路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【菅首相の一日】: 5月13日(木)

2021-05-15 07:17:20 | 【政策・閣議決定・予算・地方創生・能動的サイバー防御・優生訴訟・公権力の暴力】

【菅首相の一日】: 5月13日(木)

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【菅首相の一日】: 5月13日(木)

 【午前】8時2分、官邸。敷地内を散歩。9時11分、和泉洋人首相補佐官、厚生労働省の樽見英樹事務次官、吉永和生労働基準局長。10時、和泉首相補佐官、小野啓一外務省地球規模課題審議官、荒井勝喜経済産業省総括審議官。31分、海事振興連盟の衛藤征士郎会長らから海事産業発展に向けた決議書受け取り。11時12分、アフリカ経済の資金調達に関する仏主催首脳会議、グローバル・ヘルス・サミットに向けたビデオメッセージ収録。30分、秋葉剛男外務事務次官。

 【午後】0時3分、森田健作前千葉県知事と会食。2時、薗浦健太郎自民党衆院議員。3時9分、西村康稔経済再生担当相、和泉首相補佐官、内閣府の山崎重孝事務次官、田和宏内閣府審議官、林幸宏、井上裕之両政策統括官。34分、公明党新型コロナウイルスワクチン接種対策本部の石井啓一本部長らから緊急提言書受け取り。57分、トルクメニスタンのベルドイムハメドフ大統領と電話会談。5時1分、国家安全保障会議。6時25分、田村憲久厚労相、赤羽一嘉国土交通相、加藤勝信官房長官、西村経済再生担当相、藤井健志官房副長官補、和泉首相補佐官、吉田学新型コロナウイルス感染症対策推進室長、厚労省の樽見事務次官、福島靖正医務技監。36分、田村厚労相、赤羽国交相、加藤官房長官、西村経済再生担当相。8時27分、東京・赤坂の衆院議員宿舎。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 政治 【政局・首相の一日】  2021年05月14日  07:45:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:霞が関離れ 組織の体質正す好機に

2021-05-15 07:17:16 | 【中央省庁・内閣府・1府11省2庁・公取委・主任の大臣・事務次官・官房・

【社説①】:霞が関離れ 組織の体質正す好機に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:霞が関離れ 組織の体質正す好機に

 キャリアと呼ばれる国家公務員総合職採用試験への申込者の減少が続いている。若者にとって、「霞が関」の魅力がなぜ薄れているか。それを考えることは、行政の体質改善にもつながるはずだ。

 現在、行われている春の総合職試験の申込者は一万四千三百十人で、前年に比べ14・5%減った。五年連続の減少となる。
 理由はいくつか考えられる。一つは長時間労働だ。内閣人事局は昨年十〜十一月、霞が関の国家公務員約五万一千人を対象に正規の勤務時間以外に在庁した時間を調査した。顕著に長かったのは二十代の総合職。過労死ラインとされる月八十時間を超える職員が三割以上もいた。
 長時間労働の一因とされる国会対応についても調査では尋ねている。国会審議では議員から質問内容が事前に通告され、官僚が答弁を作成する。ただ、通告が遅れることがあり、昨年の臨時国会中、通告の終了時刻が午後八時を超えたケースは36%に上った。
 二十代では自己都合による退職も増加傾向にある。若手官僚に話を聞くと、過労とともに「やりがい」を見いだしにくいという事情もあるようだ。省庁や部署によって違いはあるのだろうが、ピラミッド構造の官僚組織の中で、二十代は「使いっ走り」のような役割になりがちだという。
 民間企業が働き方改革を進め、若手を幹部に登用するところもある中、霞が関の古い体質がより見えやすくなっている。森友問題など「政と官」の関係を巡る不祥事も続発し、進路を選択する学生たちは人生をかける仕事か否かを熟考しているのだろう。
 一方、農林水産省の若手職員がつくるYouTube動画「BUZZ MAFF(ばずまふ)」を見ていると変化の兆しも感じる。大臣会見を鹿児島弁でアフレコするなど奇抜な手法も使いながら、コロナ禍で苦境にある農林水産業への支援を訴える。
 新型コロナウイルスの感染拡大で、弱い立場の人がさらに苦境に立たされる今だからこそ、官僚がさまざまな人の声に耳を傾け、前例踏襲ではない政策立案ができる環境の整備を望みたい。
 国会との関係を見直し、オンライン化による効率化を進めることはもちろん必要だが、それにとどまらず、縦割りや閉鎖性など根強く残る官僚制の欠点を見直す好機にもしてほしい。それは志を抱いて公務員になった人たちの「やりがい」にもつながるはずだ。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2021年05月13日  08:19:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:インドのコロナ 日本の存在感が薄い

2021-05-15 07:17:12 | 【感染症(1類~5類)・新型コロナ・エボラ・食中毒・鳥インフル・豚コレラ】

【社説②】:インドのコロナ 日本の存在感が薄い

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:インドのコロナ 日本の存在感が薄い

 インドで、新型コロナウイルスの爆発的な感染が続く。同国はワクチンの輸出を中断して国内接種を優先するが猛威は収まらない。敵対国も支援に動いている中で、日本の存在感は薄い印象がある。

 人口十四億人弱のインドでは今、一日約四十万人がコロナに感染している。死者数も一日四千人前後、累計二十五万人に達する。
 医療崩壊で患者は病院に入りきれず、犠牲者は歩道や駐車場で火葬されている惨状だ。「毎日のように知人の誰かが亡くなったと知らされる」。現地からの報道が伝える国民の悲嘆が切ない。
 一日あたりの感染者は二月までは一万人以下だったが、変異株が発生した影響などで急拡大。インドの変異株は、感染力の増強や免疫の低下を招くとされる。日本でも既に確認されている。
 世界最大のワクチン製造工場を持つインドは当初、アストラゼネカ製を輸出していたが、爆発的な感染拡大で三月に輸出を中断。モディ政権は大規模な選挙集会やヒンズー教の沐浴(もくよく)行事に規制をかけず、感染を広げたと批判された。
 これまでに四十カ国以上が支援に乗り出した。米国は一億ドル(約百十億円)分の医療物資や二千万回分のワクチン原材料を提供する方針を四月に明らかにした。欧州各国も人工呼吸器などを送る。
 いち早く支援を申し出たのは、カシミール地方の領有権で対立するパキスタン。人工呼吸器などを送ると表明した。また、中国は昨年、国境地帯でインドと武力衝突し、四十五年ぶりに死者が出たが今回人工呼吸器など二万六千台と大量の医薬品を発送したという。
 対して日本は、各国に遅れて支援を表明したものの、提供する人工呼吸器と酸素濃縮器は計六百台程度。その後、今月に入って茂木敏充外相が最大五十五億円の無償支援を追加すると表明した。
 インドは、日米豪とともに、民主主義の価値観を共有し、安全保障や経済を協議する四カ国の枠組み「クアッド」の一角。中国への対抗上も、重要なつながりだ。さらに、日本企業は千四百社以上がインドに進出しており、日印の結び付きは強い。この火急の時にこそ、素早く積極的な支援に動くべきではなかったか。
 日本は自国の感染拡大への対応や医療体制の充実に追われ、致し方ない面もある。しかし、国際社会での存在感を保つための戦略も必要であろう。インドの危機は、まだ続いている。できる支援にさらに知恵を絞りたい。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2021年05月13日  08:18:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【筆洗】:グループに分かれて、少々長めの文章を人から人へ順に伝えてい…

2021-05-15 07:17:08 | 【ロシア・北方領土・シベリア開発・サハリン石油天然ガス・ウクライナ侵攻犯罪】

【筆洗】:グループに分かれて、少々長めの文章を人から人へ順に伝えてい…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【筆洗】:グループに分かれて、少々長めの文章を人から人へ順に伝えてい…

 グループに分かれて、少々長めの文章を人から人へ順に伝えていく。「伝言ゲーム」などと呼ばれ、早さと正確さを競うゲームがある。だいたいは驚くほど中身が変わり、最後の人に届く▼井上ひさしさんが『私家版日本語文法』に書いているが、米ソ冷戦の時代だろう、米国でゲームは「ロシア人のささやき」と呼ばれ、ソ連に「アメリカ人の伝言」という名があったそうだ。互いの誠実さに疑いの視線を送り合ったころの挿話だ▼ソ連がロシアになっても、米大統領が代々かわっても、互いへの不信は簡単には消えないものかもしれない。「米中新冷戦」が注目される一方で、近ごろの米ロの間に、少々冷たい風が吹くのを感じる▼ロシア側の非を疑いたくなることが多いが、最新は米石油製品パイプラインへのサイバー攻撃である。米側はロシアの集団の犯行だと断定し、バイデン大統領がロシア政府の「一定の責任」を指摘した。ロシア政府は反発している▼少し前はバイデン氏がロシアのプーチン大統領を「人殺し」と思うと語った。プーチン氏が作成を命じた「非友好国」のリストには、米国が入っているという。かつての首脳のいがみ合いを思わなくもない▼ベーリング海峡で領土が近接する両国は冷戦期、「近くて、はるかに遠い関係」と言われた。首脳の直接会談もありそうだが、視線にはどれほどの距離が映るか。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】  2021年05月13日  08:14:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【菅首相の一日】: 5月12日(水)

2021-05-15 07:17:04 | 【政策・閣議決定・予算・地方創生・能動的サイバー防御・優生訴訟・公権力の暴力】

【菅首相の一日】: 5月12日(水)

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【菅首相の一日】: 5月12日(水)

 【午前】7時55分、官邸。敷地内を散歩。10時6分、石川正一郎拉致問題対策本部事務局長。30分、外務省の秋葉剛男事務次官、森健良外務審議官、船越健裕アジア大洋州局長。33分、北村滋国家安全保障局長加わる。37分、和泉洋人首相補佐官加わる。50分、河野太郎行政改革担当相。11時17分、北村国家安全保障局長、防衛省の島田和久事務次官、山崎幸二統合幕僚長、井筒俊司航空幕僚長。35分、北村国家安全保障局長、山田重夫外務省総合外交政策局長、岡真臣防衛省防衛政策局長。

 【午後】0時1分、西村康稔経済再生担当相と会食。1時48分、武田良太総務相、和泉首相補佐官、総務省の大村慎一地域力創造審議官、内藤尚志自治財政局長、大島一博厚生労働省官房長。2時7分、岸信夫防衛相、中山泰秀防衛副大臣、島田防衛事務次官。35分、自民党行政改革推進本部の棚橋泰文本部長らから提言書受け取り。3時50分、伊藤明子消費者庁長官。4時9分、カザフスタンのトカエフ大統領と電話会談。41分、ウズベキスタンのミルジヨエフ大統領と電話会談。5時、吉田学新型コロナウイルス感染症対策推進室長、厚労省の樽見英樹事務次官、福島靖正医務技監。27分、矢野康治財務省主計局長。6時、平田竹男東京五輪・パラリンピック推進本部事務局長。7時、報道各社のインタビュー。10分、東京・赤坂の衆院議員宿舎。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 政治 【政局・首相の一日】  2021年05月13日  08:12:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【沖縄経済】:時短きょうから拡大 沖縄県まん延防止 映画館や大型施設も

2021-05-15 06:30:30 | 【感染症(1類~5類)・新型コロナ・エボラ・食中毒・鳥インフル・豚コレラ】

【沖縄経済】:時短きょうから拡大 沖縄県まん延防止 映画館や大型施設も

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【沖縄経済】:時短きょうから拡大 沖縄県まん延防止 映画館や大型施設も 

 新型コロナウイルス感染拡大防止のまん延防止等重点措置が延長されたことに伴い、14日から映画館や大型商業施設が県の営業時間短縮要請の対象に加わる。 
 時短営業の要請は、床面積千平方メートル超の大規模施設が対象になる。ショッピングセンターや遊興施設、運動施設などは午後8時まで、映画館やホテルの宴会場などは午後9時までに営業を短縮することが要請される。県は、重点措置対象地域の11市5町で、約1500店舗が対象になるとしている。

 大規模小売店には午後8時までの営業短縮が要請されるが、食品や衣料品、医薬品など生活必需品の販売は対象外になる。県内各小売業者では、同じ施設内でも店によって営業時間を分けて対応するところが多い。

 イオン琉球は飲食店とフードコート以外の店舗は現行の営業時間を継続する。サンエーは衣料・化粧品・各専門店などの閉店時間を午後8時に早める一方、食料品売り場やドラッグストアのマツモトキヨシは一部を除いて通常営業を維持する。イーアス沖縄豊崎は飲食店・専門店は午後8時閉店だが、スーパーは午後10時まで営業する。

 元稿:琉球新報社 主要ニュース 経済 【沖縄経済ニュース】 2021年05月15日  06:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【沖縄県】:「こんな光景初めて」自由のシンボルだった日の丸 事件が加速させた“復帰”願望

2021-05-15 05:15:50 | 【第二次世界大戦・敗戦・旧日本軍・広島、長崎原爆投下・国策犠牲・戦後補償

【沖縄県】:「こんな光景初めて」自由のシンボルだった日の丸 事件が加速させた“復帰”願望

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【沖縄県】:「こんな光景初めて」自由のシンボルだった日の丸 事件が加速させた“復帰”願望

 [復帰50年へ]

 米施政権下だった1964年9月、沖縄であった東京五輪の聖火リレー。当時禁じられた日の丸が沿道にはためいた。米軍は特別に掲揚を黙認したが、その旗を米兵が各地で毀損(きそん)。激しい抗議が起きる事態に発展し、日本復帰を求める機運につながった。復帰から49年。日の丸は沖縄の人々の目にどう映るのか-。 

那覇市内の聖火台に掲揚される米国旗、五輪旗、日本国旗=1964年9月7日(県公文書館提供)

 ■本土との一体感

 沖縄本島で今月1~2日にあった聖火リレーは静かだった。新型コロナウイルス感染対策で無観客。対照的に、前回は沿道に大勢の住民が集まった。興奮と熱気に包まれ、本土との一体感に浸る住民もいた。

 その象徴が日の丸だった。当時高校生で、走者を務めた元県議の新里米吉さん(74)は、沿道の光景をよく覚えている。両脇にいた観衆は数列に重なり、子どもは学校で作るなどした日の丸を必死に振っていた。

 「終戦してから、外でみんなで日の丸を振るなんてことはなかった。この日は、大人も子どももうれしそうに小旗を振っていた。こんな光景は初めてだった」

 嘉手納基地の近くを走った福地良夫さん(73)は、日の丸を見て沖縄は日本の一部だったんだと再確認したという。「ただの聖火リレーではなかった。その後の日本復帰につながる重要な意味があった」

 ■米軍が黙認した理由

 45年に沖縄を占領すると、米軍は日の丸の掲揚を禁止した。サンフランシスコ講和条約の発効後(52年)は、政治的意味を持たない会合などは許され、61年には法定の祝祭日のみ公共施設での掲揚も認められるようになったが、日の丸への規制は残った。

 沖縄では教職員会を中心に「日の丸を掲げよう運動」が起きていた。米軍は反米的な動きとして警戒したが、休日ではない聖火リレーでの掲揚には反対しなかった。

 米統治の最高責任者のワトソン高等弁務官は「申請はなかったが、祝賀行事なので黙認した」としたが、当時の状況を調べる県公文書館の豊見山和美さん(58)は、直前までキャラウェイ高等弁務官による圧政が続き、住民に反感が広がっていたことに着眼する。

 「米軍の圧政への反発が強まり、復帰運動にも拍車を掛けていた。親米だった沖縄の保守を分裂させないためにも、住民との融和を優先させなければならなかったのではないか」 

 ■毀損された日の丸

 聖火リレーが始まると、米兵による日の丸の毀損(きそん)が相次いだ。

 当時の本紙によると、聖火リレー初日だった9月7日夕、コザ市(現沖縄市)のセンター通りで米兵3人が街灯柱の日の丸を引きずり下ろして破るなどし、コザ署員に現行犯逮捕された。酒に酔っていたという。県祖国復帰協議会(復帰協)の資料によると、9日までに各地で日の丸23枚が毀損や盗難などの被害に遭った。

 相次ぐ事件を受け、ワトソン高等弁務官は謝意を表明したが、「心ない青年のいたずら」と認識。外務省も抗議しない方針を示し、事態の早期収拾を図った。しかし、復帰協や沖縄教職員会は「国家への侮辱」などとして抗議している。 

 教職員会で会長秘書などを務めた石川元平さん(83)は、米兵による毀損事件がその後の復帰運動の高まりに影響したという。「日の丸は占領下で住民が得た自由のシンボルだった。それが毀損され、日本への復帰を思う気持ちを強めた人は多かったはずだ」

聖火リレーを見るため沿道に集まった人々=1964年9月9日、那覇市内(県公文書館提供)

 ■日米協力の手段に

 1960年代後半に入ると、米国は施政権返還の検討を本格化。元県公文書館長の宮城悦二郎氏の論文によると、米駐日大使は66年の国務長官宛ての電文で「日の丸掲揚を米側がかたくなに拒否することは、本土や沖縄の野党を有利にするだけだ」と進言した。

 水面下で施政権返還の話が進む中、宮城氏は「当初、米側にとって施政権侵害のシンボルに映っていた日の丸は、日米協力体制づくりの手段とみられるようになった」と分析する。

 ■復帰にどう影響?

 日の丸が揺れた聖火リレーや米兵による毀損事件は、72年の日本復帰にどう影響しているのか。

 県公文書館の豊見山和美さん(58)は、日の丸は沖縄にいた人たちの日本への「心象」だったとみる。戦争を思い出し、嫌悪感を覚えた人がいた一方、沿道で国旗を振り、毀損に反発した動きからは日本への愛着も垣間見える。米兵には血みどろになった沖縄戦を連想させ、毀損事件が起きたとも推測する。

 「掲揚を求め、毀損に反発する動きは復帰へのターニングポイントとまでは言えないが、一連の動きがなければ、復帰が遅くなっていた可能性はある」

 沖縄の近代思想史に詳しい比屋根照夫・琉球大名誉教授は、復帰への決定的な要因ではないとしつつも「米軍への抵抗意識が高まり、五輪や聖火リレーと併せて、祖国復帰に向けた熱気を呼び起こした部分はある」と言う。

 しかし、復帰後沖縄には基地が残り、米軍による事件・事故は後を絶たない。聖火リレー時にあれほど希求した日の丸を、石川さんは今、喜んで見られない。「街で日の丸を掲げる所はほとんどない。当時、沖縄の人が日の丸に感じた希望や憧憬(しょうけい)は消えてしまった」

(社会部・山中由睦)

 元稿:沖縄タイムス社 朝刊 主要ニュース 社会 【話題・本土復帰50年】  2021年05月15日  05:15:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【楽天】:三木谷浩史会長、五輪開催「自殺行為だ」政府コロナ対策「10点中2点」

2021-05-15 05:12:30 | 【感染症(1類~5類)・新型コロナ・エボラ・食中毒・鳥インフル・豚コレラ】

【楽天】:三木谷浩史会長、五輪開催「自殺行為だ」政府コロナ対策「10点中2点」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【楽天】:三木谷浩史会長、五輪開催「自殺行為だ」政府コロナ対策「10点中2点」

 楽天の三木谷浩史会長兼社長(56)は14日、米CNNテレビのインタビューに応じ、新型コロナウイルスの感染拡大が続く中での東京オリンピック(五輪)開催は「自殺行為だ」と批判した。

楽天の三木谷浩史会長兼社長(19年11月撮影)楽天の三木谷浩史会長兼社長(19年11月撮影)

 三木谷氏は「世界中から人が集まる国際的イベントは危険。リスクが大きすぎる。私は東京五輪に反対」と主張した。

 また、今から五輪をキャンセルできるのかという問いには「今は全てのことができる(Everything is possible right now)」と答えた。その上で、現状で五輪を開催することは「自殺行為(suicide mission)。正直に言う」と指摘。「他国の多くの人も、開催に協力的ではない」とも述べた。

 また、日本政府のコロナ対策について「10点中2点」と厳しく評価した。

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・企業・新型コロナウイルスの感染拡大が続く中での東京オリンピック(五輪)開催は「自殺行為だ」と批判】  2021年05月15日  05:12:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:日本復帰49年 自らの未来は自ら決める

2021-05-15 05:10:55 | 【第二次世界大戦・敗戦・旧日本軍・広島、長崎原爆投下・国策犠牲・戦後補償

【社説】:日本復帰49年 自らの未来は自ら決める

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:日本復帰49年 自らの未来は自ら決める 

 沖縄の施政権が日本に返還(日本復帰)されてから49年を迎えた。そして沖縄返還協定の調印と、返還協定の批准を決定する「沖縄国会」から50年の節目である。

 日本復帰に際し、沖縄が求めたのは「国家権力や基地権力の犠牲となり手段となって利用され過ぎて」きた地位からの脱却だった。「5・15」は、自らの未来は自ら決めることを宣言したことを再確認する日としたい。
 軍事植民地のような米国統治を終わらせた最大の要因は、圧倒的な力を持つ米国に立ち向かった沖縄側の民意だった。自治権拡大の象徴として琉球政府行政主席の直接選挙を認めさせた。1968年11月の初の主席公選で当選した屋良朝苗氏は、就任後初の佐藤栄作首相との会談前にこう語っている。
 「私が当選したことによって具体的に示されている沖縄県民の本当の願いとか、要求とか、民意を率直に確認してもらって、国の政治に、外交に十分反映していただきたい」
 屋良主席は「民意」という言葉を使っている。しかし佐藤首相は、その後の施政権返還交渉で、屋良氏の公約「即時無条件全面返還」を選択した沖縄側の民意をくみとらなかった。
 佐藤首相は「核抜き」返還を実現する代わりに、有事の際に沖縄への核再持ち込みを認める密約を結んだ。米側は支払うべきコストを日本に肩代わりさせて沖縄に投入した資産を回収、「思いやり予算」の原型となる財政密約に合意した。そして米軍は基地の自由使用権を手放さなかった。
 1971年の「沖縄国会」は「非核兵器並びに沖縄米軍基地縮小に関する決議」を全会一致で可決している。しかし、基地の過重負担は変わらず国会の総意は半世紀たっても実現していない。
 施政権返還後も沖縄が抱える最大の課題は基地問題だ。日本政府が沖縄に米軍基地の負担を押し付ける結果、米兵が引き起こす事件や事故、騒音被害、環境汚染、人権侵害が続く。沖縄に矛盾をしわ寄せする仕組みは「構造的差別」に他ならない。
 今年4月の日米首脳会談で「台湾の平和と安定」に言及したことは看過できない。台湾有事の際、沖縄が直ちに最前線となる可能性をはらんでいるからだ。宮古、石垣、与那国への自衛隊配備と合わせ、沖縄が再び戦場となる可能性を県民は危惧している。沖縄の平和と安全を度外視した日米同盟は認められない。
 屋良主席に託された民意は、現在に受け継がれている。
 復帰後、沖縄は琉球王国のグスクおよび関連遺産群が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産に登録された。先日、世界自然遺産への登録が確実視されるなど、島の宝は無尽蔵にある。豊かな自然を生かし、未来の沖縄どうつくるか。「復帰の日」にいま一度、沖縄の姿がどうあるべきかを考えたい。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2021年05月15日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【金口木舌】:正しく恐れる

2021-05-15 05:10:50 | 【感染症(1類~5類)・新型コロナ・エボラ・食中毒・鳥インフル・豚コレラ】

【金口木舌】:正しく恐れる

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【金口木舌】:正しく恐れる

 街中を歩いていると歩道や路肩、街路樹の周辺でマスクを時々見掛ける。ごみとして捨てる人がいるとは思えない。誰かが誤って落としてしまったのだろう

 ▼県警によると、2020年に拾得物として取り扱ったマスクの数は前年の9倍だという。こんなところにもコロナ禍ならではの現象が起きている。気の緩みの表れだとしたらちょっと気になる
 ▼くすんでしまい、周囲の落ち葉と見分けが付かなくなったマスクを見て思う。「コロナとの共存」に私たちは慣れ、受け入れてはいないか。そういえば「正しく恐れる」という言葉を最近聞かなくなった
 ▼コロナ禍と米軍基地被害はどこか似ている。人命に害を及ぼす。人権を傷つける。教育環境を台無しにする。沖縄の自立的発展を妨げる。いくらでも列挙できよう。基地と長年暮らしていると、そんな被害に慣れてしまうのだ
 ▼「基地との共生・共存」を沖縄に求めた人がいた。宝珠山昇防衛施設庁長官である。県民の怒りを買った「宝珠山発言」から27年。そして沖縄はきょう、施政権返還から49年を迎えた。「基地との共生・共存」の強要が続く
 ▼県民や国民の生命を守るべき政府の無責任が目に付く。コロナと米軍基地被害の最大の共通点であろう。困っている人や苦しんでいる人が放置されている。それを黙認するような空気が広がるならば怖い。正しく恐れたい。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【金口木舌】 2021年05月15日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:前宮古島市長逮捕 防衛利権の全容解明せよ

2021-05-15 05:10:45 | 【地方自治・都道府県市町村・地方議会・議員年金・デジタル田園構想・地方地盤沈下】

【社説】:前宮古島市長逮捕 防衛利権の全容解明せよ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:前宮古島市長逮捕 防衛利権の全容解明せよ

 県警は12日、前宮古島市長の下地敏彦容疑者を収賄の疑いで逮捕した。宮古島市への陸上自衛隊配備計画を巡り、千代田カントリークラブ(CC)所有の土地を駐屯地用地として国に買い取らせ、その見返りに業者から650万円の金銭を受け取ったという汚職事件だ。

 自衛隊の先島配備は宮古島の将来や住民の安全に関わり、今も島を二分する問題だ。市長の立場を利用して自衛隊の受け入れに動き、私腹を肥やしていたとすれば、公職にあった者として絶対に許されない。「基地に島を売った」という批判は免れない。
 防衛関係で県内の首長経験者が逮捕されるのは初めてだ。市長の権限ではない陸自駐屯地の用地選定で、どのように事業者の意に沿う決定となったのか。防衛関係者らの関与がなかったのか。明らかにすべき点は多い。
 便宜供与の全容を徹底して解明するとともに、防衛省は選定に関わる情報の開示と調査が求められる。
 宮古島への陸自配備を巡っては、防衛省が2015年に島内の大福牧場と千代田CCに配備候補地を絞った。当時市長だった下地容疑者は、16年6月に自衛隊配備の受け入れを正式に表明。防衛省は同9月に大福牧場を断念し、駐屯地の建設地は千代田CCに絞られていった。
 下地容疑者は、飲料水の地下水源を汚染することを理由に大福牧場に反対の意思を示すなど、千代田CCへの配備決定に向かっていく中で重要な役割を果たしてきた。
 琉球新報が入手した内部文書で、下地容疑者は受け入れ表明前の15年から、沖縄地方協力本部や沖縄防衛局に千代田CCの土地取得を打診していた。負債を抱えていた千代田CCに便宜を図るため、土地売却のため防衛への働き掛けに動いたと見られる。
 県内の保守系首長グループ「チーム沖縄」の顔役でもあった下地容疑者の政治力の源泉が、「政府との強いパイプ」だった。落選した1月の市長選でも、菅義偉首相の秘書が宮古島入りし、自民党は小野寺五典元防衛相を応援に入れるなど、一地方の選挙に強力にてこ入れしている。
 地元住民の合意取り付けが難しい政策を進めるため、政府に融和的な政治家を行政の長に押し上げ、反対の声を押し切る。宮古島への陸自配備という国策を容認する市政を維持する思惑から、時の政権による遮二無二な介入があったことは想像に難くない。
 下地容疑者逮捕の背景に、中央とのゆがんだ癒着の構図がなかったか。徹底的に真相究明しなければならない。
 先島への陸自配備は、離島が戦場に巻き込まれる恐れやミサイル攻撃の標的となる可能性を高める。配備に反対する声は強い。政治家と業者が利権で結び付くことは許されない。防衛利権を巡るうみを出しながら、自衛隊誘致の是非も議論をし直すべきだ。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2021年05月14日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【金口木舌】:若年妊婦を支える社会に

2021-05-15 05:10:40 | 【学校等の陰惨ないじめ・暴力・体罰・自死・家庭での虐待・不登校・児相】

【金口木舌】:若年妊婦を支える社会に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【金口木舌】:若年妊婦を支える社会に

 6歳の子どもが事件を起こし児童相談所から通告があった。母親は15歳で妊娠したが相談できる人もおらず孤立していた。「母親は年齢を偽って働き、懸命に育てた。でも育て方が分からず、たたくこともあった」
 ▼おきなわ子ども未来ネットワークの山内優子代表理事が約30年前に出会った親子だ。沖縄は出生率が高いが、若年妊娠・出産の割合も全国一だ。全出生数に占める10代の出産の割合は全国平均の2倍を超える
 ▼県の調査で妊娠初期の満11週までに届け出た人の割合が10代は7割を下回る。当事者に性や子育てに関する知識が不足していることに加え、若年出産を取り巻く何重にも過酷な環境が相談しづらい状況を生んでいる
 ▼おきなわ子ども未来ネットワークは「まりやハウス風のいえ」を設立した。居住先のない妊産婦のための宿泊型の居場所だ。10代で所得がない人から入居費は取らない。助産師らが24時間態勢で見守り、産婦人科の受診に同行するなど支援する
 ▼山内代表は「子どもの貧困対策は生まれる前からの支援が重要だ」と強調する。親や家庭が何らかの問題を抱え、孤立していることも多いという。30年前に出会った親子から学んだことだ
 ▼個別の事例を支援につなげる仕組み作りとともに、若年妊産婦を社会全体で支えることが重要だ。中高年層や男性こそわがことと考える必要がある。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【金口木舌】 2021年05月14日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【社説】:デジタル法成立 個人情報保護 後退させた

2021-05-15 05:10:35 | 【政策・閣議決定・予算・地方創生・能動的サイバー防御・優生訴訟・公権力の暴力】

【社説】:デジタル法成立 個人情報保護 後退させた

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:デジタル法成立 個人情報保護 後退させた 

 デジタル庁設置を柱とするデジタル改革関連6法が参院本会議で与党などの賛成多数で可決、成立した。

 国民の利便性向上を強調するが、実態は自己情報コントロール権を保障せず個人情報保護を後退させる内容だ。現行制度を抜本的に変更するにもかかわらず、法案を60本以上束ねて提出した政府の国会軽視と、熟議せず成立させた国会の責任は重大だ。
 デジタル改革関連法成立によって、改革の司令塔で首相をトップとするデジタル庁を9月1日に発足させる。デジタル庁に権限を集中させ他省庁に業務見直しなどを勧告する。行政手続きのオンライン化を進め、マイナンバーの利用拡大や押印を求める手続きの削減などデジタル社会に向けた環境を整備する。
 関連法の柱の一つが個人情報保護制度の見直しだ。民間、行政機関、独立行政法人の三つに分かれている個人情報保護法を一本化し、共通のルールを導入する。内実は規制が緩い国のルールに合わせるということだ。その上で中央省庁が持つ個人情報を匿名加工して民間に提供する現行制度を、自治体にも広げる。
 これまで個人情報の保護は、住民に近い自治体がそれぞれ条例を制定し、思想信条や病歴・犯歴などの要配慮情報の収集は禁じるなど慎重に運用してきた。住民本人の合意を得た上で、個人情報を取り扱うことが自治体では原則となっている。制度の見直しで個人情報保護の原則はなし崩しになり、目的外に使われ、漏えいする恐れがある。
 実際に現行制度でも、防衛省が米軍横田基地の夜間飛行差し止め訴訟や、航空自衛隊小松基地の騒音訴訟の原告名簿などを民間への提供対象にしていたことが発覚した。
 関連6法の中で基本理念を定めた「デジタル社会形成基本法」に、個人の権利を担保する自己情報コントロール権が明記されていない。
 専修大学の山田健太教授(言論法)は「情報を有する側の縛りを一貫して緩めてきたのが日本の法制度であって、一方で自己情報コントロール権も含め、個人の権利化は進捗(しんちょく)がない。その結果、両者のバランスはますます崩れる一方」と警鐘を鳴らす。
 個人情報の保護について監視する仕組みにも問題がある。全体の監督は個人情報保護委員会に委ねられる。しかし、捜査情報は個人情報保護委員会の監視対象から外されている。不適切な個人情報の取り扱いに対して勧告はできるが、命令はできない。権限が不十分だ。
 日本弁護士連合会は、官民で管理する個人情報全般の取り扱いを監視・監督する独立した第三者機関を創設し、専門的な能力を備えた職員をそろえるための定員と予算を担保するよう求めている。政府は日弁連の提言を真摯(しんし)に受け止め、デジタル庁設置までに、監視・監督の権限を強化する手立てを講じるべきだ。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2021年05月13日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【金口木舌】:戦場の理髪師

2021-05-15 05:10:30 | 【第二次世界大戦・敗戦・旧日本軍・広島、長崎原爆投下・国策犠牲・戦後補償

【金口木舌】:戦場の理髪師

『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【金口木舌】:戦場の理髪師

 先日亡くなった田中邦衛さんは北国が似合う俳優だった。北海道富良野市を舞台としたドラマ「北の国から」では主人公の黒板五郎を好演し、代表作となった。木訥(ぼくとつ)とした語り口はその素顔と重なる
 ▼同じ北海道でも高倉健さんらと共演した1965年の「網走番外地」では大槻という名の囚人を演じた。そんな田中さんには沖縄が舞台の出演作もある。71年の「激動の昭和史 沖縄決戦」はその一本
 ▼新藤兼人脚本、岡本喜八監督というコンビの作品で沖縄戦の史実に沿いながら脚色を加えた。田中さんの役どころは32軍司令部付の理髪師。軍と運命を共にする軍属である
 ▼誤った戦勝情報に歓喜する。日本軍が総攻撃すると聞けば「俺も行く」と言って手りゅう弾を探す。南部に撤退する軍司令官には「お供させてください」。摩文仁で水くみに駆け回る
 ▼作戦を巡る司令部内の対立を理髪師は知らない。沖縄を本土防衛の捨て石としたことも。沖縄戦時の県民もそうであった。軍首脳を主人公とした映画で理髪師は県民を象徴するもう一人の主人公と言えよう
 ▼76年前の5月5日、日本軍は総攻撃に失敗し戦力を喪失した。それでも戦闘を続け、県民の犠牲は増大した。コロナ禍で五輪の是非が問われる中で思う。民の命に対する無責任さで二つの時代は似ていないか。田中さん演じる理髪師を誰が笑えよう。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【金口木舌】 2021年05月13日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:沖縄・奄美世界遺産に 最高水準の保全目指そう

2021-05-15 05:10:25 | 【国連・ユネスコ・世界遺産・世界有形無形文化遺産・記念物遺跡会議

【社説】:沖縄・奄美世界遺産に 最高水準の保全目指そう

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:沖縄・奄美世界遺産に 最高水準の保全目指そう 

 国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関、国際自然保護連合(IUCN)は「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」(鹿児島、沖縄)を世界自然遺産に登録するよう勧告した。

 希少な固有種が生息する琉球弧の生物多様性の保全の必要性が認められたことを歓迎する。世界遺産登録の本決定に向け大きな一歩であり、世界最高レベルの保全管理を目指してほしい。
 対象になる沖縄島北部近隣に米軍北部訓練場が広がる。名護市辺野古の海域を埋め立て新たな基地建設が進められている。基地は最大の自然環境かく乱要因である。登録をきっかけに北部訓練場の全面返還と、新基地建設の中止を強く求める。
 遺産登録へ日本政府が推薦した区域は大部分が森林だ。かつて大陸とつながっていたが海面上昇で島となり、イリオモテヤマネコ、ヤンバルクイナ、アマミノクロウサギなど多くの固有種がそれぞれの島で独自の進化を遂げた。
 2018年に政府が推薦した区域は飛び地状だったため、IUCNは生態系の連続性を維持するため地域を再考するよう求め、延期を勧告した。政府は米軍北部訓練場の返還地、西表島では河川の流域などを区域に追加して推薦書を再提出した。
 この間、県希少野生動植物保護条例の施行、西表島で入島上限人数目標の設定、やんばる3村は認証ガイド導入、奄美大島のマングース駆除などの取り組みが評価されたのだろう。
 IUCN勧告は今後に向けて(1)特に西表島で観光客数の上限設定か減少措置(2)希少種の交通事故死減のための交通管理(3)河川再生戦略(4)緩衝地帯の森林伐採の適切な管理―を指摘している。指摘事項を着実に実現してほしい。
 専門家が指摘するように今後の課題として、世界遺産地域を陸域だけでなく海域に拡大し、奄美・琉球諸島の豊かな海の生物多様性を次世代に伝える取り組みが必要だ。
 一方、16年の北部訓練場の過半の返還に伴い、ヘリコプター発着帯(ヘリパッド)が残りの訓練場内に新設された。ヘリパッド運用開始以降、米軍は昼夜を問わず訓練を繰り返し、騒音や振動を引き起こしている。北部訓練場の運用が周辺環境に与える影響について玉城デニー知事は「遺産登録に影響が生じることはない」との見解を示した。認識が甘くないか。登録は保全のスタートにすぎない。
 辺野古新基地が建設されれば、北部訓練場や伊江島補助飛行場など、米軍機による米軍施設間の往来が増え環境への影響が懸念される。
 北部訓練場の返還地から放射性物質や薬きょうなど廃棄物が見つかり、過去には米退役軍人省が枯れ葉剤使用を認定している。世界遺産登録地域の最大の環境保全策は、登録地域と隣り合わせの米軍施設の全面返還である。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2021年05月12日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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