夢見るババアの雑談室

たまに読んだ本や観た映画やドラマの感想も入ります
ほぼ身辺雑記です

最後まで役者ー名俳優さんの演技

2017-03-29 20:13:48 | テレビ番組
「二夜連続ドラマスペシャル アガサ・クリスティ そして誰もいなくなった」
2017年3月25日(土曜日)・3月26日(日曜日)放送

その島に集められた人間は 皆 過去の人生において罪を犯していた
建物の中で罪を糾弾され 一人一人殺されて行く

部屋に置かれた10人の兵隊の人形の死に方になぞらえて

最初は人気作家の若者(向井理)

元判事(渡瀬恒彦)も撃たれて死んでいると女医(余貴美子)が話す
その女医も行方不明になり
残った三人(仲間由紀恵 柳葉敏郎 國村準)は疑心暗鬼になり 互いに疑いあう

救助を求めて海岸に出るが 食事を作りに行った男も戻らず 二人が見に行くと 途中の道で殺されていた


怯えるふりをして抱きつき元傭兵だった男の持つ銃を奪った女は 男を射殺する

ただ一人になった女は最後の兵隊の人形の死に方を口ずさみ 部屋に下がっていた輪になったロープの中に首を入れる
ーと部屋に入って来た人間が 踏み台にした椅子を斃した

もがく体は やがて動かなくなる


みんな死んでから島に来た刑事(沢村一樹)は 全ての謎を解き 犯人の遺した画像も見つける


第一夜も第二夜も息詰まるような展開でした
原作を読んでいても・・・・映画化やドラマ化された作品を幾つか見ていてもー

原作通りの犯人だろうか

もしそうだとしてもー
現代のドラマとして変更部分もありましたがー

犯人の異常性 正義感もありながら 常識人として生きる顔を持ちながら 抑えきれない「殺す」衝動
自分の命が残り少ないことで 踏み切る
飛び越えてしまう

その犯人という人間を渡瀬恒彦さんが鬼気迫る演技で演じておられました
刑事役も多かった渡瀬恒彦さんだけにー
役柄に説得力が妙にあります
若い頃はごちゃな人間を演じられることもありましたから
二面性ーその恐ろしさが感じられました



ドラマの記者会見に参加できなかった渡瀬恒彦さんの寄せたメッセージです

「本日はこのような席に出る事が出来ず、本当に申し訳ありません。ひとクセもふたクセもある一騎当千のツワモノ達、中に置かれた高山の花、水辺の花、温室の花。
仕上がりはどうなっているのか、4時間、TVの前にお座り下さい。」


このドラマに関するサイトさん↓

http://www.tv-asahi.co.jp/soshitedaremo/

渡瀬恒彦さんは2017年3月14日に亡くなられました
病身を押しての出演
その素晴らしい演技に拍手を贈りたいと思います


「マラヴィータ」(2013年 アメリカ・フランス合作映画)

2017-03-29 19:43:41 | 映画
マーティン・スコセッシ総指揮
リュック・ベンソン監督

映画のタイトル「マラヴィータ」は主人公一家の犬の名前

ジョヴァンニ・マンゾーニ(ロバート・デ・ニーロ)はFBIの証人保護プログラムにより家族も名前を変えてフレッド・ブレイクー
ブレイク一家としてフランスの田舎町に引っ越ししてきた

マフィアだったフレッドはごくごく普通の人間として大人しく暮らすことができない
ジョヴァンニの言動にはロバート・スタンスフィールドFBI捜査官(トミー・リー・ジョーンズ)も どうにかならないかーと内心思っているよう
子供達もトラブルに巻き込まれる

息子ウォレンは「親父も13歳で仕事を始めた 俺も街を出て行く 一人で生きる」と姉ベル(ディアナ・アグロン)に告げる
ベルは初めてを捧げた男に冷たくあしらわれー飛び降り自殺をしようとする

街を出ようとしたウォレンは駅で父親を殺しに来た男達がおりてくるのを見る
家に電話するも誰も出ない

ベルも建物の屋上から追手の車を見る

ジョヴァンニに恨みを持つ一家の居所を知った男達は まず警察 消防署などを先に襲撃し皆殺しにする

帰宅したジョヴァンニの妻マギー(ミシェル・ファイアー)は「掟」で乱暴されそうになるが ジョヴァンニが助ける
家が爆破された時に傷ついた犬(マラヴィータ)を殺そうとする男だが 犬に逆襲される


ベルとウォレンも互いの危機を救い合う
いよいよベルが追う男に捕まりそうになった時 ロバート・スタンスフィールドFBI捜査官の車が追いかけていた男を刎ねて殺す


ぶっ壊れたというか 普通の人でないっぷりのデ・ニーロの演技が笑いを誘う

銃撃戦はあるけれど 終盤の一家の物騒なまとまり具合が これはファミリー映画だよねー
犬も死ななくて良かったね
(犬好きの私は思う)

人はいっぱい死ぬけれど 主人公一家は無事だから これはハッピーエンド(爆)


初めての男がひどかったベルは美人だけに 今後すごい悪女になるかもしれないし
ウォレンも長生きできる大人にはなりそうもないけれど

ちょっと ひねた笑いが好きな方におすすめです






いささか手抜きな感想で^^;

2017-03-29 15:21:00 | 映画
「隠し砦の三悪人」(1958年 日本映画)
黒澤明監督

詳しいことはWikipediaさん参照で(手抜き・笑)↓

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9A%A0%E3%81%97%E7%A0%A6%E3%81%AE%E4%B8%89%E6%82%AA%E4%BA%BA

秋月藩のお姫様16歳の雪姫(上原美佐)を助けて知恵しぼり山名の追手をかわし秋月藩の再興の為に早川領まで届けようとする
真壁六郎太(三船敏郎)は 姫と同じ16歳の小冬を姫の身代わりとして その命も犠牲にする
忠義の為に

そのことを知った雪姫は怒り嘆くがー
目力も強く存在感ありすぎる姫を守る為に口がきけないとか周囲をたばかる六郎太
強欲な太平(千秋実)と又七(藤原釜足)は分け前の金(秋月再興の隠し金)を信じて同行もしじゅう裏切るし信用ならない

あと少しで早川領と目前にしたところで 遂に捕えられる六郎太と雪姫 と秋月の者と知り雪姫買い戻すように言った百姓の娘
雪姫の顔を知る田所兵衛(藤田進)が現れる

この逃避行の最中に田所と1体1で戦い勝った六郎太だが 敗北し逃がした田所には仕える主人により傷つけられたバツ印のような傷が
顔一面にある

百姓娘(樋口年子)は逃亡途中 傷の手当までしてもらったことなどから「自分が雪姫だ」と身代わりになろうとするがー
雪姫はそれを止める

逃げる途中で参加した火祭りも楽しかったと 聞き覚えの祭りの歌を歌い
世で人の醜さも美しさも知ったなどと
六郎太にも感謝し 凜としながらも美しい心映えを見せる

それを聞く田所の表情に変化がー


いよいよ処刑されるために両手を縛られ馬に乗り覚悟の雪姫と六郎太の前に姿を見せた田所は「裏切り御免!」と叫ぶ

そして山名側の侍たちに斬りかかり 雪姫と六郎太の縄を切り逃げるように言う

でもって何に感心したかと言えば

この時に六郎太は馬を走らせながら片腕だけで百姓娘を馬の上に引っ張り上げて乗せるんです

その腕の力に「すごい!」と思いました

斬り合いの場面でもかなり㋔速度で走りながら両手を馬から放し闘うのです

伝統行事の流鏑馬でも相当 馬に乗るのが上手でなければ無理でしょう

どれだけ馬に乗るの上手なん
人ひとり片手で引き上げる力ってー
この一場面だけでも 三船敏郎さん凄い・・・・と そのすごさに驚きました

で この映画の後味の良さは田所も死なずに二人のあとを追いかけていくんです

助けたけど 助けた人間は犠牲になって死ぬーってありがちな展開なのですけどね

秋月の隠し金をとりあっていた太平と又七は 侍に取り囲まれて連行されてー
これは首を刎ねられるのかーと思っていたら
現れたのは きちんとお姫様らしい姿となった雪姫さんと侍大将らしいいでたちの六郎太

でもって褒美のお金をもらって 欲深の憑き物が落ちたように二人仲良く去っていきます


私のいい加減感想よりも きっちりした記事あるブログさん↓

 http://movie.hix05.com/kurosawa/kurosawa09.toride.html

http://www.japanimafrance.com/entry/kakushitoridenosanakunin

http://eigamove.blog.fc2.com/blog-entry-252.html

http://white-knight.blog.so-net.ne.jp/2007-01-25

https://flourella.wordpress.com/2016/01/03/hidden-fortress/



「武士の献立」(2013年 日本映画)
朝原雄三監督

春(上戸彩)の実家は火事で奉公に出ていた彼女以外の家族は皆死んだ
実家の商売は料理に関係しており そこで春の舌は確か
出戻りの春だが お貞の方(夏川結衣)からも可愛がられている

使われた料理の素材から出汁までも悉く的中させたために舟木伝内(西田敏行)に息子の嫁にと望まれる
出戻りでもあることから断る春だがー

頼りになる兄が亡くなり 急きょ家を継がなくてはならなくなった安信(高良健吾)は武芸で身を立てようと道場に通い 
そこの娘の佐代(成海璃子)に想いを寄せていた

しかし世はままならぬもの
それでも包丁侍ーと台所方の仕事には身が入らぬ

伝内の言動に心に来るものあり 安信の嫁となる春は 安信に料理を教えていく
そこに反発やらなにやらあるし
安信が文庫に大切に仕舞っていたかんざしが誰のものかー安信の想いなど知り 心痛めることも多いが

自分を嫁にと願ってくれた伝内の為にも その心にこたえようと姑の満(余貴美子)には仕え
気を張って頑張る

その甲斐あって安信もお城から認められるようになっていくがー

藩内の争いで
安信も参加しようとしていることを知る
下手すればー

春は刀を持って逃げる

前田(鹿賀丈史)を暗殺しようとした安信の友人達は死亡

倒れた伝内の代わりに饗応料理を作るための商材探しの旅に安信と春は出ることになる

旅の途中 疲れても足を傷めても 文句ひとつ言わない春の姿は安信の心をうつ

見事な料理を出し藩の面目も保った安信だがー

春は姿を消した

もう大丈夫ーと身を引いたのだ
夫が死んで今は後家となった佐代と 好きだった女性を妻にしてほしい

そんな書置きを残して春はいなくなった

海女たちの為に料理を作る春を見つける安信

家族はいないひとりぼっちの春
安信を一人前にするために憎まれ口も言い やる気を出させ
時にはその命も守り
自分は斬られてもいいから
安信さえ無事なら

安信の幸せの為なら また独りぼっちになってもー

そんな健気な春に やっと愛が 幸福が訪れる

もっと詳しく正しい筋が知りたい方は こちらWikipediaをどうぞ↓

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AD%A6%E5%A3%AB%E3%81%AE%E7%8C%AE%E7%AB%8B

 この映画の感想あるサイトさん↓

http://www.sakawa-lawoffice.gr.jp/sub5-2-b-14-5businokondate.html

http://hm-hm.net/drama/%E6%AD%A6%E5%A3%AB%E3%81%AE%E7%8C%AE%E7%AB%8B

これも 映画に出てくる料理からみで面白い記事なので↓

https://news.cookpad.com/articles/23

http://guide.travel.co.jp/article/3180/

「恋する魔法使い」-10-

2017-03-29 11:46:42 | 自作の小説
カズール・シャンデ将軍とロズモンドが城に戻るのと同じくして 海岸守備に就いていた兵からの報告も届いた
アクシナティ船団の姿が消えたと

ロズモンドは意識の無いベルナーの傍を片時も離れない

アンドールは本の間の隣の部屋にある壁一面のレイダンドの地図と 歩いて見て回り自分で描いた城の図面など見ながら考えをめぐらしている
そっと覗きこんだマルレーネは城の図面の抜けてるところを時々教える

侍女に運ばせたお茶をアンドールに勧めた
「ロズモンドだと こっそり焼き菓子とか持ってきてくれるのだけど」

「魔法使いの看病にかかりきりだね」

「あんなふうに一途で必死な様子を見るといじらしくって」

「恋ーなのかな」

「どうなのでしょうね もしも恋なら叶うといいけれど」
思慮深げなマルレーネの様子を見ていると時々 アンドールはその落ち着きを崩してやりたい気持ちに襲われる
何かに心乱し夢中になっている姿が見たいと苛立つような思い
そうした激情を押し殺すように深い吐息

話題を変える

「僕達兄弟の誰かが あなたの姉妹と一緒になることがあるかどうかは別として 兄弟4人揃っての旅は初めてで楽しかった
国境の小競り合いの戦いがあっても大抵は半分は留守番してるからね

レイダンドへの旅と この城での滞在はいい想い出になると思う
たぶん4人揃って何かする最後のことになるだろうからー」

「アンドール様はいつかお国を継がれますのでしょう 良い王様になられるでしょうね」

「どうかな あんまり王になりたいと思ったことはないんだ たまたま長男ってだけで 自分が王に向いているかも考えたことはない」

「いかにも王になる為に生まれてきた方のように見えますのに」

「弟たちみたく羽目を外せたらいいなと思うことはあるけれどね」

なにしろ一番上ってことはーこれはマルレーネも同じだった 長男と長女 下のきょうだいへの気持
どうしても責任を負ってしまう
甘えることが苦手になるのだ それがいい事なのか 悪い事なのかは別として


ロズモンドを一番案じているのは 母親のメリサンドだろう
ロズモンドを見つけて連れ帰ってきてくれたカズールに「有難うー」
礼を言ったものの あれこれ片付けなくてはならない用事も多く むしろ用を楯に取って カズールと向き合うことを避けていた
若い日の向こう見ずな恋

それから長い年月が経って カズールだって新しい恋 結婚だってしているかもしれない

カズールが遠くから何か言いたげに自分を見ていることは知っていた 気付いていた
それなのにカズールと話すことが まるで若い娘のように恐ろしかったのだ

幾度かロズモンドの様子を見にいってー少しずつベルナーの顔色が良くなっていることを確かめる
とうとうロズモンドは座ったまま上半身をベルナーの横たわる寝台に載せた形で眠っていた
疲れが出たのだろう
この娘(こ)はいつの間にこんなにこの男のことを気にかけるようになっていたのだろう
ほんの短い時間で

そう ほんの短い時間で自分も恋をしたのだった
ロズモンドの肩に毛布をかけて部屋を出ると カズールが立っていた

「話せるかな」

とんーと背中が壁につく
確かにいつまでも逃げてはいられないー自分は爆弾(あなたの娘よ)を落としたのだしー
ベルナーの隣の部屋は丁度空いていた

頷いてカズールを室内に招くメリサンド


カズールが部屋に入ってきてドアを閉めると 覚悟を決めたようにメリサンドは尋ねた「何から話せばいい?」

「一つだけ」とカズールは言った「君は現在(いま)も独身(ひとり)か?」

「・・・ええ・・・」

がばっとカズールはメリサンドを抱きしめた「良かった 誰かいたらそいつを殺すところだった」

メリサンドは泣きそうになる
カズールが傍にいたら心が若い娘の頃に戻ってしまう

乳母としてお城に上がる時 名前をメリサンドに変えたこと 約束の場所には母親に閉じ込められてて行けなかったことを話す

カズールは右目の怪我で約束の日時には行けず 傷が癒えてから「アイーシャ」という名前を頼りに探して「死んだ」と教えられたことを話す
「妻にしようと思った娘も お腹の子ごと死んだって聞いた」

互いに知っていたのは「カズール」と「アイーシャ」と名前だけ

その名前すら捨てて変えてお城に上がったメリサンド

「母だわ 母は自分の跡を継いで女官長にしたがってたからー許せなかったのでしょう」

「レイダンドのお城の有能な女官長メリサンドの名前は聞くことがあったが まさか君とはー」

「わたしをアイーシャと呼んでいいのは ただ一人・・・カズールだけだもの」

二人は離れて過ごした長い時間のことを語り合い埋めることとなる