路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【主張①・11.20】:セブン非上場化案 価値向上に資する改革を

2024-11-20 05:01:50 | 【経済・産業・企業・起業・関税・IT・ベンチャー・クラウドファンティング

【主張①・11.20】:セブン非上場化案 価値向上に資する改革を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【主張①・11.20】:セブン非上場化案 価値向上に資する改革を 

 セブン&アイ・ホールディングスが、創業家側から買収提案を受け、社外取締役からなる特別委員会で検討していることが明らかになった。

 具体的な提案内容は分かっていないが、セブン&アイは「法的拘束力のない非公表の提案」としている。

セブン―イレブンの看板=東京都内

 9兆円規模の巨額資金が必要ともされるが、買収が実現すればセブン&アイは非上場となる。セブン&アイはカナダのコンビニ大手アリマンタシォン・クシュタールから買収提案を受けており、事実上の対抗策といっていい。

 セブン&アイは、創業家からの買収提案について、特別委員会で「慎重かつ包括的な検討を行っている」としている。クシュタールからの買収提案や、セブン&アイ単独の経営改革策を含め詳細に比較検討したうえで、企業価値向上に資する改革案を採用すべきだ。

 一方で、経営改革は株主だけのために行うものではない。稼ぐ力を高めることは当然だが、株主以外の利益も含め総合的に判断することが欠かせない。

 コンビニチェーン「セブン―イレブン・ジャパン」を運営するセブン&アイは、公共料金の収納代行やATM(現金自動預払機)設置など新サービスを先導してきた。コンビニはモノを売る小売店としてだけでなく、社会インフラとして欠かせない存在になっている。

 業績向上のための合理化の名のもとに、こうした機能が損なわれるようなことになれば意味がない。企業価値向上には、より充実したサービスを提供する方向が求められる。

 コンビニのフランチャイズ店のオーナーや、そこで働く従業員ら多くの関係者への影響も考慮されるべきだ。 

 セブン&アイはスーパー事業の不振が続き、海外の物言う株主(アクティビスト)から構造改革を迫られてきた。10月には、稼ぎ頭のコンビニ事業に専念する体制に再編し、傘下のスーパーや外食事業は中間持ち株会社を設立して分離する経営戦略を発表したが、市場の評価が高まったとは言い難い。

 求められるのは、顧客を含め多くの関係者がメリットを実感できる企業価値向上策である。そのことを基準に買収提案の諾否を判断し、経営改革につなげてほしい。

 元稿:産経新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【主張】  2024年11月20日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【主張②・11.20】:増える独居世帯 高齢者の「共助」が必要だ

2024-11-20 05:01:40 | 【超高齢化・過疎・孤立・終活・認知症・サ高住問題・人口急減・消滅性自治体】

【主張②・11.20】:増える独居世帯 高齢者の「共助」が必要だ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【主張②・11.20】:増える独居世帯 高齢者の「共助」が必要だ 

 暮らしをめぐるさまざまな手続きや仕組みを、単身高齢者が増えることを前提に見直していくことが必要であろう。

 医療や介護サービスだけでなく、日々の買い物の支援から財産の管理、認知症になったときの意思決定支援、防犯や災害発生時の手助け、亡くなった後の対応まで、考えるべきはあらゆる分野に及ぶ。

介護付き老人ホームでオンライン観光を楽しむ高齢者ら =大阪市内

 国立社会保障・人口問題研究所が都道府県別の世帯数の将来推計を公表した。国勢調査に基づく5年ごとの推計だ。

 第2次ベビーブームで生まれた世代が全員75歳に到達する令和32(2050)年の日本の世帯数は、30年間で310万減少し、5261万世帯になる。全世帯に占める1人暮らし世帯の割合は38%から44・3%に上昇する。半数に迫る勢いだ。

 中でも65歳以上の高齢者の1人暮らし世帯の割合はすべての都道府県で上昇し、全国では13・2%から20・6%になる見通しである。特に高知県、徳島県、愛媛県で高い。

 1人暮らしの高齢者が被害に遭う特殊詐欺や犯罪が頻発しており、高齢独居世帯の防犯対策は喫緊の課題である。個人で対処するには限界があり、地域住民らによる自主的なパトロールや連絡網の充実など、地域で協力して防ぐ態勢を整えることが望ましい。

 懸念されるのは、少子化と未婚率の上昇により、兄弟姉妹や配偶者、子供や孫といった手助けをする近親者のいない人が増えることである。

 一方で、働き手となる世代の減少も顕著に進む。政府や自治体が、すべての単身高齢世帯に医療や介護、生活の支援を不足なく届けることは困難になっている。

 この現実を踏まえ、高齢者自らの努力を促したい。支援を受けることを当然とするのではなく、日頃から近隣住民や同じ趣味を持つ仲間とのネットワーク作りを進めることなどにより、困ったときにはお互いに助け合える関係を作っておくことが重要である。

 高齢者らに一定の地域に移り住んでもらう「集住」も真剣に検討すべき時期だろう。中山間地の一部自治体のなかには、生活に支障をきたす雪の深い時期に複数人での同居を試みるところもある。自助、共助の工夫が求められている。

 元稿:産経新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【主張】  2024年11月20日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【産経抄・11.20】:豊かな詩の音色を残し 谷川俊太郎さん逝く

2024-11-20 05:01:30 | 【訃報・告別式・通夜・お別れの会・病死・事故死・災害死・被害による死他】

【産経抄・11.20】:豊かな詩の音色を残し 谷川俊太郎さん逝く

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【産経抄・11.20】:豊かな詩の音色を残し 谷川俊太郎さん逝く

 知られた言葉遊びがある。<ここではきものをぬげ>。どう解釈したものだろう。ここで脱ぐのは履物の方か。あるいは衣服のボタンに手をかけた方がよいのか。目だけで文字を追いかけると道に迷う。日本語の世界は奥が深い。

詩人の谷川俊太郎さん=東京都杉並区(川口良介撮影)

 ▼谷川俊太郎さんは詩想を練る上で耳も大切にした。昭和48年に世に問うた詩集『ことばあそびうた』から。<はなののののはな/はなのななあに/なずななのはな/なもないのばな>(「ののはな」)と、日本語の持つ豊かな音色を教えてくれた。

 ▼「詩の語と語の間には、散文の意味的なつながりとは違う音楽的なつながりがある」。美しく響き合う言葉の組み合わせに「ポエジー(詩情)」が潜んでいると、かつて小紙に語っていた。あまたの詩に童謡の作詞、翻訳…。戦後の詩壇を代表する谷川さんが亡くなった。92歳。

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 元稿:産経新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【産経抄】  2024年11月20日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【兵庫県議会百条委員会】:自宅前にN党立花氏「デマ広がることに恐怖」と奥谷委員長 斎藤知事は把握せず

2024-11-20 05:01:10 | 【地方自治・都道府県市町村・地方議会・議員年金・デジタル田園構想・地方地盤沈下】

【兵庫県議会百条委員会】:自宅前にN党立花氏「デマ広がることに恐怖」と奥谷委員長 斎藤知事は把握せず

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【兵庫県議会百条委員会】:自宅前にN党立花氏「デマ広がることに恐怖」と奥谷委員長 斎藤知事は把握せず

 兵庫県知事選で再選された斎藤元彦氏が19日、知事に就任。2期目の就任会見で「SNS(交流サイト)は大きなポイントだった」と選挙戦を振り返った。一方、知事選を巡っては、斎藤氏の疑惑を調べる県議会調査特別委員会(百条委員会)の委員らに対し、SNSなどで誹謗(ひぼう)中傷が横行。斎藤氏は詳しく把握していないとしつつ、県として条例制定を含めた対応を検討中だと説明した。

知事就任記者会見で記者の質問に答える兵庫県の斎藤元彦知事=19日午後3時14分、兵庫県庁(沢野貴信撮影)

 インターネット上には、百条委の委員が斎藤氏の疑惑を捏造(ねつぞう)したなどとする説が流布され、「斎藤知事をハメた兵庫県議の面々」として委員らの顔写真を並べた画像なども出回った。

 百条委の奥谷謙一委員長によると、斎藤氏を支援するとして知事選に立候補した政治団体「NHKから国民を守る党」党首、立花孝志氏が奥谷氏の自宅前で演説し「出てこい」などと発言。その模様を動画で公開した。

 SNSでは「クズ」「噓つき」など奥谷氏を中傷するメッセージが飛び交った。奥谷氏は母親を避難させたと明かし、「デマが広がることに恐怖を覚える」と述べた。

 別の委員はSNSの投稿に身の危険を感じ、事務所を閉鎖。事務所周辺では他県ナンバーの車両やスマートフォンを手にうろつく若者をよく見かけるようになり、家族を含めて身の危険を感じているという。

 斎藤氏は昨年、自身がSNSで「大変恐ろしく身の毛のよだつ思いをした」として、SNSでの誹謗中傷を防止するための条例制定を進める方針を明言。19日の会見では「誹謗中傷は控えていくことが大事。SNS条例の制定については(担当部局で)検討をしていると思うので、引き続き準備や検討を続けたい」と述べた。

 ■斎藤知事、SNS誹謗中傷対策を表明「条例制定の検討続けたい」 2期目初の記者会見で

 ■「戻ってこられてすごく嬉しい」斎藤知事、最側近幹部の処遇「適材適所でやっていく」

 元稿:産経新聞社 主要ニュース 政治 【地方自治・兵庫県・県議会百条委員会】  2024年11月19日  21:36:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・11.20】:年収の壁 税と社会保障あわせて論じよ

2024-11-20 05:00:50 | 【税制・納税・減税・年収「103万円の壁」・ふるさと納税・物納・脱税・競売】

【社説①・11.20】:年収の壁 税と社会保障あわせて論じよ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・11.20】:年収の壁 税と社会保障あわせて論じよ

 収入が増えたら、税や社会保障の負担が生じて手取りが減るからと、働く時間を抑えている人が少なくない。 

 人手不足が深刻化する中、「働き控え」は社会的損失といえる。政府は税制、社会保障制度を一体で見直すとともに、負担のあり方も含めて改善策を実施していくべきだ。

 自民、公明、国民民主の3党は、パートなどで働く人の年収が103万円を超えると、所得税が課される「103万円の壁」の見直しの協議を始めた。年収から控除される非課税枠を引き上げ、実質的な手取りを増やす狙いがある。

 非課税枠はかつて、物価の変動に合わせて引き上げられてきたが、デフレ下にあったこの30年間は、据え置かれていた。物価が上昇している現状を踏まえて、非課税枠を引き上げる必要性はあるといえるだろう。

 問題はその引き上げ幅だ。国民民主は103万円を「178万円」とするよう要求している。その場合、国と地方の税収減は7兆円を超えるという。与党は、財政への影響が大きいとして、大幅な引き上げには慎重だ。

 国民民主は、非課税枠の引き上げの財源について「政府が考えるべきだ」としている。

 だが、国、地方とも財政が厳しいことに変わりはない。非課税枠の引き上げに伴う税収減の穴埋めはどうするつもりなのか。財源を「政府任せ」にしている国民民主の姿勢は無責任だ。

 「年収の壁」は、税制の103万円に限らない。

 従業員51人以上の企業で週20時間以上働くパートは、年収が106万円を超えると配偶者の扶養から外れ、厚生年金や健康保険に加入しなければならない。従業員50人以下の企業の場合、扶養から外れる基準は130万円となる。

 厚生労働省は、この「106万円の壁」の撤廃を検討している。撤廃した場合、厚生年金加入者は200万人増える見通しだ。年金財政の安定化が狙いとされる。

 一方、働き手は新たに社会保険料を負担するため手取りが減ることになる。将来、受け取る年金が増えるというメリットはあるが、当面の負担への反発は強い。

 また、厚生年金保険料は労使折半で負担する仕組みだ。厚労省案は、企業の負担比率を引き上げる内容のため、中小企業団体などからは反対の意見が出ている。

 政府は、「年収の壁」の見直しに伴う課題を総合的な観点から議論する必要がある。

 元稿:讀賣新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月20日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②・11.20】:「無縁遺体」増加 対策を自治体任せでいいのか

2024-11-20 05:00:40 | 【超高齢化・過疎・孤立・終活・認知症・サ高住問題・人口急減・消滅性自治体】

【社説②・11.20】:「無縁遺体」増加 対策を自治体任せでいいのか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・11.20】:「無縁遺体」増加 対策を自治体任せでいいのか

 亡くなった後、引き取り手のない「無縁遺体」が増加している。高齢化に伴い、今後も増えていくだろう。どう対応すべきか、社会全体で真剣に向き合う時期である。 

 総務省が昨年公表した初の調査では、2018年4月から21年10月までに、全国で約10万6000人の無縁遺体が確認された。主な自治体を対象に本紙が調べたところ、22年度までの5年間で30%以上も増加している。

 独り暮らしの高齢者が増えているのに加え、親族がいても関係が疎遠で、遺体の引き取りを拒否する場合が多いためだという。人と人とのつながりが薄れている現代を象徴する事態だと言える。

 独りで亡くなった人の遺体は自治体が親族の連絡先を調べ、引き取りの意向を確認する。親族が見つからなかったり、引き取りを拒否されたりすれば、墓地埋葬法などに基づき自治体が火葬する。

 ただ、親族との連絡に手間取ることもあり、自治体の負担は大きい。名古屋市では、無縁遺体が葬儀業者の保冷施設に3年以上も放置されるトラブルがあった。同じような問題は、どこで起きてもおかしくないだろう。

 厚生労働省の実態調査では、無縁遺体の具体的な取り扱いを定めたマニュアルを作っている自治体は、全体の1割にすぎなかった。対応によっては親族から苦情を言われることもあり、自治体の多くが苦心している。

 連絡すべき親族の範囲や探し方、遺体や遺骨を保管する期間といった具体的な手順について、国は自治体任せにせず、統一的な指針を示すことが必要だ。

 まずは国と自治体、医療や介護の関係者、葬儀業者らが情報交換し、課題を洗い出してほしい。

 65歳以上の単身世帯は、20年の時点では全世帯の13%だったが、50年には20%を超えると推計されている。無縁遺体の問題は、ますます深刻化する可能性がある。

 高齢者自身が生前から、自分の死後に葬儀や遺骨の取り扱いをどうするか、相談できる窓口を設けている自治体もある。

 例えば、長野市は「『おひとりさま』あんしんサポート相談室」を開設し、独り暮らしの「終活」を支援している。老後の生活から死後の手続きまで、頼れる親族がいない人の悩みを聞き、アドバイスしているという。

 単身者が増え、人間関係も希薄になった今、人生の終幕をどのように迎えるのか、一人ひとりが早めに考えておくことが大切だ。

 元稿:讀賣新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月20日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・11.20】:琉大学長に喜納氏 女性活躍の先導に期待

2024-11-20 04:01:30 | 【大学「国公立・私学・大学院・医学系・工学部系」、大学ファンド=優秀な研究成果】

【社説・11.20】:琉大学長に喜納氏 女性活躍の先導に期待

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・11.20】:琉大学長に喜納氏 女性活躍の先導に期待

 琉球大学の次期学長に、副学長で国際地域創造学部教授の喜納育江氏が選出された。女性の学長は1950年の創設以来、初めてとなる。 

 国立で人文、社会、自然、医学の4領域の学部を持つ「総合大学」としては国内初の女性学長だ。

 喜納氏は英米文学やジェンダー研究が専門。琉大のうない研究者支援センター長、ジェンダー協働推進室長などを歴任し、学外でも県の男女共同参画審議会会長などを務めた。

 喜納氏は「多様性に対する意識が高い研究環境を整備したい」と意欲を語る。

 女性研究者の育成、処遇改善を進めることで学内を活性化させるとともに、高等教育機関として沖縄の女性活躍を先導する役割を果たしてもらいたい。

 先進国の研究者に占める男女の比率は、ほぼ同等レベルに達した。一方、日本の大学・大学院の女性教員の割合は2020年、比較できるOECD32カ国のうち最も低い30%だった。

 家事や育児、介護は女性の仕事だとする旧態依然とした考え方が背景にある。「女性に研究職は向かない」との無意識のバイアスが、女性の職業選択の幅を狭めているのではないか。

 産休・育休などによる研究の中断が、女性研究者のキャリア形成に影響するという不利益も残る。

 琉大の女性教員の割合も2割と低い。学内のジェンダー平等はもちろん、働きやすい教育研究環境の整備へ手腕を発揮してほしい。

              ■    ■

 国立大学の女性学長は極めて少ないのが現状だ。

 2023年度の学校基本調査によると、86人中4人の4・7%だ。公立の20・0%、私立の14・9%を大きく下回る。

 1997年に奈良女子大で初めて誕生した後、累計でも14人しかいない。

 公立や私立でも女子大のほか、福祉や看護など女性教員の多い大学が中心だ。

 理系学部のある総合大学では、女性の昇進やキャリアアップを阻む「ガラスの天井」がさらに高く、強固に存在する可能性がある。

 世界に目を向ければ、理系に女性が少ない国は珍しい。どんな仕事でも多様な視点は新たな発見につながる。特に、研究分野ではそうした視点が求められるのではないか。

 女性研究者が生き生きと働き、能力にあったキャリアを積む環境を得ることは、大学組織にも刺激を与えるに違いない。

              ■    ■

 琉大は米軍統治下の布令によって設立した独特の歴史がある。

 県内唯一の国立大学で、県経済や政治、教育など幅広い分野に人材を輩出し、数々の研究成果を挙げる。

 来年には、宜野湾市の西普天間住宅地区跡地へ、琉大病院と医学部を移転し、開院と開学を控える。

 県内初の薬学部設置の構想もある。県が目指す自然史博物館設置にも、琉大の知見や経験を生かす必要があるだろう。

 喜納氏の任期は6年。県内の研究や高等教育のけん引役を期待したい。

 元稿:沖縄タイムス社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月20日  04:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・11.20】:12月に県民大会 県議会は超党派諦めるな

2024-11-20 04:00:50 | 【米国・在日米軍・地位協定、犯罪・普天間移設・オスプレー・安保】

【社説・11.20】:12月に県民大会 県議会は超党派諦めるな

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・11.20】:12月に県民大会 県議会は超党派諦めるな

 米兵による相次ぐ性的暴行事件に抗議する県民大会が12月22日に開催される。県内21団体で構成する県女性団体連絡協議会(女団協)が中心となって決定した。米軍の駐留に起因する犯罪に理不尽に巻き込まれることは許されないと市民主導で日米両政府に声を上げるとの決断である。

 女性の人権を傷つける許しがたい米兵事件の続発という危機的な状況を市民の結集で打開しようという女団協の行動を評価したい。多くの県民の共感を呼ぶはずである。市民主体の大会開催に向け、より広範な団体・個人が集える環境を整えてもらいたい。

 残念なのは、沖縄の過酷な現状を訴える大会の実行委員会に県議会が不参加を決めたことだ。女団協が求めたのは超党派による参加であったが、与党と野党・中立の間で意見がまとまらなかった。沖縄の声を両政府にぶつけるには、超党派による県内政治勢力の結集が不可欠だ。県議会各会派の再検討を求めたい。

 連続して起きた卑劣な事件に対し、県議会は県民の代表として被害者への補償や精神的ケアの実施、再発防止などを求める意見書と抗議決議を全会一致で可決した。女団協は県議会が示した意思の実現を訴えて参加を求めたのだ。

 大会開催については県議会の全会派が賛同しているが、野党・中立会派は、意見書可決やその後の要請行動によって「議会の意思は既に表示している」として実行委への参加は必要ないとの立場で臨んだ。議会人としての一つの見識ではあろう。しかし、抗議決議にある「満身の怒り」は政府や国民全体に届いたと言えるのだろうか。

 少女に対する事件に抗議した超党派による1995年の10・21県民大会は、事件への抗議決議を可決した県議会が主導して開催にこぎ着けた。

 忘れてはならないのは「県議会での決議を基に政党を超え、県民の総力を結集することが日米両政府に向かう力になる」という共通認識が県議会にあり、与野党は超党派による開催方針を組み固めたことだ。29年後の今はできないという理由はない。超党派開催を諦めてはならない。

 県議会が今年7月に可決した意見書は「県民は重くのしかかる米軍基地負担の重圧に苦しんできた歴史を抱えている」と記した。戦後、日本の施政権から切り離された米統治下の沖縄では人権が抑圧される局面で、県民大会を開催し、結集することで抵抗の姿勢を示してきた。その歴史を振り返る必要がある。

 7月以来の女団協の要請を県議会はどれだけ真剣に受け止めたのか。95年の県民大会は綱紀粛正と犯罪の根絶、被害者への謝罪と補償、地位協定の見直し、基地の整理縮小を求めた。時代は変わっても県民の要求は今も同じであり、安心して生活できる社会の実現をとの根本的な願いだ。これを訴える大会の意義をあらためて確認したい。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月20日  04:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【金口木舌・11.20】:働く喜びとAIと

2024-11-20 04:00:40 | 【雇用・正規、非正規・パート・賃上げ・失業率・求人・労働組合・労働貴族の連合】

【金口木舌・11.20】:働く喜びとAIと

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【金口木舌・11.20】:働く喜びとAIと 

 地方公務員の友人の妻は職場で昇進の話があると、「拒否」するそうだ。「肩書を得るだけで、責任は重くなり業務は増える。割に合わない」が理由。仕事に誇りはあるが、業務に忙殺され疲労もたまるとくれば、昇進に二の足を踏む

 ▼責任はともかく、職歴を重ねるごとに仕事が増えるというのは体験的に分かる。少子高齢化で日本の生産年齢人口が減り続けている。業務の幅は広がり、仕事が減ることはない

 ▼どこもかしこも人手不足だ。「人工知能(AI)が仕事を奪う」と言われるようになって久しいが、少なくとも身の回りにそんな気配はない。この食い違いは一体何だろう

 ▼ことしのノーベル賞の物理学賞と同化学賞はAI関連が受賞した。昨年、「東京都同情塔」で芥川賞を受賞した九段理江さんは創作時に「生成AIを使った」と明かし、話題となった

 ▼AIは信用できないという人もいるだろう。ただ、労働力不足への対応では可能性を秘めている。「拒否」はしないし、疲弊もたまらない。要は人間が使いこなせるか。感情がないAIだが、人が働く喜びや誇りを取り戻してくれるかもしれない。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【金口木舌】  2024年11月20日  04:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説①・11.20》:規正法の再改正 企業団体献金禁じる時だ

2024-11-20 02:05:50 | 【政治とカネ・政党交付金・「企業・団体献金」・政治資金・議員歳費・賄賂・後援会

《社説①・11.20》:規正法の再改正 企業団体献金禁じる時だ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・11.20》:規正法の再改正 企業団体献金禁じる時だ 

 衆院選での与党過半数割れを受け、自民党が政治資金規正法の再改正にようやく重い腰を上げた。

 検討しているのは、調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)の使途公開と残金の国庫返納、政党から議員に支出される政策活動費の廃止、政治資金を監視する第三者機関の設置――などだ。

 自民党の政治改革本部の初会合であいさつする石破茂首相(中央)=東京都千代田区の党本部で2024年11月12日午前10時7分、長谷川直亮撮影

 先の通常国会で成立した改正政治資金規正法は、「抜け穴」だらけだった。自民党派閥の裏金問題に対する国民の批判は収まらず、衆院選大敗の一因になった。 

 政策活動費は、使途公開の義務がなく、ブラックボックス化している。党内の反対意見への配慮もあり、石破茂首相は「廃止を含めて議論」と煮え切らない。廃止は待ったなしだ。

 第三者機関は、強力な権限を持った組織として出発できるよう、制度設計を急ぐ必要がある。

 再改正の本丸は、企業・団体献金の禁止である。立憲民主党など野党は禁止を求めているが、自民党は反対姿勢を崩していない。

 「平成の政治改革」では、国民の税金を原資とする政党交付金を導入する代わりに、企業・団体献金を禁止することになった。

政治改革法案で合意し、共同記者会見に臨む細川護熙首相(右)と河野洋平自民党総裁=国会内で1994年1月29日未明

 1994年にまず政治家個人への企業・団体献金が禁じられた。政党向けは5年後に検討されることになっていたが、結局、見送られた。全面禁止できないまま、政党交付金との「二重取り」が続いている。

 自民党の政治資金団体「国民政治協会」への2022年の企業・団体献金は約24億5000万円に上った。

 首相は、企業の政治活動の自由を認めた70年の最高裁判決を踏まえて「企業・団体も寄付は禁じられていない」と話す。だが判決は同時に、巨額寄付に伴う金権政治の弊害には「立法政策」で対処すべきだとの判断を示している。 

 企業・団体献金によって、資金力の強い業界の意向が反映され、政策決定にゆがみが生じる懸念も指摘されている。首相は、献金に上限を設けることなどを検討する考えだが、全面禁止すべきだ。

 民主主義を機能させるには、政治資金の適正化が欠かせない。与野党が協力して、抜本改革を断行し、国民の信頼を取り戻さなければならない。

 元稿:毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月20日  02:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説②・11.20》:谷川俊太郎さん逝く 「生きる」支えた詩の言葉

2024-11-20 02:05:40 | 【訃報・告別式・通夜・お別れの会・病死・事故死・災害死・被害による死他】

《社説②・11.20》:谷川俊太郎さん逝く 「生きる」支えた詩の言葉

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②・11.20》:谷川俊太郎さん逝く 「生きる」支えた詩の言葉

 やさしくて柔らかい。けれども心のひだに深く入り込む。紡がれた言葉が、どれだけ多くの人生に寄り添ってきたことだろう。

 戦後の現代詩を代表する詩人、谷川俊太郎さんが92歳で亡くなった。詩を通して言葉の可能性を広げるとともに、絵本や随筆などで世代を超える共感を得てきた。

自宅でインタビューに答える詩人の谷川俊太郎さん=東京都杉並区で2019年10月11日午前11時40分、尾籠章裕撮影

 熱心な読者ならずとも、教科書やCMで谷川さんの世界に触れた人は少なくないだろう。ネット上に哀悼や感謝のメッセージがあふれる。詩人が残したものの大きさを改めて思い知らされる。

 親しみやすく、ユーモアもある半面、地球や人類を宇宙の高みから俯瞰(ふかん)するような作品は、読み手の時空も押し広げていく。

 デビュー作の「二十億光年の孤独」は、「人類は小さな球の上で/眠り起きそして働き」で始まる。「朝のリレー」は、「カムチャツカの若者が/きりんの夢を見ているとき/メキシコの娘は/朝もやの中でバスを待っている」と読み手をいざなう。語感で遊びながら、やんわりと差しはさむ文明批判も痛烈だ。

 一方で、身体感覚に直接訴えかける「ののはな」などのひらがな詩は、日本語の音の面白さや豊かさを味わわせてくれる。

 東日本大震災後には、1971年刊行の詩集に収められた「生きる」が再び広く読まれ、喪失感を抱えた人々の支えになった。詩が持つ力であろう。

 「生きているということ/いま生きているということ」というフレーズが繰り返される詩は、日常のかけがえのなさを思い起こさせる。同時に、「かくされた悪を注意深くこばむこと」という言葉には、人間や社会の暗部と対峙(たいじ)する覚悟がにじむ。 

 2019年に出版されたイラストレーターのNoritakeさんとの絵本「へいわとせんそう」は、暴力がエスカレートし、分断が進むいまの世界への問いかけでもあろう。

 「みんながいろいろな言葉で平和を追求したりしているけれども、戦争は全然なくならない」「詩の言葉が何かの役に立たないか」

 信じていたのは、世界を対立させるのではなく、包み込む詩の力だ。どんな言葉を生み出していくのか。私たちに託された宿題だ。

 元稿:毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月20日  02:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説①・11.19》:兵庫知事に斎藤氏再選 出直しは疑惑の解明から

2024-11-20 02:04:50 | 【選挙・衆院選、参院選、補選・都道府県市町村長・地方議会・公職選挙法・買収事件】

《社説①・11.19》:兵庫知事に斎藤氏再選 出直しは疑惑の解明から

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・11.19》:兵庫知事に斎藤氏再選 出直しは疑惑の解明から

 SNS(ネット交流サービス)上を飛び交う情報が有権者の行動を左右した異例の選挙である。

 パワーハラスメント疑惑などで兵庫県議会の不信任決議を受け、失職した斎藤元彦・前県知事が再選された。

当選確実となり、笑顔で握手をする斎藤元彦氏=神戸市中央区で2024年11月17日午後9時45分、北村隆夫撮影

 疑惑は県幹部職員による匿名の内部告発で明るみに出た。

 公益通報者保護法は告発を理由とした不利益処分を禁じている。にもかかわらず、斎藤氏は告発者を特定するよう指示し、県は幹部を懲戒処分にした。

 県議会調査特別委員会(百条委)では告発を裏付けるような職員の証言が相次いだ。斎藤氏も机をたたいたり付箋を投げたりしたことなどを認めている。

 斎藤氏は政党や組織の支援を受けず、出直し選に出馬した。単身で街頭演説する動画がSNSで拡散された。「SNSが一番大事なツールだった」と振り返る。

 ネットで広がったのは、「既得権益」を持つ議会や県庁、マスコミに対して改革者・斎藤氏が立ち向かうという構図だ。支持拡大の大きなうねりが生まれ、投票率は前回を14ポイントも上回った。

 7月の東京都知事選でも、SNSで既存の政治家を批判した石丸伸二・前広島県安芸高田市長が2位に躍進した。大手メディアを攻撃し、SNSで持論を訴えるトランプ次期米大統領の政治手法にも通じる。

 見逃せないのは、今回の知事選で多数の偽情報が出回ったことだ。発信力の強い「インフルエンサー」らが「パワハラ疑惑はでっち上げ」など事実でない情報を拡散した。接戦となった他候補の評判を落とす偽情報も流布された。

 誤った情報を信じる人が増えれば、民主主義の基盤である選挙の機能が損なわれかねない。

 出回る情報の真偽を確かめるファクトチェックなど、デジタル時代に応じた取り組みの強化が求められる。

 告発した幹部は懲戒処分を受けた後に死亡した。自殺とみられている。再選されたからといって疑惑帳消しになるわけではない。

 斎藤氏疑惑について正面から説明し、県議会は徹底した調査を続けなければならない。それが半年以上にわたって混乱した県政立て直すための出発点である。

 元稿:毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月19日  02:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説②・11.19》:首相が習氏と初会談 対話重ねて地域に安定を

2024-11-20 02:04:40 | 【中国・共産党・香港・一国二制度・台湾・一帯一路、国家の個人等の権利を抑圧統治】

《社説②・11.19》:首相が習氏と初会談 対話重ねて地域に安定を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②・11.19》:首相が習氏と初会談 対話重ねて地域に安定を 

 国際情勢が不透明さを増す中、日中両国首脳には、対話を重ね、東アジアの安定につなげる外交努力が求められている。

 石破茂首相は、中国の習近平国家主席とペルーで初めて会談した。日本の首相と習氏が会うのは1年ぶりだ。

首脳会談を前に握手する石破茂首相(左)と中国の習近平国家主席=ペルー・リマで11月15日(代表撮影・共同)

<picture>日中首脳会談を行う石破茂首相(左端)と中国の習近平国家主席(右端)=ペルー・リマで11月15日(代表撮影・共同)</picture>

日中首脳会談を行う石破茂首相(左端)と中国の習近平国家主席(右端)=ペルー・リマで11月15日(代表撮影・共同)

 両国共通の利益を追求する「戦略的互恵関係」を推進することを確認した。首相は意見の相違はあるとしつつも「会談を重ねることで一致をみた」と強調した。

 関係改善の取り組み継続で足並みをそろえた背景には、「米国第一」を掲げるトランプ前大統領の復権がある。米中対立の激化が予想され、中国には日本との関係を安定させたい思惑もうかがえる。

 日中は多くの懸案を抱える。

 東京電力福島第1原発の処理水の海洋放出を巡っては、今年9月に両国が合意した日本産水産物の輸入再開を着実に実施することになった。だが、習氏は時期を明示しなかった。

 在留邦人の安全確保も喫緊の課題だ。深圳では9月に日本人男児刺殺事件が起きた。スパイ行為に関与したとされる邦人は拘束されたままだ。情報開示は不十分で、日本側の不信を招いている。 

 安全保障上の緊張も続く。沖縄県・尖閣諸島周辺では中国海警局の公船による領海侵入が相次ぐ。長崎県沖では中国軍機の領空侵犯が発生した。

 中国は台湾を包囲する形で軍事演習を実施した。首相は台湾海峡の平和と安定の重要性を訴えたが、習氏は従来の立場を繰り返したという。

 会談で「首脳を含むあらゆるレベルで意思疎通を強化」することで合意した。一連の対話を課題解決の糸口としなければならない。

 日中両国ともに、トランプ次期政権への対応を迫られている。トランプ氏は自国産業保護のため、中国には60%、日本を含むすべての国に10~20%の関税を課す構えだ。自由貿易の重要性について認識を共有する必要がある。

 米国との同盟が外交の基軸である日本に対し、中国は米国主導の国際秩序に挑戦する姿勢を見せる。だが、日中は経済面で切っても切れない関係にある。「日米同盟」を堅持しつつ「日中協商」を実現する外交力が試されている。

 元稿:毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月19日  02:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・11.19】:斎藤氏の再選 疑惑対応と信頼回復が急務

2024-11-20 01:55:30 | 【選挙・衆院選、参院選、補選・都道府県市町村長・地方議会・公職選挙法・買収事件】

【社説・11.19】:斎藤氏の再選 疑惑対応と信頼回復が急務

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・11.19】:斎藤氏の再選 疑惑対応と信頼回復が急務

 兵庫県知事選で、失職して出直し選に臨んだ前職の斎藤元彦氏が再選を果たした。

 斎藤氏のパワハラなどの疑惑告発文書問題が発端となり、知事選では斎藤氏の対応や資質、約3年の県政、混乱からの立て直しが問われた。

 当選後、斎藤氏は「謙虚の心を胸に刻んで頑張っていく。オール兵庫で県政を進める」と述べた。

 だが、全会一致で不信任を決議した県議会や、相次いで「県政転換」を求めた県内市長との溝は深い。

 庁内を含め、いかに関係を修復し、県民の信頼と県政の安定を取り戻せるか。険しく、重い責務を担う。 

 返り咲きで、斎藤氏の疑惑が晴れたわけではない。文書問題は県議会の調査特別委員会(百条委)による検証が続く。

 これまでパワハラなどを多くの県職員が証言し、告発文書を「公益通報」として扱わなかったことの違法性も専門家が指摘している。プロ野球の優勝パレード経費を巡る不正疑惑も、解明されないままだ。

 斎藤氏は真摯(しんし)に説明責任を果たし、百条委は丁寧に全容の解明と責任の所在を調べなければならない。

 斎藤氏は政党や組織の支援がなく、当初は劣勢が予想された。過去最多の7人が立候補し、反斎藤票が分散した影響は大きい。斎藤氏の得票率は45%と半分に満たず、政党の後押しを受けた次点と3位の候補得票率の合計よりも下回った。

 百条委継続中の議会による不信任が強引と映り、斎藤氏が手がけた行財政改革も一定評価された面があろう。

 注目されるのは、SNS(交流サイト)を駆使したインターネット選挙の力である。

 演説の動画や街頭活動の予定が次々と投稿され、勝手連的な動きにつながり、支持を急拡大したとみられる。

 共同通信の出口調査では、60代以下の全年代で他候補を上回った。低投票の傾向が続いた若者層も取り込んだ。投票率は55%超で、2021年の前回選挙より15ポイント近くも高かった。

 SNS重視の選挙活動は、今夏にあった東京都知事選で2位となった石丸伸二氏や、先の衆院選で躍進した国民民主党でも一定の効果を発揮した。

 だが今回、ネット上では対立候補に関する誤情報や誹謗(ひぼう)中傷のほか、「パワハラは虚偽」といった言説が流れた。

 斎藤氏と、批判する既存政党や県議会、マスコミという対立構図があおられ、無所属で出馬した候補者が選挙中に斎藤氏を応援し続けるといったこともあり、何が正しい情報なのか、戸惑う県民も多かったようだ。

 疑惑対応の是非や県政課題の争点が明確にならなかったのは残念である。

 メディアの報道も含め、重い問いかけを残した。

 元稿:京都新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月19日  16:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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