北欧の魔女の組織「黒い城」
それがろくな物じゃないと知ったクロディアスは 黒い城に入り込んだ
ある種の力を持っていたらしいクロディアスは組織の中で頭角を現し しかも外部との連絡宜しく 黒い城を壊滅状態へと持っていくが 落命した
ミリオンの母は行方不明になったイトコのクロディアスを捜しにきて 命を狙われる
恋人に助けられ渡仏するが 黒い城の残党は忘れたわけではなかった
クロディアスに生き写しの顔を持つミリオンにも ある能力があり しかも彼が天才と知り
奪いにかかった
その為 ミリオンの両親は死んだのだ
彼は その時代はジプシ―であったジェルマータに救われ育てられた
廃墟のような館で暮らし始めた頃 いきがかりで日本人を滞在させることになった
緋衣隼人(ひごろも はやと)彼はミリオンの死んだ父に似ていたのだ
その隼人を訪ねて彼の婚約者の女性と 隼人の弟 未久也が現われる
隼人は腹違いの弟 未久也が婚約者を好きな事に気付き 日本を出たのだったが
隼人の婚約者である娘は病気で長くなく 死ぬ時は愛する人の傍らで―と追いかけてきたのであり
遂に死ぬ
黒い城の残党の襲撃あり 隼人も未久也も死に
呪われた身とミリオンも銃口を自分に向け 引き金を引いたが―
クロディアスに遺言で頼まれていた毛色の違う特殊な友人が 間一髪 彼を助けた
ソブラリアと言う名前の素晴らしい美女は クロディアスとの約束を話し 傷の癒えたミリオンをわたしの父の所へ連れてきたのだ
ジェルマータは占いの腕を生かし そこそこ名前が売れていた
そしてわたしは自分自身の状態も 本当のところ 判っていなかったのだ
父は病弱なわたしを神経質なほどに守り ミリオンと二人での研究に望みをかけていた
それは全てわたしの為だった
わたしが元気に普通の人として過ごせるようになる為の
ジェルマータは優しい人だったのだと思う
ミリオンの事も愛していたし わたしのことも気遣ってくれていた
けれど彼女は組織の呪縛から逃れられず
再び 父の研究とミリオン奪取に襲撃してきた組織「黒い城」から彼を庇い 死んだ
ジェルマータは同じ女性でありながらクロディアスを愛していた
クロディアスの面影宿すミリオンの事も
クロディアスを通じて特殊な友人ソブラリアとも親交があったのだ
「クロディアスは北欧神話の女神のような女性だったわ
賢く凛々しく強く優しく そして愛と正義の人だった
わたしは彼女と約束したの
黒い城からイトコを守ること
けど守りきれず
だからクロディアスが生まれ変わったような顔のミリオン
あの子だけは守り通したかった
本当は あの子が 黒い城のリーダーになってくれる事が夢だったのだけれど
黒い城は 最初の目的から離れ 権力志向 裏切りは許さないおぞましい組織に変わってしまった
ロウィーヌ わたしの天使さん
明るい綺麗な金髪 波打ち
輝く青い瞳
いつか貴女が元気になれる日がきますように」
死ぬまでの数日 わたしは彼女を看病した
ジェルマータは 黒髪に藍色の瞳の女性だった
水晶玉の見方 タロットカードの扱い方
ゲームでのインチキのやり方
思い出せば つい笑ってしまう言い回しとか
いっぱい いっぱい 彼女から教わった
わたしを元気にする為の研究で 父が毒の副作用で 健康を害し
ゆえに わたしに余り近付かないようにしていたこと
ミリオンが飲み込んでいた様々の事情
年齢はさほど違わないのに ミリオンは わたしより 随分と大人なのだった
ジェルマータが死に 数日おいて わたしの父が亡くなると ミリオンは尋ねた
「君は生きたい?」
彼は どう研究しようと どんな計算をしようと 人間のままでは わたしを助けられない
時間が足りないのだと気付いてしまっていた
ミリオンに残された選択は
「ロウィーヌ 君 僕を愛せる?
ずっとずっと二人で生きていけるかな」
緑の瞳が わたしを見つめていた
「わたしを一人にしない?」
「うん・・・」
頷くと彼はわたしを抱き締めて
あの夜 あの瞬間に ミリオンは 吸血鬼となることに決めたのだ
わたしの為に
わたしを死なせない為に
クロディアスの特殊な友人ソブラリアは 吸血鬼だったのだ
ソブラリアは その類い稀な美貌 才気から クロディアスをこそ 仲間に加えたかった
けれど人として生きることを愛していたクロディアスは 誘いを拒み
いつか自分の血に連なる誰かを 救えるならば救ってほしいと頼んだ
約束通りソブラリアは ミリオンを助けたけれど 意志を尊重し 無理矢理仲間に加えたりはしなかった
ソブラリアは随分長く生きてきて やたら血を喫まなくても平気な吸血鬼でもあった
長く存在する分 濃く強い血を持っている
ひどく妖艶な女性で 濃く長い睫毛が印象的だった
ミリオンとわたしは ソブラリアの持つ館の一つを訪ねていった