夢見るババアの雑談室

たまに読んだ本や観た映画やドラマの感想も入ります
ほぼ身辺雑記です

塩田武士著「騙し絵の牙」 (角川文庫)

2020-12-01 23:05:47 | 本と雑誌

 

 

 

解説の題が「なぜ今 出版業界を舞台にするのか」

書いたのは俳優の大泉洋さん

この解説の冒頭を少しだけ

ー不思議な感覚でしたねえ 自分自身を想定して書かれた この小説を読んだときは

舞台や映画であてがきをしていただくことは これまでも幾度かありましたが

小説であてがきというのは これまで聞いたこともなかったし 実に面白い試みだなと思いました

 

もともとプロジェクトのきっかけは 本書の担当編集者に雑誌ダ・ヴィンチの表紙に出させていただく度に

何かお薦めの本ない?と訊いていたことから 

というのも そこではお薦めの本を一冊 選ばなくてはならなくて

その後に続く 映像化されたら僕が主演できるような作品をね というひと言も定番だった(笑)

それを毎回言うものだから編集者は面倒くさくなったんでしょうね

 

じゃあ もう私が大泉さんを主人公としてイメージした小説を作ります!と

それが映像化を見据えた 僕の主演小説の出発点でしたー

 

 

雑誌トリニティの編集長の速水輝也は 上司の相沢から廃刊もあるぞと言われ

廃刊の憂き目を避けるべく 奮闘するも

 

裕福な家の出身である妻との間は冷え切り ひとり娘の成長のみが楽しみな家庭

 

出版社は不況で次から次へと廃刊にしており トリニティも風前の灯火

 

妻との離婚は避けがたいものであると知らされた夜 執筆に苦しむ若い作家から電話があるも 

速水も相談に乗れる精神状態ではなかった

 

その後 作家は自殺

 

中央委員会で熱弁ふるうのも会社の方針は変えられず

 

速水は会社を去った

 

しかし 彼は自分の会社を設立

多角経営の 注目浴びる存在に成りあがった

 

 

速水の姿に 同期だった小山内は気にかかるものがあり 調べ始める

 

思わぬ速水の過去

彼の小説 作家になろうとする人間への思いの原点

 

さて速水は本当に 二つの姿見せる騙し絵のような人間であったのだろうか

私としては 速水の頑張りに拍手を送りたい

紙で読む本が好きです

本を買う

カバーをつける

気になる箇所に読みながら栞をはさんでいく

時々 読み返しながら 読み進んでいく

本を読むことが好きです

 

各章の始まりに大泉洋さんの速水に扮した写真が使われています