死に顔に捕まり そこで止まってしまいそうな三人娘なのだった

あ~あ と 欠伸した なつきの動きが止まった

なつきとは違う声が話し出す

「やれ うるさや まだ埋蔵金など とり騒いでおるのかや」


森 薫 作 「エマ」6 7 8巻 株式会社エンターブレインコミック編集部

2007-10-24 20:41:21 | 本と雑誌

森 薫 作 「エマ」6 7 8巻  株式会社エンターブレインコミック編集部
森 薫 作 「エマ」6 7 8巻  株式会社エンターブレインコミック編集部
森 薫 作 「エマ」6 7 8巻  株式会社エンターブレインコミック編集部
英国を舞台にメイドのエマの恋が身分違いという障害を越えて叶うまでが6・7 巻
8巻から先は周囲の人間を描いた外伝になります

悪い意味で貴族らしい貴族―自分は何しても構わない 家族でさえ自分の邪魔をしてはいけない
自分より身分の低い者に存在価値はない― である子爵の悪役ぶりが 大きな障害として物語を盛り上げてくれます

フライパンで十回ばかし力一杯殴って 蹴飛ばし 思い切り踏んづけてやらにゃあ!と思うよな イヤミなオッサンです

8巻でのケリーさんの短い結婚生活での楽しい思い出

ふられたエレノアが立ち直るまでの物語

いずれも作者が好きで描いているのだな―と読んでいて感じる作品ばかりです

ここからは余談です(笑)

大手前公園近くに他の書店では置いてないようなオタク系のコミックス マイナー系の雑誌でも 昔から置いてある本屋さんがあります

「エマ」を他で捜しても無かったので 今日 仕事の研修会が早めに終わったのを良いことに行ってきました

願いは叶い 置いてありました

さすがは黒○書店♪
願わくば いつまでも潰れないで営業して下さい!


朝からカレーになりました

2007-10-24 09:54:44 | 子供のこと身辺雑記

朝からカレーになりました
午後から夕方まで仕事の外せない研修会があって 夕食用のカレーも朝から作ったのですが
父に「何食べる?」と尋ねたら「カレーがいい」と

朝用おかずも作っていたのだけど

父は食欲無い時でも カレーライスなら食べられる人

一日カレーになっちゃうけど どうしよ^^;

おやつ代わりの煮豆(金時豆を圧力鍋で煮ました)も ついでおこうかな

さあて何を作りましょ