副題に「ハードボイルド作家のぐうたら日記」とある
帯には「連戦連敗の博打 空恐ろしい妻―」などと
さてその公開された日常は・・・
麻雀 競馬 競輪
読みながら私は思い出した
「競馬場にも働いている人間がいる」
潰れたら困る人がいるから行くのだ
社会奉仕だと
競馬に情熱燃やしていた頃の父は言っていた
日曜日 ある場所へ行く為の父の言い訳
「たまには〇〇〇と手柄山にでも遊びに行きたい」そう言って母から小遣いをせしめ
バスで出掛けたが 手柄山近くの停留所でも降りない
父は言った「姫路城行って動物園に入ろう」だが姫路に着くと父は更に言ったのだ
「馬が走るところ まだ見たことがないやろう」
そう辿り着いたのは姫路競馬場でした
あれは私が小学校三年生くらいの頃
中にウインナーが入りホッケーキの衣つけて揚げたのが1本70円の時代でした
ちなみに競輪場では焼き餅が売っていました
食べ物と結びついて覚えております
賭け事好きな父は仕事で出掛けていた母と私が 競馬の新聞を買うのを忘れて帰ると
「鬼のような母娘や 競馬は前の晩から予想せんと勝てんのやぞ
お前達は俺が負けてもいいのか
これに命かけてるんやぞ」
夜中まで開けてるお店 電話さえすれば売ってくれるお店―さいわい私はそういう親切なお店を何軒か確保していた
そうギャンブル好きな人は もう無茶苦茶な理屈を考えつくのだ
小遣いの前借りをこれ以上はできなくなった父は言った
「煙草をやめたら これだけの金が浮く その金を 煙草をやめるから前払いしてくれ」 だが父は現在に至っても・・・煙草をやめていない
かように賭け事に燃える人間は 呆れるほどの理屈を考えつくものなのだ
そう現場は確かに一種の高揚感がある
禁断症状のようなものも出てくるだろう
漫才のような夫婦の会話 やりとり
ここまで書けるのは 互いへの深い愛情と信頼・・・
今度 生まれ変わっても夫婦になりたいという強い気持ちがあるから―かもしれない
狸が庭に現れ 姿を見せなくなると寂しく思い その消息を案じ
金魚 めだか 蛙
著者の生き物に寄せる愛情 献身
凝り具合
廊下を蛙が散歩する
飼育している生き物を襲うモノ達と戦い
締切と戦い
病気と戦い
株
あれやこれやの詐欺まがいの迷惑電話と戦い
壊れたがる車とも戦い
妻の出す謎なぞとも戦う
某週刊誌に連載中の小説の主役がやたら殴られたり蹴られたりする場面が多いのも納得できる? !
そんな一冊です
俄かに思いたち 大和郡山まで金魚を買いに行く
そんな旦那を持つって―とっても面白・・・厄介 大変
いえ楽しいだろうと 思います