カラマーゾフの妹 (講談社文庫) | |
高野 史緒 | |
講談社 |
ドストエフスキー「カラマーゾフの兄弟」の事件の真相があるとして書かれた物語
フョードル・カラマーゾフを殺したのは 三男アレクセイであったのだと
その結論となっています
「花子とアン」で人気を呼んだ吉田鋼太郎さんが テレビドラマ「カラマーゾフの兄弟」では この殺されるフョードル役でした
私はそのままドラマでフョードル殺しの犯人とされていたフョードルの隠し子の 小説ではスメルジャコフが犯人の方がすっきりして読後感もいいたろうとは思いましたが
ロシア文学に詳しい亀山郁夫氏や沼野充義氏も 文庫巻末の著者との鼎談で絶賛しておられるから こういう解釈もありーなのでしょう
くだくだ書いてきて こういう終わり方かーと 私はがっかりもしましたし とても気持ち悪かったです
人の好みはそれぞれです
ですが 読後感が良い物語ではありません
果たして「カラマーゾフの妹」は必要であったのか 書き加えられる意味はあったのか
私にはドストエフスキー氏が苦笑しているようにも思えます
作品が忘れられるよりは いいのかもしれない
ただこうした試みは もとのオリジナル作品を冒涜したように感じることもあります
著者の趣味に利用されたように感じることも
「カラマーゾフの妹」を読んで 「カラマーゾフの兄弟」を読んでみようと思う人がいたら
多少は書かれた意味もあるのかもしれませんが