ータマキー
人外の存在(もの)-人間ではない
存在してはいけないモノだ
身を引き裂かれる思いで・・・タマキは男の腕から逃れた
ーもう お逢いすることはありませんー
人間ではない以上 どうすることもどうなることもできない
逃げたタマキの頬が濡れてータマキは自分が泣けることに気づく
声を押し殺しての慟哭
ーあの人が自分を忘れて 他の人間の女性を愛する
それも見たくないー
ー消えてしまいたい!-
再会は・・・・・更なる苦しみをタマキに与えた
消えることも死ぬこともできない
眠ってしまって 知らない間に 男の命が消える
死んでしまうことも耐えられない
そうっとそうっと男の無事をタマキは確かめずにはいられない
男は随分やつれはしたけれどー生きていた
その窶れが自分のせいだと思うとタマキは苦しい
逢っても一緒にいても 離れてすら自分には大切に想う相手を幸福にすることができない
それでも遠くに離れた影のように タマキはひっそりと男を見守り続ける
恋・・・・と呼んでいだろう
愛と呼んでいいだろう
今迄多くの人間の命をただ消してきた 奪ってきた 死に至らしめてきたタマキ
これは報いだと思った
幸せであってほしいただ一人の人間なのにー
離れた影のようにタマキはひっそりと添い続ける
過ぎて行く日々 過ぎて行く年月
男は妻を娶らなかった
他に想う存在がある身では誠実なことではない・・・
孫として息子として三代目として 仕事はする
家業は支える
男は心の奥底で死を希っていたのかー
だから?
だからー
信号待ちをしていた男の前に迫って来る道路を曲がり損ね暴走するトラック
男は逃げなかった
受け止めるように手を広げる
トラックを抱きとめるように
その一瞬・・・・・
一瞬の間にーはた目には一瞬と見える間に男と死の間にあったのはー
何処から現れたのか男に覆いかぶさるタマキ
ー駄目よ! 駄目よ!ー
「いいんだ・・・」
突如現れたタマキに男は微笑む「やあ やっと会えたね 出てきてくれたね」
ー他の誰が死んでも 貴方が死ぬのは駄目ー
「一緒に逝こうよ 一つになって 君は僕の中に入れないか 僕と一つになれないか」
ー?!-
「君がその存在を 姿を変えられる存在であるのならー」
男はトラックと自分の間に入ったタマキを力強く抱きしめた
「もう君と離れるのは嫌だ 離れて ただ生きるのは 僕は君と一つの存在(もの)になりたい ずうっと君と一緒にいる それだけが願い
僕の心からの願いなんだ」
タマキの涙が男の肩を濡らす
「君の涙は温かいな ずっとずうっと会いたかったよ」
ーわたしも わたしも貴方と一つで在りたかった 永遠に一緒にー
「うん・・・」
タマキを抱きしめたまま男が幸福そうに微笑む
男の命と共にタマキという存在もこの世から消えた
後には恋に死んだ男の命の抜け殻があるばかり
ー永遠に一緒にー
その魂は何処へ
何処かにたどり着けたのだろうか
人外の存在(もの)-人間ではない
存在してはいけないモノだ
身を引き裂かれる思いで・・・タマキは男の腕から逃れた
ーもう お逢いすることはありませんー
人間ではない以上 どうすることもどうなることもできない
逃げたタマキの頬が濡れてータマキは自分が泣けることに気づく
声を押し殺しての慟哭
ーあの人が自分を忘れて 他の人間の女性を愛する
それも見たくないー
ー消えてしまいたい!-
再会は・・・・・更なる苦しみをタマキに与えた
消えることも死ぬこともできない
眠ってしまって 知らない間に 男の命が消える
死んでしまうことも耐えられない
そうっとそうっと男の無事をタマキは確かめずにはいられない
男は随分やつれはしたけれどー生きていた
その窶れが自分のせいだと思うとタマキは苦しい
逢っても一緒にいても 離れてすら自分には大切に想う相手を幸福にすることができない
それでも遠くに離れた影のように タマキはひっそりと男を見守り続ける
恋・・・・と呼んでいだろう
愛と呼んでいいだろう
今迄多くの人間の命をただ消してきた 奪ってきた 死に至らしめてきたタマキ
これは報いだと思った
幸せであってほしいただ一人の人間なのにー
離れた影のようにタマキはひっそりと添い続ける
過ぎて行く日々 過ぎて行く年月
男は妻を娶らなかった
他に想う存在がある身では誠実なことではない・・・
孫として息子として三代目として 仕事はする
家業は支える
男は心の奥底で死を希っていたのかー
だから?
だからー
信号待ちをしていた男の前に迫って来る道路を曲がり損ね暴走するトラック
男は逃げなかった
受け止めるように手を広げる
トラックを抱きとめるように
その一瞬・・・・・
一瞬の間にーはた目には一瞬と見える間に男と死の間にあったのはー
何処から現れたのか男に覆いかぶさるタマキ
ー駄目よ! 駄目よ!ー
「いいんだ・・・」
突如現れたタマキに男は微笑む「やあ やっと会えたね 出てきてくれたね」
ー他の誰が死んでも 貴方が死ぬのは駄目ー
「一緒に逝こうよ 一つになって 君は僕の中に入れないか 僕と一つになれないか」
ー?!-
「君がその存在を 姿を変えられる存在であるのならー」
男はトラックと自分の間に入ったタマキを力強く抱きしめた
「もう君と離れるのは嫌だ 離れて ただ生きるのは 僕は君と一つの存在(もの)になりたい ずうっと君と一緒にいる それだけが願い
僕の心からの願いなんだ」
タマキの涙が男の肩を濡らす
「君の涙は温かいな ずっとずうっと会いたかったよ」
ーわたしも わたしも貴方と一つで在りたかった 永遠に一緒にー
「うん・・・」
タマキを抱きしめたまま男が幸福そうに微笑む
男の命と共にタマキという存在もこの世から消えた
後には恋に死んだ男の命の抜け殻があるばかり
ー永遠に一緒にー
その魂は何処へ
何処かにたどり着けたのだろうか