夢見るババアの雑談室

たまに読んだ本や観た映画やドラマの感想も入ります
ほぼ身辺雑記です

「全てヒョウ柄にする日まで」

2017-04-21 15:51:34 | 自作の小説
姉は信じられない凝り方をする人間だ
アニマル柄の服を着ていた時に買った宝くじで高額の当せん金を得たものだから
以来 アニマル柄 特にヒョウ柄を好むようになった

クッション パジャマ 部屋着 バッグ カーテン 絨毯 毛布 布団 暖簾 壁紙 トイレマット スリッパ
照明器具のカバー コート ガウン バスローブ 手袋 帽子 テーブルクロス スマホのカバー
車までヒョウ柄塗装を特別にしてもらった

いつしか家の中はヒョウ柄ばっかし

心やすまらぬ家になった

そんな姉はヒョウ柄の傘を紛失し警察に届けた


もしも盗んだ人間がいるなら随分と趣味が悪いと思うが

二十代後半で週に三日ほど学校に教えに行くだけの大学院生という身分では 自営業の姉には逆らえない
僕が大学生の時に数年置きで両親は死んだ

その後もキチンと僕を社会人にすると両親の墓前に誓った 心正しい姉には宝クジが当たるという神様からのご褒美があった
ヒョウ柄を愛するのは神様へのご恩を忘れない為だと姉は言う

自分を正当化する為なら どういう理屈も見つける姉だ
姉はそういう人間だ

僕には発言権はない
それが我が家の家風だーとも姉は言う


ところが姉の傘を持った死体が出てきてー一気に姉は殺人事件の容疑者になった
取調べにあうという貴重な経験をした姉だが

警察もバカではなく すぐに真犯人は見つかった

姉が傘を忘れたのは行きつけの美容院 
姉がパーマをかけている間に雨が降り ある客は目立つその傘を勝手にさして店を出た
ヒョウ柄傘泥棒さんは その帰り道に傘を持っていない人間に「その傘寄越せ」と間抜けな争いになり・・・
「これは私の傘よ 渡さないわ 奪うんなら力づくでとってごらん」と言って
力づくで傘を奪われ 殺された

たかがヒョウ柄の傘で殺人犯

疑いが晴れた姉は叫んだ

「よくも人の傘を もう!ヒョウ柄簀巻きにしてやろうか!」


その前に これに懲りて もうヒョウ柄好きはやめないかと僕は思ったんだけどね

姉は人殺しの疑いが簡単に晴れたのも ヒョウ柄の 神様の御利益と思ったらしい

近頃では家の外壁もヒョウ柄で塗装しようと計画しているらしい

「そうしたら お前 きっとね こう呼ばれるわよ
ヒョウ柄屋敷のお坊ちゃんってね
楽しみじゃない?」


嬉しそうに姉が微笑む 


姉はそこそこ美人なのだが 恋愛に縁が無いのは ヒョウ柄が男を遠ざけているんじゃないかと僕は思っている

もしも姉を守る神様がいるのならー 姉から男を遠ざけようとする焼き餅焼きの神様かもしれないけどね


(碧様のツィートから思い付いたものです 有難う^^)


堂場瞬一著「内通者」 (朝日文庫)

2017-04-21 15:36:46 | 本と雑誌
内通者 (朝日文庫)
堂場瞬一
朝日新聞出版



千葉県警捜査第二課の結城孝道には小学校教員の妻と大学生の娘の若葉という家族があったがー妻は倒れて間もなく死亡する

その頃 若葉には「結城の娘ではない」といった不可解な電話がかかるがー真実を確かめる勇気が若葉は持てないまま 月日は過ぎた

椎名という男が自分の勤務する会社についての情報を第二課にもたらしていたがー決定的な証拠はあげられないままに時間は過ぎる

結城に連絡してきた椎名は 記者に結城に暴行を受けたと話した後 姿を消した

そして若葉が警戒する警察官の目の前で攫われる

いつかは話そうと思いながら 若葉が養女であると言えなかった結城

若葉だけが養女になったことを恨んでいた椎名

事件解決後 若葉は自分が警察官になるつもりで勉強していることを 結城に話す

家族とはー

「内通者」という題そのものが 話のスジから目をそらさせようとする目くらましのように思えなくもありません

もしくは犯人がした「一つだけの良いこと」へのアイロニー(皮肉)か

2時間ドラマに向いたスジのようにも思えます

「桜花幻影」

2017-04-19 19:07:02 | 自作の小説
小さな頃に透ける薄衣を両手で頭上に掲げ立つ美しい女性(ひと)を見ました

おじい様の屋敷の門の外の大きな桜の木の下に その人はおりました

その人を見た日におじい様が亡くなったものだから余計に何やら不思議なことのように覚えています

でも何やら言ってはいけない事のようで・・・長い事 誰にも言えずにおりました

おじい様の屋敷は古くて大きくて・・・それだのにおじい様はそこで一人で暮らしておりました

おばあ様は母の子供である私達の世話を口実にその屋敷を離れてー

だから おじい様が亡くなったあと そのおじい様の屋敷は長い事 誰も住む者がおりませんでした

私がおばあ様の亡くなったあと 訪ねてくるまでは

住む人も手入れする人もいなくて 錆びついているかと思われた鉄の扉は 油をささずとも 軽くゆるゆると おいでおいでをするように開き
私は屋敷に招かれるように入りました

おばあ様は 「あれは不思議な屋敷なの」住む人を選ぶのだと言いました

おばあ様は招かれなかった
だから暮らせなかったとも

「おじい様にはー」と おばあ様は話しました

私が もしかしたら夢だったのかもしれない古風ないでたちの美しい女性のことを話した時に・・・・・

「そう あなたは見たのね 見えたのね

おじい様には想う相手が居たの

知っていたわ わたしは

何か事情があって一緒にはなれない相手のようだとも

そして おじい様の家は傾いていた
この大きなお屋敷を維持などできない

わたしは おじい様を持参金と引き換えに買ったのよ
だって それほど好きだったからー

おじい様が好きだった相手のことは何一つ知らないわ

でも きっと迎えにきたのね
おじい様のことを

わたしは死んでも一人だわ」


そうしてー亡くなる時におばあ様は この屋敷を私に遺してくれてました

「見えたというのも何かの縁なのでしょうから」

おばあ様が産んだ娘である私の母におじい様が何の感情も持っていなかったとは思えません

だけどおじい様は母がまだ幼い頃にこの屋敷へ戻っていったと言います

屋敷に呼ばれるようにー


私が屋敷へ着いた時には 花の季節も終わりでしょうに まだ桜は咲いておりました

さわさわ さわさわ 風に枝を揺らされながら

覚えていたよりもまた随分と大きな樹になっております
淡い色の花がびっしり 間に黒く見える枝がところどころに


不思議な事に玄関の扉を開ける頃には 風に乗って花びらが届いてまいりました
大急ぎで散り始めでもしたように

桜に意思があるように


ふわりと優しく花びらが肩に乗ります
誰かの手が触れるように
それはそれは優しくそうっと
触れられたところから温かさが広がっていくのです


・・・りなさい・・・・

「お帰りなさい」と言われたような気がしました

中に入れば 床もしっかりとしていて 傷んだところも無いようです

私は水回りなどに少し手を入れて この屋敷に住むことにしました


おじい様のこと
おじい様の好きだった相手のこと
そして桜の木の下の美しい女性のこと

そうしたことが知りたくて 募る好奇心も抑えきれず
おばあ様が遺してくれたのをいいことに訪ねたのでしたがー

屋敷に入ると 何故かこの屋敷から離れがたくなってしまったのです

この屋敷が私が住むことを許してくれればいいのですが

散り始めた桜の木に手を当てて問うてもみました


ー桜 さくら 私はこの屋敷に住んでもいい?-

答は夢の中

「お待ちしておりました」

ひらひら はらはら降る桜の花雨の下で そんな言葉を聞いたのです

夢 幻
たとえ それでもかまわない

桜の花に この屋敷にも意思があるのならば
そんな不思議を信じてみたいのです


さて! どうなることやらーー;

2017-04-18 09:42:59 | スポーツ

{「技術と芸術、別プログラムで=フィギュアで新方式検討―ISU」

国際スケート連盟(ISU)がフィギュアスケートの競技方式について、ジャンプやスピン、ステップの技術要素と、表現力などの芸術性を別のプログラムで評価する新方式を検討していることが17日、複数の関係者への取材で分かった。

 現在は男女ともショートプログラムとフリーで技術点と表現力などを示す演技構成点をそれぞれ出し、合計点で争われている。新方式案では評価をより明確にするため、プログラムを「テクニカル(技術)」「アーティスティック(芸術)」(仮称)の二つに分ける。2022年北京五輪後の導入を見据え、18年ISU総会での提案を目指す。

 テクニカルは技術要素の評価に重点を置き、アーティスティックはより自由な演技で技術点に上限を設けて表現力の得点比重を高める。テクニカル、アーティスティックのどちらかのみ出場することも可能にする方針という。

 ある関係者は「競技への関心を高めるため可能性を探る必要があり、案を精査している」と述べた。別の関係者は「(総会で)反対する人はおそらくいないのではないか」と話している。 }


フィギュアスケートは絶えずルール変更のある競技でもありますがー
平昌冬季五輪に向けての競技方式の変更が検討されているそうです

フィギュアスケートという競技や選手の為になる変更であればいいのですが
どうにも不透明な気もします

変更を重ね過ぎて 大間抜けな結果にならなきゃいいのですが

あんまりバカバカしすぎて そのうち観客も選手も「やってられねーや!」と居なくなるかもしれません

フィギュアスケート「そして誰もいなくなった」

特にここって
「テクニカルは技術要素の評価に重点を置き、アーティスティックはより自由な演技で技術点に上限を設けて表現力の得点比重を高める。テクニカル、アーティスティックのどちらかのみ出場することも可能にする方針という。」

競技としての迷走感すらあるのですが
今迄も「目を開けて見てる?」「審判 頭 大丈夫なの」そんな判断をしてくれた審判の方々もおられますし

なんで あのやる気ない演技で あのつまずきにまで加点できる!とかね
ますます審判の横暴が通るようになるのであればーイヤですね


フィギュアスケートの試合をね 信用できない つまんないモノにしているのは審判さんです
殆どの選手に罪はありません

もちろん ド素人の感想ですけれど

ド素人ゆえに なんら利害にひっぱられることなく言えるのです

あんまりひどいやり口には
「てめえら 全員 くたばりやがれ!」ってね

同じ選手が過去よりも遥かに良い演技をしているのに得点が伸びない むしろ下げられる

別の選手は やる気なしよろよろジャンプに加点のてんこ盛り

別の選手は回りきっていても 回ってないと判断されて マイナス

おっかしいことね かなりありました

自分(審判)達のするおかしなことを 観客がわからないようにごまかしやすくする為の 変更ならイヤだな
怪しいなーなんて思ってしまうのですよ

今迄が今迄だけに!



浅田真央さんを応援されている方のブログ記事です↓

http://blog.goo.ne.jp/saikoro_go/e/630d4bb0fbb91321916b6cdb98a2c419

http://blog.goo.ne.jp/saikoro_go/e/be93c48346cfd456eb45ada9e1ca2031

http://blog.goo.ne.jp/saikoro_go/e/88c1ba91bcb82e70c64e9192c1bd42c4

http://blog.goo.ne.jp/saikoro_go/e/fb0d61f4223739f2bb66d80741311bfd

http://blog.goo.ne.jp/saikoro_go/e/099137fff50971fedc65a6f174dd0df8

http://ameblo.jp/2667/

http://ameblo.jp/rachel-artpage/entry-11943424427.html

http://toramomo.exblog.jp/

http://figure-skating-2ch.seesaa.net/article/449049017.html

まだまだ ありますが^^;今回はこの辺で



貫井徳郎著「殺人症候群」(双葉文庫)

2017-04-17 15:03:53 | 本と雑誌
殺人症候群 <新装版> (双葉文庫)
貫井 徳郎
双葉社


警視庁の環は ある理由から警察を退職した人間達に事件の調査を依頼することがある
たいてい厄介な―事件になるか?というシロモノだが

思春期の娘がいる探偵の原田

人を殺しかねない自分の心の中の獣に気付き 日頃は托鉢僧の武藤

大きな体が特徴の建築現場で働く倉持

「失踪症候群」では原田が中心

「誘拐症候群」では武藤が中心

今回は過去に倉持の身に起きた事件から 倉持の生き方に大きく影響を与える事件となってしまった

心臓移植をしないと死ぬ息子を持つ看護師の中年女性は ドナーカードを持つ人間をひそかに殺していたがー
ある時 失敗し狙った相手に惨殺される


自身もいわれなき暴力の被害者である響子は 未成年などから殺されて家族を奪われた人間の家族からの依頼を受けて
その加害者を殺す仕事を請け負っていた

いつも組んでいた相手を変えて仕事に臨んだ響子は・・・再び暴力を受けて死ぬ

響子を愛するがゆえに殺人部分を請け負っていた鏑木は 彼女を守り切れずー

法律で罰せられない人間を殺し 被害者やその家族の無念を晴らす
少しでも溜飲を下がらせることこそ 自分のやりたいことだったーと思い込む倉持

倉持に銃を向ける環から庇う武藤

逃げた倉持は美少女を輪姦した未成年4人を殺す

原田は環の依頼を受けて倉持を捜し見つける

そして環は教会で倉持に再び銃を向ける

倉持の妻と幼い娘は公園で精神異常者に襲われ殺された
殺人者に奪われた幸福

精神異常者であれば 罪に問われないのか
精神異常の病気が治れば 普通の人間として暮らせるのか


一時的な精神錯乱であれば 罪は軽くなるのか

殺人者も人権で守るのが法か 正義なのか

殺された人間には その家族の人権は

保釈 釈放

数年で出所した人間がまた人を殺したら
犯罪を犯したら 
その被害者は

誰に怒りを向ければいい?

裁判は誰の為に行われている?

世の正義とは何なのだろう

傷つけられた人の心を癒すのは過ぎ去る時間か
それとも諦めか

ドラマ「犯罪症候群」は二回まで放送されており 「誘拐症候群」を原作とした事件が進んでおります
人間関係や登場人物・事件の展開などは 原作そのままではありません


貫井徳郎著「誘拐症候群」 (双葉文庫)

2017-04-13 21:40:38 | 本と雑誌
誘拐症候群 <新装版> (双葉文庫)
貫井 徳郎
双葉社



紳士服のモデルもできそうな外見の環が非公式に使う男達
今回は普段は虚無僧姿で托鉢をしている武藤を中心に物語が展開していく

風邪で鼻水をこらえていた武藤に配っていたティッシュを差し出してくれた高梨

他人とは個人的な関わりを持たないようにしていた武藤だが 今度は高梨が風邪から体調を崩し 彼の家まで送っていくことに
そんなことから言葉をかわすようになった高梨のまだ赤ん坊の子供が誘拐され 何故か武藤が身代金を運ぶ人間に 犯人側から指名されて警察から犯人の仲間かと疑いの目も向けられることにー

犯人の計略にかかり 襲われた武藤は身代金を奪われた

しかも赤ん坊は死体で発見された

責任を感じて警察からは疑われつつ 自分なりの考えで犯人を見つけようと動く武藤

それとは別の小口誘拐も連続しておきており こちらの事件を追う環は 武藤の追う誘拐事件をも利用する力業で 隠れている犯人を追い詰める

誘拐犯が逮捕されてからの 高梨と武藤の会話が・・・・・


絵本作家の高梨は結婚を反対されて家を出て 自分の力で妻子を養う為に頑張る誠実な男だった

高梨が選んだ妻の国籍が許せない父親はー用立てた身代金にある細工をしており それゆえに誘拐犯は 手に入れた身代金が本物の紙幣ではないと思い込み 赤ん坊を殺した
その事実を知った高梨は 自分の父親が許せなかった


武藤は過去に自分の心に「獣」がいると知り 警察を辞めた男
高梨の話を聞いた武藤は思う

高梨もまた自分と同じ「獣」が心にいる男であったのかとー

「獣」を呼び起こす引き金となったものはー


そうした「獣」は目覚めるか目覚めないかで 誰の心にも居るものだと思うけれど

氷上の華は これからも咲く(今度はプロとして)

2017-04-12 20:05:15 | ちょっとヒイキの引き倒し?!
ちょっとメモしたものから
浅田真央さんの引退の記者会見を観ながら そのニュアンスだけ走り書きしてました

「何とか頑張ろうと思いだけでーやってきました
全日本のあと もう・・・いいかな」

「最後は悔いはないかな」

フイギュアスケートの選手でいて「つらいと思ったことはありません」

バンクーバー五輪の頃は「若くて気が強くてー乗り越えてきた」

ソチ五輪については
「(ショートの失敗があり)とても辛い形ではあったのですけど(フリ―の)4分間に全てをつぎこめたと思っています」

この二つの五輪について
「私の人生の中で いい想い出になったかと思います」

ソチ五輪のあとの世界選手権について
「五輪の口惜しさを世界選手権にぶつけてー
最後の世界選手権と思ってのぞんだ試合でしたので・・・」」

最も印象に残っている演技は?と尋ねられて

「難しいですね~一つ選ぶというのは(考えながら)
ソチのフリーかなというように思います」

そのソチのフリーについて
「あれだけの挽回の演技ができたというのは 良かったかなと思います」

山田満知子コーチについて
「スケートの楽しさ 挑戦する楽しさを教えてくれました スケート以外のことも教えてくれました」


佐藤コーチについて
「自分の気持ち 自分の意見を静かに見守ってくれた先生でした」


復帰してからの二年間については
「その前にやめていたら 今でもまだやれたんじゃないかと思っていたかと思います
今は 本当に やり残したことはない
もう一度(現役選手として)チャレンジできて良かった」


今後については
「選手生活を終えて初めて皆さんの前でアイスショーで滑るので いい演技を頑張りたいと思います
フイギュアスケートに恩返しできることをしていきたい」


若い選手たちへのエールは

「今迄本当にスケート界をひっぱってこれたかなと思っています
若い選手が若いパワーでフイギュアスケートをひっぱっていってほしいと思います」


浅田真央さんにとってフイギュアスケートとは
「やはり人生かなと思います

すぐに飽きてしまうところもある性格(なのに)このフイギュアスケートだけは長い間続けてこられてすごいね
すべてがフイギュアスケート中心の生活でしたので
フイギュアスケートは自分の人生」


ファンの方々には
「良い時も悪い時もあきらめずに応援してくれたので それがすごいパワーになりました
有難うございました」

「今は文字通り晴れやかな気持ち
7月に(アイス)ショーがあるので これから練習」

今日着る服について
「黒か白かで迷い 晴れやかな気持ちだったので白を」

これまで試合のたびにノーミスに拘った理由は
「やっぱり失敗はしたくないですし 練習してきたから失敗したくないなと誰しも思うとー
自分は試合に強いタイプではないので」
(自分にはっぱをかけるつもりで言っていたそうです)


トリプルアクセルに関して
「伊藤みどりさんのようなトリプルアクセルが憧れで」


もしも5歳に戻れるとしたら 5歳の自分へかける言葉は
「がんばってーって自分に対してエールをおくると思います」


子供達へのアドバイス
「スケートが本当に大好きで ただただ大好きでやってきました
スケートを大好きな気持ちを忘れないでと言いたいと思います

子供が大好きなので
機会があれば スケート教室をやりたいなと思います」

トリプルアクセルに言葉をかけられるとしたら
「-トリプルアクセルへかける声
ーなんでもっと簡単に飛ばせてくれないの(笑)という気持ちです」

五輪の日本女子選手の出場枠が3から2に減ったが

「残念なことではありますが 
その2枠を争うのは ハイレベルな闘いになるんじゃないかと思っています」


ソチ五輪のショートでの失敗のあとは

「ああ 日本に帰れない  このままじゃ日本に帰れない
フリーへの試合時間が近付き
やるしかいという気持ちにー

(そして フリーの演技終了後)
あ~終わった 良かったという気持ちがこみあげてきて

ああ 泣いてちゃいけないなと思ってー頑張って笑顔にー」

これからの新しい生活には
「不安はなくて ただ前に進んでいくだけだから」

同じように引退したロシアのプルシェンコ氏については
「沢山の記録を残し 沢山のファンを魅了してきた選手だと思います
心から お疲れ様と言いたいです」


信条 ポリシーについての質問
「これがしたいという目標を持ってずっとやってきました
目標を達成する

1月から3月は時間があったので旅行したり 美味しいお店に行ったりしてました」

全日本選手権に12歳から登場
もしも過去の自分に戻れるなら 何才の自分に何を言ってあげたいか
「26年間ですもんね
あ~~~難しい

戻ることはできないので あんまり 今だって答えは出てきません」


放送はNHKで中継で NHKの中継が終わってからは民放をあちこちチャンネルを変えながら様子を追いかけていました
浅田真央さんが話すごとに カメラのシャッター音かな それがすさまじかったです


ところでね ソチ五輪のショートでの浅田真央さんのありえないとも思える失敗について 浅田真央さんは何も言い訳をしたことがありません

いったい何が起きていたのかー

それについて12日の読売新聞夕刊に記事がありました

記事の見出しは「真央を応援 これからも」
{靴を調整 小塚さん「ソチ言い訳なし 立派」

氷上の国民的ヒロインが競技人生に別れを告げた。
フイギュアスケートの浅田真央さん(26)が12日、記者会見で引退を正式に表明し、
「体も気力も全部出し切った。悔いはない」と心境を語った。

浅田さんのスケート靴を調整してきた小塚嗣彦さん(70)は、
「フイギュアスケートの一時代が終わった」と寂しそうな表情を見せた



小塚さんは、2010年のバンクーバー五輪に出場したフイギュアスケート選手の小塚崇彦さん(28)の父。
名古屋市内のスケートクラブでコーチを務め、浅田さんが米国から練習拠点を愛知県に戻した2008年頃から、
浅田さんが使うスケート靴のブレードの調整を任されてきた。
自分のスケートクラブ以外の選手のために靴を手がけるのは、浅田さんと姉の舞さん(28)が初めて。
姉妹2人とも崇彦さんと仲が良く、11年に死去した浅田さんの母匡子さんから頼まれたのがきっかけだった。

浅田さんが研磨を業者に任せていた頃は、靴をはき始めてから、ジャンプした時にエッジが「しっくり氷をかむ」と感じられるようになるまで
1週間ほどかかった。
小塚さんが研ぐと、浅田さんは「その日からちゃんと滑れる」と驚いたという。

「真央がうまく滑れなかったら自分のせい」。そう語る小塚さんに浅田さんは厚い信頼を寄せ、小塚さんが調整したブレードで五輪のリンクにも
立ってきた。
小塚さんは2014年のソチ五輪を思い返すと、今も胸が痛む。
団体戦を終えた浅田さんは、金メダルを期待された個人種目に向けてモスクワでの調整を望んでいた。
だが実際の練習拠点は、他の女子選手と同じアルメニアのリンクに。
氷の質が悪く、ブレードは短期間で刃が丸くなった。
それがショートプログラムで本来の滑りを見せられず、16位と大きく出遅れた一因になったという思いが拭えない。
急きょ研ぎ直すことになり、フリーで世界中を感動させる滑りを見せたものの、
「最後の五輪」は6位に終わった。
「そのことを胸にしまい込み、言い訳にしなかった真央は本当に立派です」と目を潤ませた。
「真央の素晴らしい演技を見たいというファンは多い。
プロスケーターになっても、変わらずエッジを研ぐでしょう」。
心を込めた研磨で浅田さんの技を後押ししてきた小塚さんは「これからも支えてあげたい」と静かに語った。}


同じ夕刊記事から
国内のフイギュアスケート人口は浅田さんが脚光を浴び始めた2005年頃から急増したそうです

浅田真央さんは15歳で2005年12月にグランプリァイナルを初制覇しました


ソチ五輪のショートプログラムでの考えられない失敗の理由はきちんとあったのです
一体 誰が浅田真央さんを そんなにも氷の質が良くないアルメニアへ行くように決めた(追いやった)のでしょうか?

浅田真央さんは他人を悪く言うことも それが事実でも故障があってーとか口にだすことはありません
全部を胸にしまいこみ


浅田真央さんを小塚お父様に縁をつないでくれたのは 亡きお母様の匡子さん


今夜も浅田真央さん特集番組で匡子さんの話題も出ておりました
素晴らしいお母様であられたのだと感嘆します


小塚お父様も素晴らしい方であるなと


そして選手を虐待するようなリンクへ追いやることを決めたのは誰!!!!!なのでしょう
浅田真央さんには ちゃんとロシアで練習できる良いリンクがあったにも関わらず

ソチ五輪当時も様々な黒い噂がありました

浅田真央さんは 金メダルが取れなった選手ではありません
取れなくさせられたー選手だったのです


浅田真央選手が引退しても これからの若い選手がおります
いつか選手を利用して金儲けはしても 自分の言うことをきかない選手は冷遇するとか
選手を守り育てるべき立場にありながらー自分達の私利私欲の為にしか動かない方々のことが明かされるといいと
思います








貫井徳郎著「失踪症候群」(双葉文庫)

2017-04-11 23:17:03 | 本と雑誌
失踪症候群 新装版 (双葉文庫)
貫井 徳郎
双葉社



解説 佳多山大地氏


小説そのままの内容ではありませんが「犯罪症候群」の題でドラマ化されております

謎多き人物 警視庁の警務部人事二課の環
彼は上司から依頼(相談)を受けると 自分の持つ非公式なチームでそれを解決していく

そのチームのメンバーの一人で現在は探偵をしている元刑事の原田の家庭にも焦点があてられている

調べていた事件に絡む人物と原田の娘に意外なつながりがあったのだ

親元を離れ 東京に出てきた学生達が
いつのまにか 行方不明となっている
消えている

これは どうしたわけなのか

浮かび上がる謎のグループ

「おにぎり」と呼ばれるモノ


消えたがる人間達の共通点



ろくでなしの若者達
簡単に人を殺す・・・・・

自分の人生
手放して やどかりのような生活をしても幸福にはなれないと思います
向き合いたくないことから逃げることは簡単ですが

緊急特番があるそうです 4月11日午後7時 テレビ朝日で「ありがとう、真央ちゃん」

2017-04-11 16:25:29 | テレビ番組
「フィギュアスケートで世界選手権を3度制し、2010年バンクーバー五輪銀メダルを獲得した浅田真央(26)が10日、
現役引退を発表。これを受けて、
テレビ朝日では11日よる7時より緊急スペシャル生放送「ありがとう!真央ちゃん」を放送する。

番組では、生放送で浅田の歴史を独占映像で振り返る。同局のカメラが初めて訪ねたのは、彼女がまだ14歳のとき。
そこから撮り溜めた貴重な映像の数々を、スケーターとしての成長物語とともに振り返る。

◆秘蔵映像も 素顔も明らかに


銀メダルで涙を流したバンクーバーオリンピック、劇的な演技で感動を呼んだソチオリンピックなど、数多くのドラマを描いた銀盤の歴史や、
長年の仲間たちが明かす彼女の素顔を明かす。

番組はMCを同局の富川悠太アナウンサーと竹内由恵アナウンサーが担当し、ゲストに松岡修造、八木沼純子、織田信成、鈴木明子、小塚崇彦を迎える」


私は念の為に録画もしておこうと思っています^^;

一つの時代が終わりました

2017-04-10 23:40:24 | ちょっとヒイキの引き倒し?!
伊藤みどりさんが現役を引退してから 私生活面などの変化(結婚 出産)などもあり暫くはそんなにフィギュアスケートを観ない
ー観られないかな^^;-日々が続いておりました

隣の部屋でテレビを観ていた両親から フィギュアスケートにいい選手が出てきた
顔も綺麗だしスタイルも外人にひけをとらない

それが荒川静香さんであり また安藤美姫さんであったりしました

そして愛らしい浅田真央さん

私の子供と同じ年で すごいなあと そう思いながらくるくる回る様子を見ておりました

小さな頃の浅田真央さんは天使そのもの

その実力と才能 演技 
日本にもこんな選手が出てきたか!と
美しい容姿 


それからは・・・・

ルール変更や納得いかない採点にも泣かされ 無責任な殆どがデマの憶測記事に苦しめられ

浅田真央の字があれば名前を入れれば記事が売れるーとばかりに書かれる記事やニュース

どうにかならないかと思うほどに そういう金にしようという人間に追いかけられて

そんな中でも結果を残してきた浅田真央さん

その高い人気を妬みひきずりおとそうとか 浅田真央という人間を貶めようという悪意に満ちた記事を書く人間

ジャンプをイチから見直すーという途方もない取り組み
演技を更にこまやかに丁寧に美しく 
難題を次から次に自分に与えて


昨年 故障がある中での全日本
不本意な成績

数字だけ見れば あの浅田真央がこの順位かーという人もいるかもしれない

一つ一つの滑りは他のどの選手よりも美しかった 素晴らしかった
故障がなければージャンプなどのミスはしなくてすんだでしょう


今迄よく頑張りましたね
お疲れ様です
有難う
これからは わけのわからない審判に苦しめられることなく 自分の好きな滑りをして下さい
浅田真央のフィギュアスケートを できることならプロとしてー魅せて下さい
滑り続けて下さい

でも 口惜しさもあります
もう一度 浅田真央ここにあり!と浅田真央選手自身が納得できる演技で順位で引退させてあげたかった

今夜 浅田真央さんの現役引退が発表されました

いつか 数年前に高橋大輔さんと話されていた「ロミオとジュリエット」アイスショーで実現させて下さい

ゆっくり休養なさって 選手の間はできなかったことを 自分のしたいことをなさって下さい

長い間 有難うございました

これからの人生のお幸せを祈っております



ーちょっと追加で 4月11日の読売新聞の夕刊のコラムと記事からー










テレビでも盛んに話題にしておりました
引退となってから 持ち上げるくらいなら どうして選手時代に優勝しても「表現力がない」とか誹るような事を言ったり 色々貶めるような発言をしていたのかと

根拠のない非難に傷つくことも多かったろうなと

嫌な質問にも笑顔で答えておられた浅田真央さん
引退についての記者会見でおかしな質問をされないか そのあたりも心配です

石投げて 背中にダイナマイト貼り付けてやろうかと思うような記事を書くライターさんもおられるのでーー;

「恋する魔法使い」-17-

2017-04-08 23:32:36 | 自作の小説
アクシナティの兵士達と皇女ファナクが無事に帰国できるように船に食糧や飲み物を用意するなど 通訳代わりとしてもベルナーは多忙きわまりなかった

船旅でファナクが不自由しないように準備を任されてロズモンドも忙しい

よく治められているレイダンド国では・・・ディスタン王は暇だった
ディスタン王はアクシナティの兵士達を前にしたベルナーの姿が忘れられない
あれこそ 王そのものではないか
王位につかず事が片付けば かの領域に帰るとはーなんと惜しいと思っている

普通は王位を巡り殺し合いなど起きたりするものだが この国の人間ときたら血筋なのだろうか

王位に固執しない
なり手が無いから仕方なく王座を預かるとか 王位につくとか

そんなディスタン王に客があった
かの領域の住人である

かの領域では大長老アスザックの下に三人の長老がいる
そのうちの一人バイオン長老がアスタリオンについて伝えたいことがあると そう申し出たのだ
バイオンはアスザールの兄弟子でアスザールの死後はアスタリオンを指導してきた

アスタリオンがアクシナティがレイダンド国を攻める噂を聞き その真偽を確かめ夷実であればレイダンドを守りたいと申し出た時 
かの領域を出ることを許されたのは それが一種のテストでもあったからだとバイオンは話す

なまじ術の使える人間が自分だけの私利私欲の為に動けば世は乱れる

かの領域はそういう間違いを起こしそうな人間は外に出さない
領域の外の世界を知ることも重要だが 外へ出ることは危険なことでもある

アスタリオンに隠れてバイオンや数名の者が彼の言動を見張っていたという

アスザールとバイオンの師であるアスザック大長老が自分の後継者としてアスタリオンに期待をかけている
この旅でアスタリオンは一つ間違えば命を喪う自然を操る・・・海の流れを変え風を使う術を使った
力の無い者なら術が自分に返り その身が木っ端微塵に砕け死ぬ

術を使ったあとアスタリオンは一度倒れたが甦った

その後を見るにつけ 逆に力が増したように見える
むしろ今迄その力を塞いでいた栓が抜けたように そのふるう術がより力強く大きくなった
無理な力を使わずごくごく自然に術を操っているよう
「術を使うには胆力がいる
アスザールのさせるどんな修業にもアスタリオンはそれが当たり前の事と受け止め音を上げなかった
その稀に見る素直さ
我々はアスタリオンの成長に目を見張ってきた
あの誰からも憎まれぬ性格 人柄
力をひけらかすことなく」

それでも本当はレイダンド王家の人間
アスタリオンが王子リオデールとして生きるなら それも良しーと
アスザック大長老は話していたと
アスタリオンとして かの領域に戻るならば いつか大長老としてかの領域を統べる者になるという
特別な場所ではあるが その地位は魔法使いの王と呼ぶこともできる

今後もアスタリオンの言動を見届け 必要あらば守るのだとバイオンは話す

ひと通りの話が終わると ディスタン王に問われるままにバイオンはアスタリオンの子供時代の話をした


そしてベルナーは 確かに忙しいのだが 忙しくして自分の本当の心と向き合わないようにもしている
必死で助けに来てくれたロズモンド
彼女の温み 彼女の声 
あの呼びかけがなければー自分は体に戻って来られなかった
何処かに魂が飛んでいた
傍にいるだけで・・・心が温かくなるロズモンド
いつかメリサンドが母親の跡を継いだように メリサンドの跡を継いでロズモンドも立派な女官長になるのだろう

ー全て片付けば必ず戻ると大長老と約束をした

人知れずベルナーは唇を嚙みしめる

恋心は想う気持ちは消そうと思って消せるものではありはしないのに
伸ばしかけた腕を指を握りしめる

想うほどに・・・・・言葉は胸の奥にたたまれる

ー去って行こう 気紛れな歌うたいとしてー

それでも想いは深まる その眼差しに心が溢れる
歌うたいのベルナー 歌えば心が現れる
歌うたいは歌えなくなる

魔法使いのアスタリオンは沙漠を越えてかの領域に戻らねばならない





ブロディルの第一王子アンドールも今後を真剣に考えていた
王妃のいないこの国
マルレーネとメリサンド女官長が城の内うちのことは決定して采配している

ブロディルには 母がまだまだ元気な王妃がいる
元気過ぎる両親 国王夫妻のもとで弟たちには充分な見習い期間がある 国王になる為の

長男としてまずは自分の決断を弟たちに話す

アクシナティや皇女ファナクのことなどで思いがけず滞在が長引いたが いつまでも帰国せずに 
このままだらだらレイダンドにいるわけにはいかない

「ディスタン王の許しを得ることができれば マルレーネ姫をブロディルに招待しようと思う」
そう言って弟たちの顔を見る
「国を継いだら そうそう他の国にも出かけられまい マルレーネ姫が申し出を受けてくれたなら」

アンドールは両親に 特に母親にマルレーネ姫を会わせたいと思っているのだった

それで話がまとまれば ブロディルの国王夫妻を説得しマルレーネ姫と共にレイダンド国で暮らしたいと
アンドールは言った

「ははん・・・のった」とロブレインが言う

「のった・・・って兄さん ブライ?」
ダンスタンは楽しそうなロブレインが不思議だ

「たぶん アンドールは思ったんだ 兄弟の誰かがレイダンドの王にならないといけない
ならば国王夫妻も元気なブロディル国ならば」

「頼りない弟たちでも大丈夫 任せられると」
ロブレインの言葉をリトアールが受ける


「さて僕は王ってのはガラじゃない サブの身 補佐とかが気が楽だ
かと言って弟なんぞを王よーと呼ぶのもごめんだね
僕はアンドールについてく 兄弟半々だ
弟二人はブロディルで どっちかが王になればいいさ」


ロブレインは本の部屋でフレイダのアデリスの話をしたエルディーヌ姫の姿を思い返していた
レイダンドの国を愛している姫
彼女をこの国から引き離すことはできない

「-となれば 僕もエルディーヌ姫に申し込んでこよう
うまくいけばアンドールと僕は一度国へ戻り それからレイダンドへ帰ってくる

リトアール ダンスタン 我が愛しき弟たちよ
お前達はその間に今後についてしっかり決めておけ」
それからアンドールを見て「じゃ行こうか 一生を決めに」

やや呆気にとられた弟二人を置いてアンドールとロブレインは部屋を出て行く

残された二人は どちらからともなく笑い出した

「何なんだろ あのコンビネーションは」
まいったという表情のダンスタン
リトアールも首をかく「猶予をくれたというわけか」

「天国と地獄」(1963年 日本映画)

2017-04-08 15:13:26 | 映画
天国と地獄[東宝DVD名作セレクション]
クリエーター情報なし
東宝


又かーと言われそうですが^^;Wikipediaのサイトがよくできているので出演者コピーさせていただいております
出演者

権藤金吾
演 - 三船敏郎
製靴会社「ナショナル・シューズ」の工場担当常務。16歳で見習い工として入社した叩き上げで、仕事に生きがいを感じており権力闘争にも余念がないが、それは権力欲ではなく理想の靴を作りたいという思いから来ている。
戸倉警部
演 - 仲代達矢
誘拐事件の捜査担当主任。冷静沈着なエリートだが、犯人のやり方に激しい憤りを抱き、捜査に執念を燃やす。
権藤伶子
演 - 香川京子
権藤の妻。裕福な家庭で育ち、金銭や地位に執着しない性格のため、権力闘争に腐心する夫の姿を快く思っておらず、誘拐事件の際にも終始身代金を払うよう頼む。
河西
演 - 三橋達也
権藤の秘書。5000万円の小切手を持って大阪に渡るよう指示されるが、敵対する重役らに懐柔され、誘拐事件のさなか権藤を裏切る。
青木
演 - 佐田豊
権藤付きの社用車運転手。息子・進一を男手ひとつで育てている。息子を取り戻した後は権藤に対する自責の念から、独断で犯人のアジトを突き止めようとする。
田口部長刑事
演 - 石山健二郎
いかつい風貌で情に厚い部長刑事。横浜港を擁する県警であることから戸倉や部下たちには「ボースン(水夫長)」と呼ばれている。
荒井刑事
演 - 木村功
田口の部下。通報当初から戸倉・田口らとともに権藤邸に詰める。一言多いところがある。
中尾刑事
演 - 加藤武
荒井の同僚。権藤邸に詰め、戸倉・田口らと行動するメンバーの一人。
竹内銀次郎
演 - 山崎努
誘拐事件の犯人。貧しい環境に暮らすインターン(現在の研修医)で、自宅の窓から見える豪邸で裕福な暮らしをしている権藤に対し一方的に憎しみを募らせた末、犯行に至る。
その他の出演者[編集]
ナショナル・シューズ重役
宣伝担当重役・神谷:田崎潤
デザイン担当重役・石丸:中村伸郎
営業担当専務・馬場:伊藤雄之助
権藤邸
青木の息子・進一:島津雅彦
権藤の息子・純:江木俊夫
警察
捜査本部長:志村喬
捜査一課課長:藤田進
村田刑事:土屋嘉男
山本刑事:名古屋章
島田刑事:宇南山宏
高橋刑事:牧野義介
小池刑事:鈴木智
中村刑事:田口精一
上野刑事:山本清
原刑事:児玉謙二
刑事:伊藤実、鈴木治夫
鑑識課員:加藤和夫
その他
新聞記者:千秋実、三井弘次、北村和夫、近藤準
債権者:山茶花究、浜村純、西村晃
靴工場の工員:東野英治郎
病院の火夫:藤原釜足
刑務所長:清水将夫
裁判所執行吏:織田政雄、松下猛夫
内科医長:清水元
横浜駅の乗務員:沢村いき雄
魚市場の事務員:清村耕次
病院の外来患者:大村千吉
看守長:田島義文
麻薬患者:菅井きん、小野田功
殺される麻薬街の女:富田恵子
ノンクレジット出演者
特急第2こだまのビュッフェの客:渋谷英男
特急第2こだまのビュッフェのコック:松井鍵三
共犯者:中西英介、葵正子(公開時のパンフレットに記載)
ニュースキャスター:田英夫
権藤家女中:八代美紀、小沢経子、清水美記(公開時のパンフレットに記載)
刑事:草間璋夫、熊谷卓三、生方壮児、堤康久
国鉄乗務員:橘正晃、天見竜太郎
新聞記者:大滝秀治
酒場に現れる女:岩崎トヨコ
麻薬患者:鈴木和夫
麻薬街の男:常田富士男

更に詳しい情報はこちらで どうぞ♪↓
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A9%E5%9B%BD%E3%81%A8%E5%9C%B0%E7%8D%84_(%E6%98%A0%E7%94%BB)

この俳優さんがこの役かーと それだけで楽しくなるのですが

黒澤明監督作品です
原作はエド・マクベインの「キングの身代金」
それを換骨奪胎した形ですが 脚本が実によくできています

会話だけで権藤金吾(三船敏郎)がどういう人生を歩んできてこういう人間になったか よくわかります

高台にある大きな家 豪邸である権藤宅を訪問している男達三人はナショナルシューズの重役達 
神谷(田崎潤) 石丸(中村伸郎) 馬場(伊藤雄之助)


社内でのクーデターを計画しており 自分達三人の持ち株では社長の持つ株に勝てないので 権藤を巻きこもうとしております
その場には これまでは権藤の片腕であったらしい秘書の河西(三橋達也)も同席

会社の社長は実用性重視の軍靴のように丈夫な靴を作り それでは儲けが少ないので重役達はもっと簡単に作れて見かけだけはいい靴を売りたいよう
「適当に壊れてもらわねば 商売にならん 兵隊靴が理想の靴ではー 実用的すぎて売れない」
などと不満を話します
16歳からナショナルシューズで働いて重役になった権藤は靴を作る工程を軽視する彼等には同意できません
靴と帽子は同じものではないと話します
「靴は女の目方を乗せて歩く」
営業畑の彼等の言うような見かけばかり重視の靴ではひと月も持たない
「君 こんな靴は ひと月もたたんうちにバラバラになってしまう
こんなものを君たちは売ろうというのか」
そんな粗悪品を売ることは長い目で見ると会社の為にはならない
「俺は俺の理想の靴を作る」

そしてその企てが成功した場合 新社長は誰を考えているのか尋ねます

営業の馬場が考えた話だ 馬場が社長になるのが穏当だろうーそんな話です

彼等の考えが自分とは相いれず 他に考えていることもある権藤は彼等を追いかえします

二階から降りてきた権藤の妻の伶子(香川京子)は もうお帰りですかーと

車まで送ってきた河西を自分達につかないか抱きこもうとする男達三人

権藤は家屋を抵当に入れて5千万円という金を作りー持ち株を増やして自分が社長になろうという計画を立てて大阪からの電話を待っておりました
話は成り 秘書の河西に金を持たせて大阪に行かせようとしていた矢先

子供を誘拐したという電話がかかるのです

運転手の青木(佐田豊)の子供の進一(島津雅彦)と遊んでいたはずの純(江木俊夫)
けれど純はおりました
姿が見えないのは青木の息子の進一

おもちゃの銃で撃ちあいごっこをしていた純と進一は役を変えて服を取り換えて遊んでいたのです
犯人はそれで間違えたのでした

しかし電話を受けた時には進一が人違いで誘拐されたとは知らず 純がいたものですから
とんでもない悪戯をする奴がいたものだと権藤は怒っています

その後 誘拐犯が言う身代金は三千万円

進一を救う為にはかき集めた金を吐き出さないといけません
そうなれば権藤は破産です
伶子は身代金を支払うように懇願

五千万円を大阪に持っていかねば株は買えない
ナショナルシューズの社長になることもできず破産です


通報を受けて来た刑事達は最初は居丈高に見える権藤に反感を抱いております

周囲を一望できる高台にある家
使用人も幾人もおります

しかしだんだん権藤の状態が分かってくるとー
自分は破産しても運転手の子供の命を救う為に身代金を支払う決意をする姿を見て

むしろざっくばらんなその心情に触れ権藤に好感を抱くようになります
戸倉警部(仲代達矢)などは助言めいたことまで言ってくれるようになります

ー運転手とはいえ他人の子供に三千万円支払うか 家も全て担保に入れて作った五千万円ー

破滅への道を選択した権藤を河西は見限り 例の重役三人組へと寝返りました

もう ついていっても益はない 

債権者達は支払い期限を延期してもらう為に送った利息の手形を返してきます
他人の子供の身代金が払えて 自分達に払う金が無いとは言わせない

戸倉警部を始め刑事達はそうした辛い立場の権藤に対し心をいためています

人命重視ではあるけれども その為に権藤の人生は
16歳から働きづめでやっとここまで来たのに
またゼロかマイナスから出直さなくてなりません

犯人からの指示は厚さ7cm以下の鞄二つにお金を入れて特急こだまに乗ること

その後のことは「乗ればわかる」

戸倉はその鞄にある種の仕掛けを施そうと考え「本職を呼ばねばー」

すると伶子に道具箱を取りにいかせた権藤は 自分が職人としての腕を使い鞄に細工をします
「まったく イチから出直しだ」

そうぼやきながらも鞄に手をくわえていく様子は何処かいきいきともしています
つくることが本当に好き
良い物を作ろうとする職人の心意気・気概がある人物なのでしょう
口下手で誤解され損する部分は多いようですがー

その鞄を持って権藤は指定されたこだまに乗り 刑事達も乗って警戒しています

列車の電話で権藤に呼び出しがあり その電話は犯人からの指示
色めきたつ戸倉警部ら

こだまの窓は洗面所の窓のみが7cmだけ開けることができるとか

権藤は犯人との電話のやりとりで子供の姿が見えないならば金は渡せないーと話しておりました

犯人は鉄橋の手前で子供の姿を確認したら 鞄を洗面所の窓から捨てろと
金を受け取ったら子供は自由にすると話しました

進一は無事に戻ります

権藤邸を引き上げ捜査方針を決めて 戸倉警部は話します
「あの人(破産してしまう権藤)の為にも それこそイヌになってホシ(犯人)を追うんだ」

犯人が権藤邸の窓を見張っていた場所から限定し
犯人の電話に入った音から何処の路線か調べ

そうした地道な音をあげたいような捜査が続きます

また進一の記憶からも手がかりを得ようとします

もっと覚えていることはないかと我が子を責める青木
むしろ刑事や権藤からたしなめられるほどに

旦那様 奥様に申し訳ない思いの青木は進一を乗せて犯人が通った道路なども見つけようとします

灰色のトラペットクラウン59年型が犯人の使った車らしいと分かり
乗り捨てられている車が見つかります
その車に付着しているものなどから更に絞られていくのですが

進一の記憶から進一が監禁されていた家を見つけられますが そこでは男女が死んでいました
重度のヘロイン中毒者
純度の高いヘロインを使用して死に至った
これは殺人だと推理する戸倉警部
進一は犯人の絵を描きます

犯人は黒メガネとマスクで顔を隠しておりますが 手にハンカチを巻いていたと
そこに何かの特徴がある人物が犯人と思われます

戸倉警部は犯人に罠をしかけることにしました
犯人が殺した男女の死について記者たちに記事にしないように頼みます
世論が同情する権藤氏の為に
犯人を捕らえる為に
そして権藤氏に冷たいナショナルシューズの事も話します

記者達は警察に協力し 書かない記事の穴埋め記事としてナショナルシューズを叩く記事を書くと 戸倉警部の意を汲んでくれるのでした

犯人は身代金に用意された紙幣の一部が使用されたという警察の罠の記事に動揺し 身代金が入っていた鞄を燃やします
この映画はモノクロ映画なのですが この燃えるピンク色の煙ばかりがカラーです

それは戸倉警部が用意し権藤が鞄に仕込んだ仕掛けでした
燃えるとピンク色の煙が出る

権藤の息子の純と青木の息子の進一がその変わった色の煙に気付き 刑事達に教えます

その燃やした場所からそれを持ち込んだのはインターン(医学生)らしいとわかり 病院でとうとうそれらしい人物を刑事達は見つけます
執念の捜査でした

犯人と思しき青年・竹内銀次郎(山崎努)の手には大きな傷のようなものが見えました

かくして竹内に殺された人間(共犯者の男女 誘拐した進一を監禁していた)の筆跡を真似した脅迫状が竹内に届けられます
「ヤクをくれないと バラすぞ」

ー共犯者は死んでいないのかー竹内は不安になります
そしてヘロインを入手しようと動きます
警察側は竹内を囲むように見張っています

竹内が何をしても刑事側は こっそりと大騒ぎ
花屋に入ったと聞けば 「誰かを花屋に行かせろ」 「駄目だ 花屋に行けるような顔をした奴がいない」
(人相の悪い ガラの悪いのばっかだったらしい)
花屋で竹内が赤いカーネーションを一本買うと報告を聞いた刑事の一人は
「今日は母の日だったかな」と呟き 他の刑事から頭をはたかれます

買ったカーネーションの花を胸ポケットにさし目印にして 外国人もいる大勢の人間が出入りする怪しげなバーのカウンターに座る竹内


ヘロイン中毒者がいっぱいいるような場末にも竹内は入り込み そこで末期症状の中毒患者らしい女性を見つけます
この女性の演技がね 真に迫ってて もう「リング」などの貞子さんより余程ホラー 怖いです
その動き 人間じゃありません

お休み百円という安宿に女を連れ込む竹内は非道にも純度の高い手に入れたばかりのヘロインを女に与えました
まずこの女で実験してみたのです
哀れ女は即死でした
竹内が宿を去ったあと 刑事が部屋に入ると女は泡を吹いて死んでいました

今度こそ カタをつけようと竹内は共犯者の男女の家へ向かいます

待っていたのは刑事達
竹内が身柄を拘束されるところは音声が入りません
遂に竹内に手錠がかけられました

権藤の鐘は少しだけ使われておりましたが 殆どは戻ってきました
しかし支払期限は過ぎているために 差し押さえの紙が家具などに貼られていっています
犯人は逮捕できましたが 権藤には遅いー手遅れの解決になってしまいました

さすがに権藤の妻の表情は暗いです

死刑が確定した竹内は死を前の聖職者との面談も断っておりましたが 権藤と話すことをただ一つの望みとして言い出します

竹内「やぁ権藤さん どうもわざわざ 元気そうですね」
ことさらに快活を装う竹内は権藤の現在の様子を尋ねる

権藤は今いる会社をナショナルシューズに負けない会社にするつもりで頑張っていた

竹内は権藤が自分を憐れむように見ていると思いこう言う「わたしを憐れむような目で見ないでください
わたしが死刑になって嬉しいでしょ
嬉しくないいんですか」

竹内には部屋の窓から見える高台にある権藤の屋敷が天国のように見えていたと話す
自分がいるのは地獄に思えて
だんだん天国の暮らしをする権藤が憎らしくなった
幸福な人間を不幸にするのは嬉しいことなのだーなどと話す

対して権藤は「君はそんなに不幸だったのかね」

竹内に対峙する権藤からは かつてナショナルシューズの重役達に対した時のようなギラギラしたものや傲慢さも消えて 何処かすっきりした表情だ

権藤は「それで君は一体何の為にわたしを呼んだんだ」と静かに尋ねる

竹内「今更 同情なんてしてほしくありません
惨めったらしく死んだなんて想像されるのはたまりませんからね
手の震えるのは生理現象です
死刑なんて平気だ

地獄みたいな生活には慣れているんです
天国に行くなんて言われたら それこそ震え上がるかもしれませんがね」

だが 強がりもそこまでで 遂には暴れ喚き刑務官に連れていかれる竹内

そこで「終」の字が浮かぶ



戦後のインテリ青年だった竹内
何処か無頼 人を殺すこともなんとも思わないー
そう思いこみ悪ぶって・・・・・
こんなに優れた自分がこんな惨めな暮らしをしているー

ただの人間なのに間違った驕り

頭のいい優れた人間のはずの自分が 逮捕されることへの怯えから 警察の罠にはまり やらなくてもいいことをして
ボロを出してしまった

いつか来る死刑の執行が その時が怖くて仕方ない
臆病な人間である自分
その臆病さからは逃げられない

優れていると思い込んでいた犯人は 苦しめようと思った権藤にも 自分を逮捕した警察にも そして自分にも負けていた
また刑務所の自分の房に戻ると思うだけで 訪れる死を思うだけで怯え喚かずに暴れずにいられない
他人を殺しても苦しめても自分が死ぬのは恐ろしいのだ 嫌なのだ
覚悟のかけらも無い

対して戦争も乗り越え ずうっと働いてきた権藤は腹が座っている
「また イチから出直し やり直しだ」


弱い人間が強い人間の豊かさを妬み 自分の弱さに負けた

犯人を逮捕し正義を為そうとする刑事達の執念にも


刑事役や事件の謎を解く正義感あふれ誠実な役柄も多かった三橋達也氏がこの映画では目先の欲で人を裏切る浅薄な人間を演じているのも面白いです

時代劇「用心棒」「椿三十郎」では三船敏郎氏に斬られる役柄の続いた仲代達矢氏が この映画では刑事として三船氏の味方のような役割なのもまた

無駄なセリフが無く 今 観てもきちんと映画の面白さや醍醐味のある作品です


江ノ電の電車の音とか ヘロインの中毒患者の集まる場末も場末
そうした様々 どれほどのことを調べて書かれた脚本なのか 撮られた映画であるのかと そこにも感心するのでした


↓この映画の感想でいいなと思ったサイトさんです

http://yojimbonoyoieiga.at.webry.info/200512/article_32.html

http://eiga-watch.com/tengoku-jigoku/










「恋する魔法使い」-16-

2017-04-07 20:39:09 | 自作の小説
レイダンド王ディスタンは前もってベルナーに言われたように とびきり豪華で威厳あるように見える椅子に腰かけ無言のままアクシナティの兵達と皇帝コキンタクを見下ろしている
「他の事を考えていても思惑ありげに睥睨しているように見えたらよろしいのです」
とベルナーは言った
遅れてやって来たカズール・シャンデ将軍は ディスタン王に一礼してからレイダンドの軍人達の端に立つ
少しして姿を現したベルナーはロズモンドと一緒だった
ベルナーもディスタン王に対し優雅な一礼をしアクシナティの兵達へと体の向きを変えると 城中に響く声で話し始めた
「リシュウライ将軍と名乗る魔法使いログサールは死んだ
今 かの領域の掟に従い火葬にしてきたところだ

愚かにもお前達はログサールの術にかかっていたのだ
皇帝コキンタクはログサールに操られ あろうことか皇女ファナクをログサールに与える約束をした

ゆえに賢明なる皇女ファナクは同じ魔法使いであるわたしに光栄にも助力を求められた
父上を正気に戻さんが為に
皇女ファナクだけが・・・ログサールの企みに気付いていた
聡明なる皇女ファナクはレイダンド王の保護の下にある

皇女ファナクはこれからは こちらの大陸と同盟を結び その交換条件としてアクシナティの兵達が無事に国へ帰ることを希望しておられる
反対する者はいるか?!
おらるるならば名乗り出られるが良い」

激昂している状況が分からない馬鹿がいた「誰に向かって物を言うか!アクシナティの皇帝コキンタクこそが物事を決める」

「この状況下でも それを言われるか
アクシナティの兵士達よ わたしには皇帝コキンタクのみが 死せるログサールの術から覚めていないように見えるが・・・・・
いかがか?」

国へ帰りたくない人間など居ない
皇帝コキンタクはログサールにかけられた術が解けていない 正気ではない
この考えは彼等には受け入れやすかった

ベルナーが魔法使いアスタリオンとしての力を言葉に混ぜ込んでいる為もあるのだが
「ならば わたしは皇帝コキンタクがアクシナティで皇后シュランサイに会われるまで 帰りの船の中では幽閉されることを提案する
正気であられない皇帝は如何なる奇妙な命(めい)を出すやもしれず危険だからである

アクシナティの勇敢なる兵士達よ
あなた方は今後 お優しくて眩しいほど美しい皇女ファナク様に従われるように
このレイダンドへの旅で皇女ファナク様は御自分の素晴らしい資質にお目覚めになられた
近い将来ご立派な女皇帝になられるであろう」

声の魔法 その抑揚でかける術
確かに こんな術が使えるなんて狡いかもしれない
見た目良し 声良し そしてその魔法使いとしての力たるや・・・・・
底無しーであるのかもしれない

「うん あれはズルいなー」とリトアールは言った
兄弟達も無言で頷く


その声一つでアクシナティの兵を操り皇帝コキンタクを封じ込めていく魔法使いアスタリオン

「では・・・いま皇女ファナク様がお出ましになる
ファナク様はレイダンドの姫君達とも御姉妹のように仲良くなられた
この絆こそが平和をもたらす

アクシナティの兵士達よ 国への土産に麗しきレイダンドの姫様方のお姿も眺められると良い」


今日ばかりは生きた宝石の如く豪華に着飾ったレイダンドの姫達と皇女ファナク
何しろ「できるだけ思いっきり派手にお願いします」とベルナーから頼まれていた

まだ・・・夜は明けていないが太陽が登ったような眩い美しさ
いっそ美の暴力と呼ぶべきか

姫君達の姿は夢のよう

艶やかに装った姫様方とは逆に濃い紫色の衣装のみの女官長メリサンドも凜として美しい

四人の姫のこれぞお姫様といういでたちは その美しさに慣れた筈の四人の王子達にも爆弾を落とす
アンドールはマルレーネの女王そのものの威厳ある美しさに ロブレインはエルディーヌの美以外の何物でもないその気高い姿に
リトアールはアシュレインの浮世離れした透明感と愛らしさに ダンスタンは珍しく豪華極まりない姿のリザヴェートに見惚れ
それぞれ心を掴まれる


アクシナティの兵達は皇女ファナクのあるべき姿での素晴らしい美しさにひれ伏した
この皇女が リシュウライ将軍の謀(はかりごと)を見抜き 自分達を国に無事に返す為に動いてくれたと言う

一人の兵が叫ぶ「皇女ファナク様の為に! ファナク様 万歳!」
他の兵達も後に続いた


ベルナーはアクシナティの兵達の様子を観察していたが 皇女ファナクの為に兵を選び護衛の任に就ける

皇女ファナクはベルナーのしてくれた事に感動しきりだった
頼りになる人間というものは・・・・

帰国するまでの限られた時間でベルナーの一挙手一投足をファナクは追い続ける
欲しい物が手に入るわけではないことはこの旅で学んだ
優しい眼の金色の髪の魔法使い
素晴らしく美しい声を持つ
まるで王のようなその佇まい
沙漠の砂の一粒までが従いそうな

ベルナー ベルナー
心の中で呼んでみる ベルナー

皇女ファナクが安全に国に帰れるように心を砕いてくれている
ーアクシナティに帰っても・・・きっと一生忘れない
その海のような瞳 どんな黄金よりも美しく輝く髪

「恋する魔法使い」-15-

2017-04-07 00:39:07 | 自作の小説
襲うとしたら夜かー
姿くらましの術をアクシナティの兵と皇帝コキンタクにもかけてレイダンドの城近くまで来た将軍リシュウライ

城に奇襲をかけて騒動の間に姫さん達にも術かけて連れ去ろうと考えている

アクシナティの兵がどうなろうが もう知ったことではない
面倒でしかなかった

煩いからコキンタクにもアクシナティの兵にも従うだけの術をかけている
ー馬鹿は術にかかりやすいーと将軍リシュライで元魔法使いのログサールは思う

レイダンドの魔法使いにも少しは意趣返しをしてやらねば

人の役に立つことは考えない人間だ

アクシナティの将軍としてアクシナティの兵を使い数え切れない人間を殺してきた
人の命を奪うことなど何ほどにも思わぬ

稀に術にかからない人間がいる
クリスタベルにはログサールの術は効かなかった

そうだ恋だの愛だのは人を弱くする
そんなものは人には俺には不要だ

それでも結局はクリスタベルへの執着を断ち切れていないログサール

似ているという噂のエルディーヌ姫

ログサールは自分の動機に気づいていない


人は愚かなものだ
己の愚かさに気づく 気付ける人間は少ない


夜 ログサールは覚めない眠りの魔法を城に向かってかける

静かな城へとログサールに操られたアクシナティの兵とコキンタクが襲い掛かる

「燃やせ! 襲え! 殺せ!」
コキンタクとアクシナティの兵士たちの頭の中にはログサールの言葉が響いている
善悪も何もない


殺戮を! 殺戮を! 殺戮を!

ログサールは一人 別行動を取る


城は眠ってはいなかった

それをログサールは まだ知らない
自分の術が生きていると信じている


故に故に彼は叫んだ
「現れよ レイダンドの美しき姫よ!」


「そこまでだ 」

現れたのはクリスタベルと同じ色の髪の・・・・・

「な・・・なんだ 貴様は 何者だ」

「アスザールの弟殿とお見受けする」
ーとベルナーは言った


「おまえがレイダンドの魔法使いー!」

万事休すかーとベルナーの様子に感じ取ったかーログサールは身を翻す

その方向にはベルナーの様子を心配して来たロズモンド

ログサールはロズモンドを捕まえた
ベルナーに向かって叫ぶ「お前がかけた術を解け!さもなければ この女の首を折るぞ
この女の体をバラバラにしてやる」


「私にかまわないで! 殺しちゃって!」

「僕は魔法では人を殺さない」

「甘いことを言うものだ」
ログサールは鼻で笑う


「その人を離した方がいいと思うけどなー」とベルナーが言い終わらないうちだった

ログサールの首が落ちたのはー

近寄ったベルナーがロズモンドを抱きしめる

「????」事態が理解できてないロズモンド

ころころとログサールの首が転がっていく

「こんな奴には問答無用だ」剣を収めて吐き捨てるように言うカズール・シャンデ将軍

夜襲が始まってすぐ将軍はロズモンドの護衛についた
それがベルナーの頼みだったので

ずうっと少し離れてロズモンドについていて ログサールがロズモンドを捕えると背後から音もなく近寄り その首を斬り落としたのだ


カズールにすれば やっと会えた自分の娘を殺されてたまるか!でもあったが

ベルナーは自分の弱味はロズモンドだとシャンデ将軍に言った
邪悪な魔法使いは相手の弱味を見つけるのが巧みだ

ベルナーはロズモンドの身に密かに守護の術をかけてはいるがーそれでも保険をかけた

「嫌な役目ですが魔法使いを殺すなら素早く 非情であらねばなりません
それにはシャンデ将軍をおいて他にはないと」

「有難うございます シャンデ将軍」
任を終えたシャンデ将軍をベルナーはねぎらった

無言で頷くとシャンデ将軍は庭へと向かう
そこにアクシナティの兵達が全員捕えられているはずであった


ベルナーはロズモンドがカズール・シャンデの娘であることは知らぬままに 最も適任の人間をロズモンドの護衛につけたと言える
喪った眼のことでもカズールはログサールの卑劣さを知っていた

自分の一番の弱点がロズモンドだと認めた魔法使いの青年 
あの男はロズモンドに恋しているのか!?
ひどく複雑な思いのカズールでもあった

親子であることについて詳しい話はまだロズモンドとしていない
アイーシャ メリサンド女官長も交えて今後の生活についても「家族」で話し合わないといけないだろう
願わくばー
もう離れて暮らしたくないとカズールは思っている
存在も知らなかった娘 会ったばかりの娘をベルナーは望んでいるのか
そしてロズモンドの気持はー

一度強くロズモンドを抱きしめたベルナーは 転がったログサールの首を拾い死体をまとめるというゾッとしない作業をしていた
「これを燃やすのに良い場所を知りませんか」とロズモンドに尋ねる

それから済まなそうに小声で言った「ごめんね 今はやる事ばっかりで追われてるんだー済んだら ゆっくり・・・ね」

燃やしても安全な場所でログサールを火葬にし 人をつけて見ていてもらってベルナーとロズモンドもアクシナティの兵が居るはずの庭に向かった

アクシナティの言葉が分かるのはベルナー一人

皇女ファナクはレイダンドの姫君達と一緒に塔に匿われている

四人の王子とベルナーとで説得して姫達は塔に篭ってもらった
姫君達を説得するにあたり ベルナーは少しだけ言葉に力を混ぜた
ベルナー「勝利を祈っていて下さい レイダンドの者達に犠牲がないように 祈りの力を頼りにしております」
ロズモンドも姫達と塔にいたはずだったのだがー


庭ではログサールが死んだ事により術も解け これからの事に怯えているアクシナティの兵と皇帝コキンタク

「アクシナティの皇帝に対して無礼な!」
とまだ この後に至っても威張っている


「あいつ うるさいんだけど舌を引っこ抜いてもいいかな」とアンドールに言ってみるロブレイン
戦い足りなくて元気が余っている

四人の王子達はアクシナティの兵士たちを捕える作戦の指揮をしていた
「しょぼい戦いだった」と振り返るダンスタン

「早く魔法使い殿が来ないかな 退屈だ」と欠伸するリトアール

暫くコキンタクの様子を眺めていたアンドールは ただ「みっともないな」と言った










堂場瞬一著「報い 警視庁追跡捜査係」 (ハルキ文庫)

2017-04-06 22:10:43 | 本と雑誌
報い―警視庁追跡捜査係 (ハルキ文庫)
堂場 瞬一
角川春樹事務所



遺族から持ち込まれた亡くなった人間の書いていた日記には ある強盗殺人事件の犯人らしき人物の事が書かれていた

追跡捜査係でその容疑者らしき人物に接触しようとするとー強盗殺人の被害者と同じ殺され方で死んでいた

他にも刑事が会おうとした人間が殺される

また人違いされて乱暴を受ける刑事も

詐欺師で詐欺以外の罪で服役していた男は 自分を取り調べた刑事にさえ 自分を壊されたーと深い恨みを抱いていた

自分の息子までも犯罪に巻き込む恨み

そのひどくいやらしい人間性


しかし これは復讐と言えるだろうか
人を操ろうとする 自分では手を汚さない卑劣で汚い犯罪と思える

悪知恵はあるのかもしれない 執念深さも

人を恨む人間
恨み続ける人間


でもその悪は その人間から始まっているように思える

死んでからでも 生きている人間を傷つけたかった男

優れてなどいない
魂がねじ曲がっているだけだ

そんな犯罪を計画した人間が出てまいります