夢見るババアの雑談室

たまに読んだ本や観た映画やドラマの感想も入ります
ほぼ身辺雑記です

「初春狸御殿」(1959年 日本映画)

2015-01-10 16:27:06 | 映画
初春狸御殿 [DVD]
クリエーター情報なし
角川書店



大映作品

10年前 カチカチ山の狸の泥右衛門(菅井一郎)は兎にこらしめられたのにー全く反省していない
そんな父親に言いつけられて親孝行な狸の娘お黒(若尾文子)は 酒を買いに行く
店の主人(左卜全)は 「父親の酒を買いにくるとは感心な」とオマケした量を入れてやるのだが 「見かけない娘だが」と首をひねりつつ見送り 手の中の金を見たらばー木の葉になっている
ーさては狸か!と怒っても後の祭り




泥右衛門は酒を飲むのにつまみがないーとお黒を怒り 鶏を盗みに行く

父親が無事に戻るか心配しつつ 空の真ん丸お月様に 父親がいい心がけになってくれるように祈るいじらしいお黒

泥右衛門は数羽の鶏を下げて戻ってくる

酒を飲むとますます古傷が痛むというのに
兎に負わされた火傷の跡が背中にあるのだ

お黒を好きな薬売りの栗助(勝新太郎)が唄いながら登場

ーやけど 切り傷 食あたり(中略) このあと幾つかパターンがあります
何故に効かない え~~え~え~ 恋やまい


勝新太郎さんは自分で歌っているようです



エメラルドグリーンの長い髪で 裸に見えるスーツを着ている色っぽい女のカッパさんが二人 水から出現
栗助にちょっかいかけたり からかったりします

栗助に お黒もまんざらではない様子です


鶏を派手に泥棒された人間は怒って猟銃構え 犬を連れて狸退治に乗り出した模様

銃声と犬の吼え声が聞こえます

大変と逃げ出す泥右衛門とお黒の狸父娘


逃げ場を見つけられず傘に化けます

そこへ狸のお城の腰元達が華やかに現れます
狸の顔は見たくないーと狸のきぬた姫が我が儘言うからーずっと人間に化けてなくっちゃいけないわ
ああ しんどい
腹つづみもうてない
と口々に言っています


そして どうやら素敵な若殿らしい狸吉郎が きぬた姫とのお見合いの為に城へやってくるのだと騒ぎます

そこへ雨

おんぼろだけど傘が二つあります

その傘をさして腰元達はお城に戻りました


そしてそんな汚い傘は燃やしてしまいなさいーと叱られるのでした


燃やされてはかなわないーと傘から姿を戻す泥右衛門とお黒


お城のあちこちを覗く父娘は きぬた姫がお黒によく似ていることに驚きます


さすがに見つかって 追いかけられて逃げ惑うのですがー
泥右衛門てば 綺麗な着物を盗んでいます

殺されて狸汁にされてしまうかもー
庇い合う父と娘


(いいかしら 狸が狸汁食べたらー共食いでしょうに^^;)


ところで狸なのに 狸の顔は見るのもイヤよ 私はこんなに美しい 私は狸以上のモノなの
だから見合いなどとんでもない
狸ではなくて 人間と一緒になるーと きぬた姫(若尾文子 二役)は 家老の狸右衛門(中村鴈治郎)に言い放ち ポンと消えて家出をしてしまうのです





これには家老さん 困ってしまいます


老女の狸路(楠トシエ)は捕えたお黒が姫様に生き写しなことから 身代わりに仕立てることに



もう若様の狸吉郎(市川雷蔵)は城に着いて待っているのですもの


家老は言います 今頃の若い者は二人きりにして間違いがあってはーと

(いつの時代もね^^; いまどきの若い者はーと言われ続けるのでしょう)


そこで狸祭を開催しようと
全国津々浦々の狸を集めるのじゃ~~~~





美女はいろっぽく踊り



当時 人気があったマヒナスターズも出演 歌います




佐渡の歌をバックには市川雷蔵と中村玉緒さんが踊ります

市川雷蔵の若様は 全国各地の御姫様と踊り続け 最後がお黒のきぬた姫


そして狸吉郎は きぬた姫がすっかり気にいって









それは こんなに綺麗でかわいいお姫様ですもの








一度は自分のお城に帰っても またすぐに きぬた姫に会いにやってきます




いいですか 狸の若様ですからね
間違っても 「眠狂四郎」「ひとり狼」なんぞの凄味を求めてはいけません

ひたすら人の良い 狸ーです
もう バカさはほうっておいてあげてください
そういう役なんです

バカの方がうまくまとまる役柄なんです

どうしてこんなに間抜けにバカなのーと追及しないでくださいね^^;


お黒が若様に気にいられたことで 玉の輿を とらぬ狸の皮算用で企む泥右衛門 いつのまにか手下まで作っちゃって


お黒も 若様にちょっと気はひかれますがー所詮身代わり
涙することも


若様はロミオもどきに お黒をきぬた姫と思いこんで 愛を誓います

此の世に花の咲く限りー



ところで家出した きぬた姫ですが 人間にはマトモには相手にしてもらえなかったようでー
落ち込んで 自分の世間知らずを思い知らされて故郷の山へ戻ってまいります


そこを泥右衛門の手下が見つけました

えらいこっちゃ 本物の御姫様が戻ってきては 玉の輿はかないません

泥右衛門 きぬた姫を殺すように手下に言いつけます

分身の術など使って 難を逃れたきぬた姫ですが 一夜の宿を求めて入ったところがー泥右衛門の住まい


泥右衛門 姫を騙して殺そうと企みます

そこへ狸吉郎が自分のお城に戻ったから 家へ帰ってきたお黒
父親の企みを知ると 一計を案じ
お姫様は逃がしておいて 自分がきぬた姫のふりをします

泥右衛門 お黒と気付かず刀を振り上げ

傷を負いながら お黒は言います 「わたしはお黒よ」
最初は信じないで追いかけまわす泥右衛門ですがー


「お父さんの娘ですもの お父さんに斬られても全然痛くないわ」





お黒は薬売りの栗助の薬が効いて元気になりました

河童が言うには 栗助はお黒の為に寝ないで 薬をこさえていたのだとか

きぬた姫と狸吉郎の婚礼に 改心したらしい泥右衛門は出かけています


栗助は「お黒ちゃんの婚礼はー」と問いかけます

お黒 はにかむような笑顔



お城では きぬた姫が狸吉郎にお願いしています
女の子が生まれたら 「お黒」という名前をつけたいと







当時の水谷良重(現・水谷八重子) 真城千都世なども出演

歌ったり踊ったり



背景 衣装
色彩が上品で美しいです

吹き出しそうなナレーター代わりの歌の歌詞も聞き逃してはいけません


時代考証 そんなものはいらない

あんまり細かな時代考証ってね 物語から夢を奪うような気がします

いろんな映画があっていいと思います

夢を見せてくれる魔法のような映画


考えさせてくれる映画


大の大人が あえてバカやってる映画だって

暗い映画ばっかしだと息がつまってしまいます


誰も死なない映画

いいんだ 馬鹿馬鹿しくても
映画は夢だもの


こうした映画は 現在はつくれないのでしょうね

遊び心いっぱいの映画です