路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【社説・11.23】:【国の経済対策】:必要性や効果の精査を

2024-11-24 05:05:40 | 【経済対策・物価対策、原油など資源価格の高騰・幅広い品目の値上げ、消費者物価】

【社説・11.23】:【国の経済対策】:必要性や効果の精査を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・11.23】:【国の経済対策】:必要性や効果の精査を

 物価高に苦しむ国民の生活を支える施策は必要だが、財政悪化や財源不足の懸念は放置できない。必要性や費用対効果の精査が必要だ。
 政府は、事業規模で約39兆円に上る経済対策を決定した。その裏付けとなる費用約13兆9千億円を計上した2024年度一般会計補正予算案を臨時国会に提出する。事業、予算ともに23年度を上回る規模で、石破茂首相は「賃金や所得を増やすよう全力を尽くす」と強調した。
 ただ、今回の経済対策は、9月の自民党総裁選や10月の衆院選に際して支持獲得のために浮上した経緯がある。補正予算の財源の多くは国債頼みになる公算が大きい。基礎的財政収支(プライマリーバランス)の25年度黒字化を目標に掲げる政府の方針とは逆行する部分がある。
 黒字化には、新型コロナウイルス禍で最大73兆円(20年度)にまで膨らんだ補正予算を、1兆~3兆円台だったコロナ前に戻す必要があった。また、年度途中の緊急の財政需要に対応するのが補正予算の本来の趣旨であることを踏まえれば、規模の膨張には疑問符もつく。
 少数与党になった自民、公明両党と、国民民主党の協議で、国民民主が求めてきた「年収の壁」引き上げなどの項目も明記された。細部は今後に委ねられたが、それも含めれば対策の実質規模はさらに膨らむ。
 「年収の壁」の見直しなどは税収減に直結する。総じて財政面、財源面の懸念は後回しにされているのが実情だ。将来に責任を持った議論が求められる。
 経済対策は「日本・地方経済の成長」「物価高の克服」「国民の安心・安全の確保」を柱とした。このうち物価高対策は、低所得者向け給付金や電気・ガス代の支援再開、ガソリン代補助の継続を盛り込んだ。
 低所得者ほど物価高の負担感が大きく、むしろ対応が求められる局面だ。一方で、エネルギー料金の支援は、富裕層や好業績企業にも恩恵が及ぶ。脱炭素化にも逆行する。ばらまきの要素が強くないか、必要性を吟味すべきだ。
 経済成長では、半導体・人工知能(AI)産業に対する10兆円以上の公的支援に向けた枠組みをつくるほか、地方創生関連の交付金、賃上げ目的の中小企業支援策などを盛り込んだ。ただ、多くは継続的に取り組んでいるものだ。補正対応の必要性があるのか。「総額ありき」だったのでないか。説明が求められる。
 「年収の壁」見直しなど税制改正の方向性を、経済対策で担保したのは異例と言えるだろう。今回の3党協議は、少数与党の石破政権が国民民主と連携する初の事例であり、ひな型になる可能性を考えれば政治的な意味も小さくない。
 一方で、国民民主の要求が強く反映された結果、税収減による財源面の不安も膨らんでいる。協議のヤマ場はこれからで、予断を許さない。これまで自公のみで決まっていた政策をどう決めていくか。他の野党も含めて、国会、国政の転換点にあるとの意識で臨む必要がある。

 元稿:高知新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月23日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。


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