野田改造内閣論が全国いっせいに行われた。これで国民の意識が形成されると思うと、言っとくことはたくさんある。
まさに、これぞ最悪の「イデオロギー」だ。
目線は国民目線だ。消費税増税は社会保障を充実させ、日本の閉塞を打破改善できるか、社説はそのことをはっきりさせた。国民を身を削る論の土俵に押し込める対案を提示できなければ、苦しみはいっそう拡大していくことになるだろう。残念だが。だからこそ、「世論」をつくらねば、と思う。
全国新聞と地方紙の社説(一部は社説ではない)にみる野田改造内閣論
朝日 岡田氏入閣―一体改革の先頭に立て
毎日 税制改革と改造 首相こそ説明の先頭に
読売 野田改造内閣 一体改革実現へ総力を挙げよ
日経 岡田副総理をテコに一体改革を進めよ
産経 増税以外の懸案どうした 危機意識なき「融和」を憂う
北海道 増税シフト大義見えぬ
河北新報 国運を背負う自覚があるか
東奥日報 難局打開問われる実行力/野田内閣改造
デーリー東北 背水の陣で国会に臨め
秋田さきがけ 課題先送りは許されぬ
岩手日報 復興施策優先忘れるな
福島民報 本県の復興を遅らせるな
福島民友 山積する難題どう対処する
茨城 首相の覚悟を示した
東京 増税前にやるべきこと
千葉日報 政権公約の御旗、いつまで 消費税率引き上げ
神奈川 問われる岡田氏の手腕
埼玉 消費増税シフト鮮明
信濃毎日 国民軽視の増税シフト
新潟日報 これで「不退転」貫けるか
北国 政権浮揚にはつながらぬ
京都 背水の陣で改革を前へ
神戸 二枚看板で懸案に道筋を
山陽 前へ進む政治へ転換せよ
中国 反転攻勢 問われる力量
山陰中央 一体で政治の停滞打破を
愛媛 増税布陣の求心力は疑わしい
徳島 一体改革に命運懸けた
高知 首相の覚悟にどう応える
西日本 局面転換に結実してこそ
宮崎日日 野田改造内閣
佐賀 首相の決意は伝わるが
熊本日日 政治を一歩前に進めよう
南日本 基盤強化を狙った布陣
沖縄タイムス 首相は万事説明不足だ
琉球新報 我慢より安心語れ 普天間撤去で対米交渉を
「増税のためにガンバレ!」コールオンパレードだった社説子に 渇!
しかも「熊本日日」にみるように「改革の必要性は国民も分かっている。問題なのは政治の側だ。3点を注文したい。まずは国民に現状を説明し、認識を共有化するための努力を怠らないことだ。次いで、あるべき社会の青写真と道筋を分かりやすく示すこと。三つ目が政治(家)が「身を切る努力」をすることだ。国会議員の定数削減などがある。これらは同時並行で進めねばならない」との見解が大方の見方だ。
また岡田VS小沢と消費税増税の是非を党内対立に描いて国民との対立、大企業の枠組みと国民の矛盾とは描かないのは政局優先・国民不在の改造内閣評価論といわなければならない。
さらには消費税増税が被災地の国民に対してどのような影響をあたえるか、この点での突っ込みは被災地からも弱い。
マスコミや政府・政治家が繰り返し強調している「身を削る」論だが、百歩譲って、身を削ったとして、それで消費税増税が行われたとして、この両者は等価交換、いや国民に負担をかける以上に国民に利益をもたらすのだろうか?そのことをマスコミは検証すべきだろう。その点で以下の2紙は注目される。
「愛媛新聞」の「行政の無駄排除や公務員制度改革、選挙制度改正を含めた政治改革は永遠の課題であって、本来は増税の交換条件として進める筋合いのものではないはずだ。与野党協議はまずここから始めたい」との指摘と
「高知新聞」の「政府・与党の一体改革案で、増税に見合うだけの社会保障の充実が期待できるのか。野党には国会審議を通じて一体改革の問題点を指摘し、対案を提示することが求められる」のように、
この改造内閣論、現在のマスコミに欠けているのは、従来の国政の枠組み、すなわち国債を発行して国家運営をしてきたことで誰に利益(筆者は大企業だと確信する!)を与えてきたか、国民に利益を与えてきたか、不利益を与えてきたか、検証していないことだ。国債発行による財政危機を規定のものとして、だから消費税で解決を、そのために国民に説明を、そのためにも身を削れと言うだけだ。ゴマカシだ! このことをすべての社説子は一言も語っていない!
このごまかしを打ち破る、すなわち「カネはあるところにはあるのだ」ということを示していくことだ。何故ならば、それだけのカネを国民の労働で作り出してきたからだ。そのための資料はここではあげないが、GDPと国民消費、今日の大企業の利益と国民の賃金・雇用者報酬、海外進出企業と国内雇用などなどを「きちんと、しっかりと」社説で論じることだ。でもしていない!何故か!?
最後に注目すべき地方紙の社説もあった。その主な点をあげてみたい
野田改造内閣 我慢より安心語れ 普天間撤去で対米交渉を琉球新報
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-186230-storytopic-11.html
表紙の一部を変えても、日本をどう治めるのかという政治の腰は定まらないままではないか。首相は「最強の布陣」と胸を張ったが、何のためなのか。改造の大義は見えない。総じて米国に顔向けし、名護市辺野古に移設する約束履行に腐心する野田政権の姿勢は変わらない。県内移設を強く拒む沖縄の民意に向き合う姿勢はうかがえない。消費増税を主導する財務官僚に取り込まれ、普天間問題では対米追従に塗り込められたのが今回の内閣改造の本質ではないか。
一方の米政府は、中国の軍事力増強をことさら強調して日本人の不安を駆り立てる。東アジア各国の相互不信を高めて米軍の役割の重要性を演出し、日本から相応の軍事費を引き出すことに躍起だが、経済関係が深まる中国と紛争を構えることは想定していまい。対米外交を冷静に見詰め直す時期が到来している。米国と一線を画し、外交政策の思考回路を転換させることこそ、中長期的に見て日本の国益にかなうはずである。沖縄の民意を反映させ、実現性のない辺野古移設見直しを日本側から提示することこそ、野田改造内閣がまず果たすべき役割だ。だが、政権公約を次々と撤回してきた民主党政権のトップが言う「君子豹変(ひょうへん)」の実像は、消費増税や環太平洋連携協定など、国民の反対が強い政策でも強引に推し進めるという意味合いだろう。東日本大震災の発生後、国民に横たわる危機意識と不安感に背を向け、国民生活を厳しくする政策展開に注力するのは「政治主導」のはき違えである。国民が望む「脱原発」にしても、野田政権下では後退ばかりが目立つ。新たな制度設計の過程で、政府がアメとムチを交えた懐柔策を繰り出し、普天間の県内移設を進めようとする局面もあり得る。沖縄やこの国のあるべき将来像を紡ぎ出す構想力と実行力をこの政権に期待するのはないものねだりか。
[野田改造内閣]首相は万事説明不足だ 沖縄タイムス
http://www.okinawatimes.co.jp/article/2012-01-14_28492/
「消費税増税論を4年間封印する」との公約を掲げ、政権交代を実現した。国民との約束が存在するにもかかわらず、消費税増税を最大の政治課題と位置づけ、3月末までの法案提出をもくろむ内閣が民主党政権の下で誕生したのである。この理屈は、詭弁(きべん)といわれても仕方のない主張だ。有権者には「方便」としか聞こえない。その点についての国民への説明も不十分である。持続可能な社会保障制度を実現するため新たな財源確保策が必要なことは疑う余地がない。消費税の増税が最も有力な選択肢であることも事実である。だが、野田首相は、国民向けに社会保障の将来像を説明したことがない。増税の前提となる歳出削減や行政の無駄の排除も、ほとんど進んでいない。岡田副総理がどこまでやれるか全く未知数で、改革実現の見通しも立っていないのに、消費税増税法案だけは3月末に国会に提出する―というのでは、説得力を欠く。
増税前にやるべきこと 野田改造内閣が発足 東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012011402000074.html
野田改造内閣が発足した。消費税率引き上げに向けた態勢づくりという。しかし、くぎを刺しておきたい。増税の前にやるべきことがあるだろう、と。消費税増税に慎重な小沢一郎元代表に近い松原仁国家公安委員長や田中直紀防衛相を閣内に取り込むことで、小沢氏支持グループ内でくすぶる反対論を封じ込める狙いもあったのかもしれない。すべては消費税増税のためなのだろうが、内閣改造でその展望が開けるわけではない。通常国会では、一体改革法案の取り扱いが議論の中心となる。消費税増税はそもそも自民党の公約であり、協議に応じるべきだとの意見が党内にある。しかし、一体改革案には問題があまりにも多い。それを正さず、増税の「片棒」を担ぐだけなら、国会の責任を果たしたことにはならない。本格的な高齢化社会の到来を迎え、年金、医療、介護などの社会保障費のさらなる増大は避けられない。その一方、国の借金は一千兆円に膨れ上がり、このままでは財政破綻を招きかねない。社会保障制度と税金の在り方を一体的に見直し、社会保障財源の安定的な確保と財政健全化を同時に進める。それが一体改革の出発点だったはずだ。改革の必要性は理解するが、素案は一体改革の名に値しない。例えば年金。受給に必要な加入期間を二十五年から十年に短縮するなど「無年金・低年金」対策を強化するが、被用者年金の一元化などの抜本改革は手付かずだ。改革とは名ばかりで、現行制度の手直しに終わっているのが実情だ。その結果、消費税率を5%引き上げても、所得の低い人の年金上積みや子育て支援など、社会保障制度の拡充に使われるのは1%分にすぎない、という。予算が足りず、消費税率を引き上げると言われても、死力を尽くした後でなければ、納得がいかない。優先順位を無視するから、国民の反発を招くのだ。野党側も増税に安易に協力する必要はないが、単に協議を拒否するのではなく、社会保障の全体像を描くための知恵を政府・与党とともに絞ってほしい。国や地方自治体など公的部門とNPOや地域社会など民間部門がどう役割分担するのか。必要な負担をどう分かち合うのか。「国のかたち」ともいえる論点は多い。気になることがまだある。消費税率引き上げまでに、国民の納得と信頼を得るため、衆院議員定数八〇削減や国家公務員給与の削減、独立行政法人や公益法人、特別会計などを改革する「行政構造改革実行法案」の成立を図るとしているが、必ずしも前提条件にはなっていないことだ。官僚が既得権益死守のために改革案を骨抜きにするのは常套(じょうとう)手段だ。行政の無駄を残したまま増税だけが強いられてはたまらない。天下り先の独立行政法人に多額の予算を投入し、その法人が仕事をさらに下請けに丸投げする。この「天下り・丸投げ」構造を改めない限り、行政の無駄はなくならない。天下り根絶こそまさに行革の本丸だ。民主党政権がすべての政治力を投入する価値はある。
野田改造内閣 増税シフト大義見えぬ 北海道新聞
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/343360.html
政権発足時の最大課題は東日本大震災からの復旧・復興、福島第1原発事故の収束、円高などの経済対策だった。わずか4カ月あまりで消費税問題へ急速に重心が移ってきた。
震災復興や原発対策が進行中のいま、「避けて通れないから」の一点張りで消費税増税へ突進する大義はどこにあるのか。首相は消費税を政権の最重要課題に引き上げた理由をきちんと説明すべきだ。人事を見る限り震災、原発の対策を強化したとは到底言えない。岡田氏を要職に据えたからといって進展する状況ではない。首相は難しい問題を岡田氏に任せ、自らの責任を回避していると見られかねない。一体改革の理念と中身は首相が自分の言葉で訴えることが重要だ。
野田改造内閣 国民軽視の増税シフト信濃毎日
http://www.shinmai.co.jp/news/20120114/KT120113ETI090010000.html
一体改革に対する「不退転の決意」を人事で示した格好だ。これで政権運営に展望が開けるわけではない。それどころか増税路線を一段と鮮明にしたことで、引くに引けない状況へとまた一歩を踏み入れたと言える。岡田氏の起用が増税論議を進める切り札になるかは疑わしい。自民、公明両党は協議拒否の姿勢を変えていない。テーブルにつくべきだとの声にも一理あるけれども、このまま与野党が消費税増税の合意を急げば、国民には「談合」に映るだろう。持続可能な社会保障制度をテーマに、時間をかけて与野党が研究し協議するなら大いに賛成だ。いまの野田政権のやり方はとにかく増税にめどを付ける、その一点張りに見える。最近の世論調査では、消費税増税の方針に説明不足を感じている人が多い。本格的な震災復興が始まる。円高が日本経済の足を引っ張っている。こんなときになぜ消費税増税を急ぐのか理解に苦しむ。首相の前のめりの姿勢が不安になる改造人事である。
改造内閣発足 政権浮揚にはつながらぬ 北国・富山新聞
http://www.hokkoku.co.jp/_syasetu/syasetu.htm
http://www.toyama.hokkoku.co.jp/_syasetu/syasetu.htm
消費税増税は「超超円高」を放置し、デフレを加速させる。いまの日本経済には薬どころか、劇薬にしかならない。増税一直線の道を突き進む限り、野田政権は大方の国民から見放され、遠からず解散・総選挙に追い込まれるのではないか。野田政権発足当初からほころびが見えていた「適材適所」の看板は、完全に色あせてしまった。問題閣僚の事実上の更迭と消費税増税をにらんだ人事だったが、菅政権は再浮揚することなく、辞任に追い込まれた。東日本大震災がなければもっと早く寿命が尽きていたはずである。消費税増税に固執する野田政権も早晩、同じ運命をたどりそうな予感がする。民主党が高く掲げたマニフェストは、政権交代から3年もたたずに破綻。国民の熱い期待を裏切り、末期症状を呈する今回の内閣改造だ。もはや小手先の政権運営は通用しない。
今日もまた身削れと叫ぶマスゴミの民の生活どこ吹く風か