ー戻ってきた この大陸にー
アクシナティのリシュウライ将軍は来し方を思い返していた
思いも寄らぬ郷愁の念はどうしたことだろう
憎悪と苦しみから離れた・・・出て行った土地であったものを
レイダンドを目茶目茶にしたいという宿願がやっと叶えられる
もうランデールもクリスタベルもーアスザールもいないがー
俺を拒否したクリスタベル
長い年月の間には新しい野心ができた
皇帝コキンタクがレイダンドを手に入れたいなら それも良し
そのあとで俺はコキンタクの娘を貰う
それで全部を手に入れる
これだけの兵がいて破れることはないがー俺にはその上に礼の領域で身に着けた術がある
いざとなれば その力を使ってコキンタクに恩を売り ついでに武大臣も内大臣も消してやる
そうすれば皇后を片付けるだけ
アクシナティの儀式だの わけのわからん先祖代々のあれこれも ぶっ壊してやる
あの面倒な国の全部が嫌いだ わずらわしい
このリシュウライという名前にも飽きた
急に船に振動が走りーリシュライは船室の窓から外を見た
アクシナティの船の周囲の波ばかりが泡立ち逆巻き始めている
用心の為にリシュウライは自分の乗艦の周囲にのみ結界を張った
船の兵達がうろたえ騒いでいる
甲板に出ると
他のアクシナティの船はレイダンドの国の港とは逆方向へ流れていく
船団の周囲の海だけが何かの容器のように変化し 海が割れるような激流が船団を押し包み一気に運び去る
リシュウライと名乗る男が結界を張った皇帝や重臣らの乗る船のみ残してー
ーレイダンド側に魔法使い それもこんな強大な術が使える男がいる
レイダンドに肩入れしていたアスザールは死んだはずだ
何者だ?!
思案めぐらすリシュウライを皇帝からの使者が呼びに来た
ーさあ どうしてやろうかー
皇帝の居室では武大臣モウトウゲンも内大臣ボクグジンも皇帝コキンタクも怯えていた
何が起きたのか理解できずにいる
これからどうしたらいいのかも判断できなくなっている
バカの集まり
良識的に考えれば 国に逃げ帰ればいいのだ
嵐にでもあったと言えば それなりの名分は立つ
大国の権威で実力も無いのに威張っているから 自分達にこんな事が起きるはずがないと 事態をあるがままに受け入れられない
3人の様子をリシュウライは内心あざ笑う
「あなた方は!」リシュウライは声を張った
「戦う為に海を渡ってきたはずだ そうではないのか
なのに こんな事くらいで逃げ帰るのか
アクシナティの人間は そんな意気地なしなのか」
「な・・・何を!」
「この異様さがわからないのか」
モウトウゲンもボクグジンも口々に怒りの声をあげる
「ならば!」更に大きな声をあげるリシュウライ
「あなた方に策はあるのか!」
モウトウゲンもボクグジンも黙り込む
「わたしにはある! もちろん偉大なる皇帝コキンタク様にも深い大いなる考えがあられる
皇帝閣下とわたしはそれについて更に深めねばならん
武大臣も内大臣も思案を取る為に お一人になられた方がいいのでは?
いかがでしょう 皇帝閣下」
コキンタクはリシュウライの術にかかり人払いをする
「現在 起きていることは・・・・・レイダンドの魔法使いの術のせいです
しかしこれだけの術を使ったからには 暫くは身動きできないはず
そしてわたしも多少 術は使えます
ご存知でありましょう 偉大なる皇帝閣下ならば
わたしはこれまでこの力を惜しみなく偉大なる皇帝閣下の為に使ってまいりました
消えた船団はこのわたしが呼び戻してみせましょう
魔法には魔法を
術には術を
しかし その前に約束していただきたい
おおいなる勝利の前に 命も賭けて全力を尽くすこのわたしめにこそ
おそれながら ファナク様を賜ると・・・・・
その御約束が欲しゅうございます!何卒」
リシュウライの術にかかったコキンタクは約束を書いて印を押したものを渡した
皇女ファナクをリシュウライの妻にすると
「有難きしあわせ! では わたしはこれからレイダンドの城に向かい 国王の首を取り 皇帝への忠誠の証として姫達を攫ってまいりましょう」
ここでリシュウライの術にかかっているコキンタクは言った
「わしも行くぞ わしも行く わしが指揮をとる!」
船に残った兵ではたいしたこともできまいに
「御意 ではしばしお待ちを 出撃の準備をしてまいります」
部屋を出たリシュウライは ふふん・・・と鼻先で笑う
皇帝の書状さえ貰えば こちらのもの
皇帝からだとモウトウゲンとボクグジンに じわじわ効く毒杯を部屋に届けさせると皇女ファナクの部屋に向かった
ーが皇女は部屋に居ない
部屋の様子から逃げたと気付くとリシュウライはひどく嫌な笑みを浮かべた
ー役にも立たん皇帝コキンタクと残ったアクシナティの兵を連れレイダンドの城で遊ぶのも悪くない
皇女の代わりにレイダンドの姫達の体をいたぶるのも一興ー
アクシナティのリシュウライ将軍は来し方を思い返していた
思いも寄らぬ郷愁の念はどうしたことだろう
憎悪と苦しみから離れた・・・出て行った土地であったものを
レイダンドを目茶目茶にしたいという宿願がやっと叶えられる
もうランデールもクリスタベルもーアスザールもいないがー
俺を拒否したクリスタベル
長い年月の間には新しい野心ができた
皇帝コキンタクがレイダンドを手に入れたいなら それも良し
そのあとで俺はコキンタクの娘を貰う
それで全部を手に入れる
これだけの兵がいて破れることはないがー俺にはその上に礼の領域で身に着けた術がある
いざとなれば その力を使ってコキンタクに恩を売り ついでに武大臣も内大臣も消してやる
そうすれば皇后を片付けるだけ
アクシナティの儀式だの わけのわからん先祖代々のあれこれも ぶっ壊してやる
あの面倒な国の全部が嫌いだ わずらわしい
このリシュウライという名前にも飽きた
急に船に振動が走りーリシュライは船室の窓から外を見た
アクシナティの船の周囲の波ばかりが泡立ち逆巻き始めている
用心の為にリシュウライは自分の乗艦の周囲にのみ結界を張った
船の兵達がうろたえ騒いでいる
甲板に出ると
他のアクシナティの船はレイダンドの国の港とは逆方向へ流れていく
船団の周囲の海だけが何かの容器のように変化し 海が割れるような激流が船団を押し包み一気に運び去る
リシュウライと名乗る男が結界を張った皇帝や重臣らの乗る船のみ残してー
ーレイダンド側に魔法使い それもこんな強大な術が使える男がいる
レイダンドに肩入れしていたアスザールは死んだはずだ
何者だ?!
思案めぐらすリシュウライを皇帝からの使者が呼びに来た
ーさあ どうしてやろうかー
皇帝の居室では武大臣モウトウゲンも内大臣ボクグジンも皇帝コキンタクも怯えていた
何が起きたのか理解できずにいる
これからどうしたらいいのかも判断できなくなっている
バカの集まり
良識的に考えれば 国に逃げ帰ればいいのだ
嵐にでもあったと言えば それなりの名分は立つ
大国の権威で実力も無いのに威張っているから 自分達にこんな事が起きるはずがないと 事態をあるがままに受け入れられない
3人の様子をリシュウライは内心あざ笑う
「あなた方は!」リシュウライは声を張った
「戦う為に海を渡ってきたはずだ そうではないのか
なのに こんな事くらいで逃げ帰るのか
アクシナティの人間は そんな意気地なしなのか」
「な・・・何を!」
「この異様さがわからないのか」
モウトウゲンもボクグジンも口々に怒りの声をあげる
「ならば!」更に大きな声をあげるリシュウライ
「あなた方に策はあるのか!」
モウトウゲンもボクグジンも黙り込む
「わたしにはある! もちろん偉大なる皇帝コキンタク様にも深い大いなる考えがあられる
皇帝閣下とわたしはそれについて更に深めねばならん
武大臣も内大臣も思案を取る為に お一人になられた方がいいのでは?
いかがでしょう 皇帝閣下」
コキンタクはリシュウライの術にかかり人払いをする
「現在 起きていることは・・・・・レイダンドの魔法使いの術のせいです
しかしこれだけの術を使ったからには 暫くは身動きできないはず
そしてわたしも多少 術は使えます
ご存知でありましょう 偉大なる皇帝閣下ならば
わたしはこれまでこの力を惜しみなく偉大なる皇帝閣下の為に使ってまいりました
消えた船団はこのわたしが呼び戻してみせましょう
魔法には魔法を
術には術を
しかし その前に約束していただきたい
おおいなる勝利の前に 命も賭けて全力を尽くすこのわたしめにこそ
おそれながら ファナク様を賜ると・・・・・
その御約束が欲しゅうございます!何卒」
リシュウライの術にかかったコキンタクは約束を書いて印を押したものを渡した
皇女ファナクをリシュウライの妻にすると
「有難きしあわせ! では わたしはこれからレイダンドの城に向かい 国王の首を取り 皇帝への忠誠の証として姫達を攫ってまいりましょう」
ここでリシュウライの術にかかっているコキンタクは言った
「わしも行くぞ わしも行く わしが指揮をとる!」
船に残った兵ではたいしたこともできまいに
「御意 ではしばしお待ちを 出撃の準備をしてまいります」
部屋を出たリシュウライは ふふん・・・と鼻先で笑う
皇帝の書状さえ貰えば こちらのもの
皇帝からだとモウトウゲンとボクグジンに じわじわ効く毒杯を部屋に届けさせると皇女ファナクの部屋に向かった
ーが皇女は部屋に居ない
部屋の様子から逃げたと気付くとリシュウライはひどく嫌な笑みを浮かべた
ー役にも立たん皇帝コキンタクと残ったアクシナティの兵を連れレイダンドの城で遊ぶのも悪くない
皇女の代わりにレイダンドの姫達の体をいたぶるのも一興ー