夢見るババアの雑談室

たまに読んだ本や観た映画やドラマの感想も入ります
ほぼ身辺雑記です

柳 広司 著 「ダブル・ジョーカー」 角川文庫

2015-01-30 23:55:21 | 本と雑誌
ダブル・ジョーカー (角川文庫)
柳 広司
角川書店(角川グループパブリッシング)



シリーズ第2作

「ダブル・ジョーカー」
陸軍内に極秘裏に作られたD機関 後発の諜報組織「風機関」を率いる風戸は D機関潰しに燃える
自己過信と卑劣さから陥穽に落ちたのはー風戸だった


「蠅の王」
軍医の脇坂は兄の死の事情から共産主義社会の実現を夢見て 日本の敗戦を願うようになる
そしてーモスクワのスパイとなった
彼の奇妙な連絡手段
希望に添う死体が無ければーつくればいい
それはD機関の目に留まった

笑わぬ男が処断する



「仏印作戦」
犯罪に利用されかけて 
惚れた女にも騙されていた男
D機関は人を操る よかれあしかれー



「柩」
事故による不慮の死 それなのにやすらかな表情で死んでいった男
おそらくはスパイ 間違いなくスパイ

結城中佐にしてやられた経験ある人間は意趣返しに燃えるがー

囲みの中には 狐も鼠もいない

魔術師=結城中佐か



「ブラックバード」
とらわれた時 失敗する

バード・ウオッチングをする男は 腹違いの兄を気にした
気にしすぎた

そして破滅する

非情な仕事 彼を愛した妻は哀れだ




「眠る男」
「ジョーカー・ゲーム」収録の「ロビンソン」それを他の立場の人間から描く
裏側の事情
そういうことであったのかと 読者へのサービスで書かれたような一編

柳 広司 著 「ジョーカー・ゲーム」 角川文庫

2015-01-30 09:14:36 | 本と雑誌
ジョーカー・ゲーム (角川文庫)
柳 広司
KADOKAWA/角川書店


「ジョーカー・ゲーム」シリーズ第一作

大映映画で市川雷蔵氏を主役に据えた陸軍中野学校というシリーズがある

スパイを養成する諜報活動に従事する人間を育てる場所であったという

この作品では結城中佐がD機関なるものを作り 素質ある人間を鍛え上げている

軍人とは異なる人種を育て上げる
死なずに生き抜くこと

「ジョーカー・ゲーム」
結城中佐とそのD機関についてよく思わない陸軍大佐・武藤は 佐久間にアメリカ人技師のジョン・ゴードンがスパイである「証拠をおさえろ」と命じる
 
しかしそれは自分の失敗を糊塗する為に佐久間を利用しようという企みからだった

D機関の人間達は その証拠を簡単に見つけ 佐久間は腹切りを免れる

結城中佐の考え方を知り 触れ合うことで 佐久間の中にも「何か」が生まれた



「幽霊 ゴースト」
テーラー寺島の店員の蒲生は英国総領事アーネスト・グラハムと親しくなる
グラハムの身分と立場を利用する人間の存在を暴く蒲生
彼もD機関の一員だった
グラハム夫人は 彼とは知らず 幽霊の存在を口にする



「ロビンソン」
伊沢はとらえられるも 脱出し自由になることに成功した
そして生きのびている



「魔都」
複雑に世界中の言語飛び交う街 上海
本間は爆破事件についての調査と 敵への内通者を見つけるように言われた

爆破事件が自作自演であったことを D機関の人間から示唆されてー



「X X  ダブルクロス」
ドイツ人スパイが殺された
その犯人はー

犯人の不自然な言動に最初は気付けなかった飛崎
彼は自分がD機関に不向きなことに気付く
戦場へ向かう飛崎に 結城中佐は「死ぬなよ」と声をかける
はなむけの言葉



佐藤優氏の解説も感慨深い