昭和の時代に高度成長の時代に夢と力を与えて人々を熱狂させたチャンピオンがいたーフアイテング原田
原田政彦
闘志溢れる試合スタイルは人々を熱狂させた
向かっていく 逃げない
相手を追い詰める
勝っても逃げての勝利だと 受ける印象は卑怯ーだ
ボクシングのルールなど知らない素人から観れば
もちろん応援する選手には勝ってほしいのだが
凄まじい腕の動き 圧倒的で小気味いい戦いぶりは 特にブルーカラーと呼ばれる工場や建設現場で働く人間をスカツとさせた
明るい話題を提供してくれた
腕でパンチで己の体で 世界と戦う
裕福な家の出ではない青年が世界のチャンピオンになる
特別に大きな体をしているわけでもないのに 強い
この本はただフアイテング原田一人のことだけではなく ボクシングの歴史にも触れている
日本のボクシングのチャンピオン達や チャンピオンになれなかった選手のことにも
ボクシング
増田俊也氏の解説によればー著者の百田尚樹氏は同支社大学時代にボクシング部に籍を置いたボクサーであったそうだ
2010年3月には高校のボクシング部の部員たちを描く小説「ボックス!」を発表している
このー「黄金のバンタム」を破った男ーは同2010年の5月に「リング」というタイトルで発表された
著者自らもボクシングの経験者であるがゆえにボクシングについて詳しく解かりやすく書かれている
フアイテング原田より前に世界チャンピオンになった白井義男と 白井を育てたカーン氏の物語も心に響く
カーン氏は日本ボクシング界の恩人と言ってもいいかもしれない
私が子供の頃 人々が熱狂したのはプロレスの力道山
それからこのボクシング
平行して大相撲
キックボクシング
男の子たちは好きなボクサーの構えや戦い方 動きをマネしていた
そんなことを思い出す
ボクシングの試合は特に世界タイトルをかけた試合は人々の希望の灯だった
そんな時代があった
街角の電気屋さんの前や駅や商店街に置かれたテレビ またテレビのある家へ近所がおしかけて 一緒に試合を夢中になって見るーそんな時代が
勝てば次の日には皆笑顔で休み時間などに 試合の話をする
負ければ「あんな判定ってないよな」と怒りの会話となる
憧れだった「世界チャンピオン」防衛戦ー
世界タイトルを守ることはむずかしい
二階級での世界チャンピオンになった男
敗戦から立ち上がる人々に大きな力を与えてくれたチャンピオン
過酷な減量に苦しみ きつい練習を誰よりもこなした
遠くなった昭和の時代のボクシングの選手達に愛と尊敬をこめて書かれた本です