《余録・12.06》:石破茂首相の地盤である鳥取県は明治期…
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《余録・12.06》:石破茂首相の地盤である鳥取県は明治期…
石破茂首相の地盤である鳥取県は明治期、政府の方針に翻弄(ほんろう)されたことがある。1876(明治9)年に府県統合が行われた際に島根県に編入され、いったん消滅してしまった。士族らから再設置を求める運動が起こり、やっと復活したのは5年後の81(明治14)年だった
▲時が移っても、中央が地方を左右するパターンは変わらない。年収「103万円の壁」の見直し方針に伴い、自治体の地方税収に与える影響が焦点になっている。減額幅が大きくなれば住民サービスなどに支障を来しかねないと、知事らから懸念を訴える大合唱が起きている
▲自主財源の地方税が歳入全体の3~4割にとどまり、「3割自治」とやゆされてきた日本の地方自治である。約20年前、国と地方の「三位一体の改革」で地方側は国と渡り合い、3兆円の税源が国から移された。ところが、国から地方に配られる交付税が5兆円削られた
▲そんな過去もあるだけに、地方側には決着の行方に根深い不信感があるのだろう。折り合いをつけようと与党では「103万円の壁」見直しにあたり、住民税の基礎控除を対象から外す案も検討されているという。知事からは見直しには賛成し、穴埋め措置を求める声もある
▲ちなみに明治の鳥取県問題は、政府の実力者、山県有朋が現地を視察して不平士族をなだめ、復活を後押ししたことが決め手となったとされる
▲国と地方に降りかかった難題。自治体の財源はどうあるべきか、基本に立ち返る議論が乏しいのはさみしい。
元稿:毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【余録】 2024年12月06日 02:02:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます