まず神楽坂 これにひかれた
芸者姿で歌う 神楽坂はん子 神楽坂浮子
そんな名前の歌手がいた
それからか私の中で{神楽坂}という地名はとても粋なイメージがある
たたっと下駄履きで洗い髪の姐さんが通るような
書店で手にとって 赤池佳江子さんの素敵なカバー装画に それだけでワクワクした
露地を過ぎる黒猫
映画 小説 テレビ そうしたものに関わる人々が愛した「和可菜」とは―
宿のおかみの名は 和田敏子
あの木暮実千代さんの妹なのだそうだ
私が記憶する木暮さんは色っぽい年増役がよく似合っていた
時代劇で目線 仕草 台詞の言い回し
それでいて ちっとも嫌らしくないのだ
市川雷蔵さんとの明るいやりとりが思い起こされる
晩年は名女優の貫禄をいかした役柄もこなしておられた
最近は芸歴さえ長ければ 何でもかんでも名女優と表現したがるが
木暮さんにはテレビの仕事をしておられても 銀幕のスタァの輝きがあった
この本は木暮実千代が旅館を買い おかみの仕事をひきうけた敏子さんが 試行錯誤しつつ 映画に携わる人々が ホン(脚本)書く場所として利用してもらえたら―と思いつき
やがて映画が斜陽となり
同じような他のホン書き旅館が潰れても 生き残ってきた その歴史
和可菜に出入りした人々
和可菜で働いた女性達
読んでいても胸が温かくなる心遣い
客としてでなく家族か身内を迎えるかのようなもてなし
その中で生まれた映画 小説 ドラマ
読みながら これは女の一代記 映画 ドラマの歴史
ドラマ化すれば―脚本と配役次第ですが
随分と良いものができるのでは・・・
そう 思っておりました