少年たちは遊んでいた 彼らの隠れ家 彼らだけの砦で
放置された屋根には穴が開いたオンボロ自動車
本やお菓子を持ち込んで
4人の少年
その車が彼らが遊んでいる時に燃やされた
車の中には3人
遅れてきた一人は車に火をつけた若い男をナイフで撃退
更に2人までは車から助け出したが 3人目は救えなかった
2人の友を救った少年は その代償にか片腕を失った
救われた少年の一人の北見は 父親の弁護士事務所の経営は継いだが 司法試験には通らず
弁護士にはなれず 気付けばヤク中に
誰かが彼をヤク中治療の病院へと入院させてくれた
入院していた二カ月の間 経営者の北見と連絡が取れず 事務所の弁護士たちは 皆 事務所を辞めて出て行った
そして北見は 自分達を助けて片腕になった友の今川が 自分が入院していた二カ月の間に 死んだことを知る
学生時代 交際していた奈津は 北見から今川に心を移し
その後 北見は他の女性の香織と結婚 今はかわいい娘がいる
学生時代から今川と喧嘩してはくっつくを繰り返していた奈津は 今度こそ今川から結婚しようと言われて
婚約者だったと
今川の自殺が納得できない北見は その死について調べ始める
奈津が今川から預かったという書きかけの小説
けれど その中身は・・・・・
北見を案じる刑事の藤代
藤代は妻が欝状態であることを憂えていた
不安定な精神状態の北見は 今川の書きかけの小説の内容に打ちのめされるが
ある人物の言葉から その小説の中身について気付いたことがあった
誰が今川を殺したのか
昔 仲が良かった少年たち
一人は燃えて死に 一人は水の中で
今一人の北見はヤク中になってしまった
もう一人は・・・・・・
作家になる夢がかなわず それでも書き続けてはいた
帰国したら あの川で会おうと約束していた北見と今川
望まぬ妊娠だけれど 産みたいと思うようになっていた奈津
北見には妻も娘もいる
この二人がいれば
北見を案じてくれている藤代も
川は多くのものを北見から奪っていったけれど
それでも今川は北見を大切には思っていたのだ
北見がヤク中でぼろぼろになっていることが許せないくらいには
友情はあった 確かに
解説は吉田伸子さん