夢見るババアの雑談室

たまに読んだ本や観た映画やドラマの感想も入ります
ほぼ身辺雑記です

「眠る記憶の底から・3」

2007-10-19 21:51:46 | 自作の小説

高い塀の内側は香り高い薔薇に包まれていた
四季咲きの紅い薔薇
中庭には黄色やピンク 白やオレンジの薔薇も咲いていたけれど 濃く紅い薔薇が ほぼ建物を取り巻くように咲いているのだった

余り体を締め付けない優雅なドレスを着たソブラリアは 薔薇の香料入りの紅茶を大抵味わっていた

「ワインもいいけれど 年を重ねると 温かさが嬉しくて」と微笑む

見掛けより随分気さくな人なのだった

十字架 陽光 生きて行く上で 気をつけないといけないもの
してはいけないこと

注意を言う彼女は わたしが吸血鬼として生きていけるのか
心配しているようでもあった

「あたくしはね 眠っている事の方が多いの
動くのが億劫で

このまま薔薇になれたら―と よく思うのよ」

窓ガラスに月光の踊る夜
まずミリオンが そしてわたしが 儀式を受けた

ソブラリアの血が わたしのの体を流れる
彼女の膨大な記憶が流れこんでくる

部屋が回る

「おのみなさい」と彼女が言った

「その歯で あたくしの皮膚を食い破るの」

滲む血 紅く浮き出る
「それをのむの 口つけて 大丈夫
頑張って」

白い肌に浮かぶ血 包みこむような優しい声

十日間 わたしは眠り続けたという

儀式を終えたソブラリアも地下室で永い眠りに入っていて
わたしの傍には 心配そうな顔をしたミリオンがいた

わたしは彼の手を取り それから二人の旅が始まったのだ


東野圭吾著「名探偵の呪縛」講談社文庫

2007-10-19 21:18:39 | 本と雑誌

東野圭吾著「名探偵の呪縛」講談社文庫
東野圭吾著「名探偵の呪縛」講談社文庫
名探偵はいつ死ぬのか
ファンがいなくなった時

本格推理
本にこの言葉がついているだけで わくわくしたのは いつの頃だったか
母の本箱にあった高木彬光 横溝正史
高校時代 昼ご飯はヨーグルト1コにして 残りは全部本代に化けた

創元推理 ハヤカワミステリ 角川文庫 春陽文庫
小栗虫太郎の分厚い本を見つけた時は 嬉しかった

エラリー・クィーン コナン・ドイル モーリス・ルブラン
カーター・ディクスン

アガサ・クリスティ

それから新本格の時代が大量生産でやってくる
読みはした
厚さにも堪能した
熱気も判った

けれど 何処か ずれていく 外れている感じも否めなかった

馬鹿馬鹿しくていい
名探偵に会いたいのだ
みんなを集めて さてを言い

そんな場面を読みたいのだ

と思った

余りな特殊知識ばかりが必要で 普通に生きている人間の知識うちで解ける謎 事件はないのかと

「名探偵の掟」に出てきた 探偵 天下一を名乗るしかない男
彼が気付き取戻した気持ち

密室 トリック やたら複雑でわざとらしく絡み合った人間関係
それも悪いものではないんだよ

わくわくするような話を待つ 読者もいるのだと 書き手に知って欲しいです

眉間に縦皺寄るばかりの本は面白くないのです

負けるな名探偵 頑張れ推理小説

そんな気持ちを取戻し また懐かしくもなる つくり の 本です


少し前の事件で

2007-10-19 18:43:36 | 子供のこと身辺雑記

以前知っていた人が住んでいるアパートがニュースで映り 驚いたし 続報が無いので 犯人は捕まったのか
どうなんだろう と 知った場所だけに気になっていた

事件は―そのアパートの1階に住んでいた90才ぐらいの女性が殺された―というもの
近所の店で (誰かに)貸した金を返して貰えない
そう悔やんでいたらしい
困っているのだと

死体には布団がかけてあったとか

死に顔を隠してあることから顔見知りの犯行か?などとの推測が記事にあった

で 今日の夕方 「そちらのお客さん ○○さんの事で 話を伺っていいですか」
って捜査一課から電話が入りました

○○さんって言うのは 去年の連休前後に行方不明になって
その後 私も入院し 入れ替わりに母も入院して そのままになっていたのですが

家に来た刑事さん 二人
お約束の身分証明の印も見せていただきました

何の事件について調べているかは教えていただけませんでしたが
○○さんは以前 殺された女性と同じアパートに住んでいましたし ご両親も 私が知っていた頃には 同じアパートの二階に住んでおりました

地道な聞き込み捜査なのだろうと思いますが
連絡のできなくなっていた相手だけに
何処からこちらの名前が上がったのだろうと驚きました

どういう事情 成り行きであったのか 不思議でなりません


通販でのお買い物♪

2007-10-19 14:55:48 | 子供のこと身辺雑記

通販でのお買い物♪
通販でのお買い物♪
通販でのお買い物♪
通販でのお買い物♪
JAあまるめって山形にあります
娘が そこのしそ巻き(中にお味噌が入っています)を好きなので ごくたまにお願いするのですが
季節で商品紹介の案内が届きます

今回は定番の しそ巻きの他に {つくってみよう「山形いも煮」} と「玉こんにゃく」など買ってみました
玉こんにゃくは温めるだけ
ダイエットにもよさそうです
二袋で五百円 値段も手頃

いも煮は 届いた商品に白菜やネギなど買い足して作ってみました
里芋 きのこ お肉 こんにゃく あつあげ 酒粕など
材料が微妙に違って 味噌味の庄内風と 醤油味の山形風とあります

JAの通販は他にも栃木で こちらはちょっと美味しい苺があります

母は余り買い物に出ないので 通販カタログが届くと 孫が喜びそうな商品を捜すのが 好きな人でした

親戚の誰某に この季節になったら あれ送っておいてね―と

人の喜ぶ顔を見るのが 好きな人だったのでしょうね


「眠る記憶の底から・2」

2007-10-19 13:47:56 | 自作の小説

北欧の魔女の組織「黒い城」

それがろくな物じゃないと知ったクロディアスは 黒い城に入り込んだ
ある種の力を持っていたらしいクロディアスは組織の中で頭角を現し しかも外部との連絡宜しく 黒い城を壊滅状態へと持っていくが 落命した

ミリオンの母は行方不明になったイトコのクロディアスを捜しにきて 命を狙われる

恋人に助けられ渡仏するが 黒い城の残党は忘れたわけではなかった

クロディアスに生き写しの顔を持つミリオンにも ある能力があり しかも彼が天才と知り
奪いにかかった

その為 ミリオンの両親は死んだのだ

彼は その時代はジプシ―であったジェルマータに救われ育てられた

廃墟のような館で暮らし始めた頃 いきがかりで日本人を滞在させることになった

緋衣隼人(ひごろも はやと)彼はミリオンの死んだ父に似ていたのだ

その隼人を訪ねて彼の婚約者の女性と 隼人の弟 未久也が現われる

隼人は腹違いの弟 未久也が婚約者を好きな事に気付き 日本を出たのだったが

隼人の婚約者である娘は病気で長くなく 死ぬ時は愛する人の傍らで―と追いかけてきたのであり
遂に死ぬ

黒い城の残党の襲撃あり 隼人も未久也も死に
呪われた身とミリオンも銃口を自分に向け 引き金を引いたが―

クロディアスに遺言で頼まれていた毛色の違う特殊な友人が 間一髪 彼を助けた

ソブラリアと言う名前の素晴らしい美女は クロディアスとの約束を話し 傷の癒えたミリオンをわたしの父の所へ連れてきたのだ

ジェルマータは占いの腕を生かし そこそこ名前が売れていた

そしてわたしは自分自身の状態も 本当のところ 判っていなかったのだ

父は病弱なわたしを神経質なほどに守り ミリオンと二人での研究に望みをかけていた

それは全てわたしの為だった

わたしが元気に普通の人として過ごせるようになる為の

ジェルマータは優しい人だったのだと思う
ミリオンの事も愛していたし わたしのことも気遣ってくれていた
けれど彼女は組織の呪縛から逃れられず

再び 父の研究とミリオン奪取に襲撃してきた組織「黒い城」から彼を庇い 死んだ

ジェルマータは同じ女性でありながらクロディアスを愛していた
クロディアスの面影宿すミリオンの事も

クロディアスを通じて特殊な友人ソブラリアとも親交があったのだ

「クロディアスは北欧神話の女神のような女性だったわ
賢く凛々しく強く優しく そして愛と正義の人だった

わたしは彼女と約束したの
黒い城からイトコを守ること

けど守りきれず
だからクロディアスが生まれ変わったような顔のミリオン
あの子だけは守り通したかった

本当は あの子が 黒い城のリーダーになってくれる事が夢だったのだけれど
黒い城は 最初の目的から離れ 権力志向 裏切りは許さないおぞましい組織に変わってしまった

ロウィーヌ わたしの天使さん
明るい綺麗な金髪 波打ち
輝く青い瞳

いつか貴女が元気になれる日がきますように」

死ぬまでの数日 わたしは彼女を看病した

ジェルマータは 黒髪に藍色の瞳の女性だった

水晶玉の見方 タロットカードの扱い方

ゲームでのインチキのやり方

思い出せば つい笑ってしまう言い回しとか
いっぱい いっぱい 彼女から教わった

わたしを元気にする為の研究で 父が毒の副作用で 健康を害し
ゆえに わたしに余り近付かないようにしていたこと

ミリオンが飲み込んでいた様々の事情

年齢はさほど違わないのに ミリオンは わたしより 随分と大人なのだった

ジェルマータが死に 数日おいて わたしの父が亡くなると ミリオンは尋ねた

「君は生きたい?」
彼は どう研究しようと どんな計算をしようと 人間のままでは わたしを助けられない
時間が足りないのだと気付いてしまっていた
ミリオンに残された選択は

「ロウィーヌ 君 僕を愛せる?
ずっとずっと二人で生きていけるかな」

緑の瞳が わたしを見つめていた

「わたしを一人にしない?」

「うん・・・」
頷くと彼はわたしを抱き締めて

あの夜 あの瞬間に ミリオンは 吸血鬼となることに決めたのだ

わたしの為に
わたしを死なせない為に

クロディアスの特殊な友人ソブラリアは 吸血鬼だったのだ

ソブラリアは その類い稀な美貌 才気から クロディアスをこそ 仲間に加えたかった

けれど人として生きることを愛していたクロディアスは 誘いを拒み
いつか自分の血に連なる誰かを 救えるならば救ってほしいと頼んだ

約束通りソブラリアは ミリオンを助けたけれど 意志を尊重し 無理矢理仲間に加えたりはしなかった

ソブラリアは随分長く生きてきて やたら血を喫まなくても平気な吸血鬼でもあった

長く存在する分 濃く強い血を持っている

ひどく妖艶な女性で 濃く長い睫毛が印象的だった

ミリオンとわたしは ソブラリアの持つ館の一つを訪ねていった


「眠る記憶の底から・1」

2007-10-19 00:40:34 | 自作の小説

初めて彼に会ったのは16才の時 ―

素晴らしく美しい顔と高い背に驚いた

絹糸みたく光沢のある金の髪はくるくる巻いて 白い肌に輝く緑色の瞳

死んだ母方の親戚になると父が説明した

彼は優秀な助手として父の研究を手伝い 閃きある意見なども示しているようだった

それはわたしがなりたかった姿
父の信頼を受け 頼りにされること

だけどわたしは数字が苦手で 父が望んでいた{息子}でもなかった

一日ずっと父と一緒の彼
わたしは淋しかったし 彼につっかからずにはいられなかった

彼は「お嬢ちゃん」と わたしを呼び 年はさほど違わないのに 子供扱いをする

わたしが気になったのは 父はともかくとして 彼が誰からも距離をおいていることだ
必要ない限り研究室から出ず その事に触れると
「時間がないので」そう答えた

彼には どうしても完成させたい研究があったのだ

わたしは長いこと 彼の両親の死にまつわる事情

彼の命を懸けた復讐の顛末を知らなかった

魔女に予言された彼の出生 かけられた呪い
彼の母は北欧の出 父親がフランス人

彼は母のイトコのクロディアスに生き写しなのだと たまに彼を訪ねてくるジェルマータというジプシ―の女性が教えてくれた

わたしの星と彼の星は重なり絡み合っている―と彼女は言う

孤独なわたしは何故彼女が近付いてくるのか分からなかった

彼 ミリオンはいい顔をしてなかったのに
ミリオン・ブルジョーニカ・ド・ルド―
それが彼の名前だった
私の名前はロウィーヌ
今となっては時間はたっぷりある

思い出せる限り―だってあれから随分遠くへきてしまっているので―

そうミリオンの母が生き残った事件
そこから始まっていると言えるのだろうか