瀕死の政党政治 理念と政策貫き信頼回復を 歴史は繰り返すのだろうか。
「京都新聞社説」(1月3日)を読んで、
http://www.kyoto-np.co.jp/info/syasetsu/20120103.html
以下指摘してみよう。ポイントは糞も味噌もごった煮の「野党」論に注目。
>日本の政党政治が危機に瀕(ひん)している。東日本大震災と福島第1原発事故という未曽有の国難にありながら、政争に明け暮れる与野党に、国民の政党不信がかつてなく高まっている。
「政争にあけくれる」政局報道にあけくれているのは誰か。
>しかし、鳩山由紀夫、菅直人、野田佳彦の3首相による政権を見る限り、政権交代は期待はずれと言わざるを得ない。成果が乏しいからだけではない。自民党と同じにしか見えなくなってきた…もともと、民主党と自民党の政策には共通点が多い。野田首相は環太平洋連携協定(TPP)への参加を目指しているが、自民党も経済連携協定(EPA)や自由貿易協定(FTA)に積極的だ。消費税増税を伴う財政再建、原発輸出の促進、日米同盟の深化といった重要施策の方向性に、両党の差はほとんどない。
こんな言い方をしてしまって、オイオイ!
「もともと」自民も民主も同じだったのに、二大政党は政権交代に必要と煽ってきたのは誰か。同じ穴のムジナなのに、あたかも違いがあるように報道してきた責任は重いぞ。そのことで政治を混迷させ、政治不信を助長させた責任をどう果たすのか?
>野党の自民党や公明党の姿勢も褒められない。建設的な提言や政策論争は少なく、民主党のあら探しに躍起なのはいただけない。
この文章の主語は、「重要施策の方向性に、両党の差はほとんどない」前政権の自公だということをもっとはっきりさせるべきだろう。これをはっきりさせないから、以下のような現象になる!
>既存政党への不信は、政治スタイルが「独裁」と批判される橋下徹大阪市長が率いる「大阪維新の会」など新勢力の台頭につながった。
ということになるし、「大阪維新の会」も「重要施策の方向性に、両党の差はほとんどない」「既存政党」と同じではないのか?ここをキチンと報道しないから、「新勢力の台頭につながった」のではないのか。
>選挙の前に考えてほしいことがある。政界の再編だ。そもそも政党は理念と目指すべき政策で結束すべきだが、派閥やグループといった人的つながりでできている民主党や自民党は党内の政策の隔たりが甚だしい。安全保障や社会保障、経済対策など重要政策で同じ考えの議員がまとまって政党をつくれば違いが明確化し、国民は選択しやすくなる。
「政界の再編」というニンジンをぶら下げて国民を欺くのはやめたらどうか?「政界の再編」の歴史をキチンとふまえてみたらどうか?
国民にとって「違いが明確に」なるためには、「安全保障や社会保障、経済対策など重要政策」で全く違っている政党をキチンと報道することでないのか?そうしてこそ「国民は選択しやすくなる」のではないのか?
言ってることとやってることが根本的に違っているのがマスゴミの最大の特徴だ。それは以下の言葉でも明確だ。
>少子高齢化と財政赤字が大きな課題となるなか、対立軸とすべきは政府の「大小」ではないか。すなわち、高負担・高給付の福祉国家を目指すのか。逆に規制緩和と自由競争を進め、国民の自己責任の割合を高めるのか。答え次第で政党の個性が決まるはずだ。
所得・生活の格差が拡大してきたが、誰に対して「高負担」すべきなのか、誤魔化さないことだ。これを明確にしている政党は、今のところないのか?このもの言いでは「ない」ことを前提にしているが、本当か?ウソとデマでは国民の選択を誤らせることになる。
>柔軟性は必要だが、節を曲げず、言行を一致させてこそ信頼を得られるのは人も政党も同じはず。政党よ、しっかりせよ。
「非正規労働を野放しさせる政治をやらせ大儲けし、その儲けを政治家や官僚に払っている大企業に対して、日本国民の血税をおもいやりとして平気で受け取るアメリカの横暴」に「筋を曲げずに」が、今の日本には最も必要なことだろうが、その政党は今の政界にはないのか?はっきりさせる必要がある。
現在の国民の意識を醸成している最大の媒体が新聞・テレビだが、この媒体を通じてどのような国民意識が形成されているか、以下の報道を見ると明瞭だ。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2012010302000020.html
>政権交代三年目で、民主党政権に対する失望感が広がると同時に、対する野党にも厳しい視線が向けられていることが明らかになった。
こういう国民の認識が態勢だが、こういう認識を形成するうえで、京都新聞の社説(だけではないが)に見るように、対立軸をはっきりさせない情報伝達の内容に問題がある。このことをはっきりさせる必要がある。
>政党支持率は民主党25%、自民党28%で、「支持政党なし」は27%。衆院選が近くあった場合の投票先は民主党20%、自民党28%、「投票したい候補者・政党はない」は26%だった。
相も変わらず「重要施策の方向性に、両党の差はほとんどない」自民と民主しか出てこない、後は「支持政党なし」のパターン。これこそ、マスゴミの報道の仕方の結果だし、こういう調査の仕方と報道の仕方そのものが、政治を閉塞させていることに、そろそろ国民も気付くべきだろう。
>国家の在り方や消費税増税、環太平洋連携協定(TPP)参加など政策を軸にした政界再編推進派は計71%で、内輪もめを繰り返す二大政党への不満の大きさが目立った。
「政策を軸にした政界再編」というが、その前に政策を軸にした対立軸をしっかり、キチンと国民の前に明らかにする報道をすることこそ、マスコミに求められている。
そうでないから、「二大政党に問題あり」との声があっても、変わらないのだ。「政策を軸にした政界再編」認識を変革していかない限り、政界再編と「新政党」誕生というパターンが繰り返される歴史が進行し、国民の生活は一向に改善されないことになる。
政党間の対立軸を明確に報道しないマスコミのつくる世論調査結果。これで安泰なのは、誰か!ここを変革することで瑞穂の国の春がやってくるのだろう。
春つくるメディアをつくる時が来た小さきことにも声あげてこそ