横浜地裁判決の積極面と問題点、課題は何か!
画期的な福井地裁判決が出たその日に横浜地裁では、一定の前進があったものの、現在の日本を象徴する判決がなされました。以下の沖縄タイムスの記事をご覧ください。
しかし、その沖縄タイムスでさえも、この問題の本質に迫る論評になっていません!愛国者の邪論は、この点を繰り返し指摘してきました。沖縄の二紙が、これだけ日米軍事同盟の問題点を指摘しておきながわ、日米軍事同盟第10条をつかって廃棄を要求しないのです。ここに矛盾を克復できない最大の要因があります。
日米軍事同盟問題を避けた横浜地裁判決の限界!
現代日本は憲法を下位におくトンデモ思想が蔓延!
この日米軍事同盟を容認・是認・絶対視し、永久化する思想から憲法を活かす思想はでて来ません。今回の判決のように、国民の健康権・人格権を尊重するのであれば、福井地裁のような視点・思想と論理で米軍機の飛行を差し止めなければなりません。しかし、日米軍事同盟に基づく米軍基地と米軍機問題は治外法権なのです。憲法は及ばないのです。そもそも米軍基地を撤去しろとか、日米軍事同盟を廃棄しろなどということを要求したものではありません。国民の健康権・人格権を尊重しろというものでした。
日本は砂川最高裁違憲・不当判決をリセットしなければならない!
しかし、米軍機問題については、スルーしたのです。違憲統治行為論です。日米軍事同盟=日米関係=外交問題は憲法判断になじまないという「屁理屈」です。明らかに最高法規性の放棄です。立憲主義の否定です。これは、あの砂川事件を違憲と裁いた伊達判決を覆した最高裁判決を拠り所にしているからです。ここでボタンのかけ違いが始まったのです。そもそもこの最高裁判決は、繰り返し述べてきたように、国家主権・国民主権・司法の独立権を侵害する違憲判決です。この大間違いを間違いとしてではなく、最高裁判決として正当化し、口実として、その後の判決の判例がつくられているのです。
現代日本の価値観のすべてが、この違憲・不当判決を前提にして、その論理が組み立てられているのですから、つじつま合わせでしかありません。だからその場しのぎと場当たり政策に終始するのです。これは沖縄の「基地負担軽減」論、沖縄「差別」論も、TPP参加論も、日米軍事同盟を上位におく、憲法を下位におく思想を前提としたスリカエ・ゴマカシ・トリックなのです。
日米軍事同盟を聖域としてタブー視し、「あたらぬ神にさわりなし」論です。国民生活のどんな矛盾も、この日米軍事同盟にぶち当たるのですが、それをすり抜けるのです。真正面から見ようとしないのです。見えているのに、です。これはマルクスが発見した「剰余価値」論に匹敵する、また戦前天皇を現人神として崇めた思想と同じ、更に言えば、「原発安全神話」論と同じゴマカシ・スリカエ・トリックです。
だから、このゴマカシ・スリカエを正当化するトリックを、日々マスコミを使って垂れ流すだけです。マスコミ関係者も、このトリックに気づかないために、日米軍事同盟マジックにかかって、その安全神話論の呪縛の中に陥ってしまっているのです。
これはガンという腫れ物に触らず治療するようなものです。諸悪の根源を取り除く手術をせず治療するようなものです。この思想によってどれだけの国民が被害を受けようが、それは自己責任・自助でなんとかしろ!ということになるのです。そのようなイデオロギーが日常的に振りまかれるのです。デマゴギーという装置によって、です。
日米軍事同盟廃棄・日米平和友好条約締結をセットで!
ではどうするか!日米軍事同盟を10条に基づいて廃棄するのです。これは条規に基づく権利です。そのことによってのみ、「属国思想」から脱却できるのです。文字どおり、憲法を日本国中に行き当たらせるのです。
では廃棄した後はどうするのか、です。日米平和友好条約を調印するのです。対等平等の平和条約です。米軍基地は撤去するのです。領土問題など、危機はどうするのか!?勿論安倍首相派の危機と脅威を煽って、他国の責任などにはしません。積極的に対話外交をやります。憲法九条の路線です。領土問題は歴史的に検証すればいいのです。国際社会に公開して議論すれば良いのです。そこは隣国です。こっちが儲かり、隣国が損をするなどというケチなことは考えません。向こう三軒両隣、親戚です。両方の国民が海洋資源と海洋地下資源の恩恵に預かるのです。皆が豊かになることがどうしていけないのですか?自分だけ、しかも一部の企業だけが儲かるなどという不道徳は排除すべきことです。
そういう外交・経済交流と、人的交流・文化交流を活発にしていけば、領土問題などはクリアーできます。このように言うと、必ずでてくるのは、理想論などという言葉です。しかし、理想は夢物語ではないのです。実現するためのものです。例えば、サッカーワールドカップに優勝するというのは現時点では理想・夢物語かもしれません。しかし、だからこそ、そのために、何をなすべきか!という視点で、あらゆる取り組みをするのです。いや、するはずです。日本外交も、サッカーワールドカップ優勝も視点は同じなのです。
自衛隊を非軍事の国境警備隊・海外派遣・災害救助隊に改組する!
憲法九条の非軍事平和外交思想を具体化する国家づくりを!
そうすれば、憲法違反の自衛隊は不必要になります。いや新しい編成にすればいいのです。自衛官の国のなめに力になるという思いは最大限尊重されるべきです。ではどうするか。一つは国境警備隊を新設するのです。海上保安庁と合体でも良いでしょう。海と空を担当します。二つは、海外平和協力隊です。要請のあった国には、空と海を陸の担当部隊を派遣します。勿論戦闘地域には行きません!戦争のための部隊ではないからです。
よく血を流さないで、カネを出すばかりで良いのかという馬鹿げた思想が振りまかれていますが、日本国民の税金を出して何が恥ずかしいのか!ふざけるな!ということです。このカネは日本国民が汗水流して貯めたカネだぞ!ということです。そもそも非軍事的手段で紛争を解決することを国是としている日本だということを宣言している訳です。紛争地域や国家に、日本と同じようにやると国が豊かになりますよ!と胸を張って、止めましょうよ!と呼びかければ良いのです。
もう一つは国内には災害救助隊を創設することです。今自衛隊が実際上に担当している、主たる任務にしているのは、この災害派遣です。この装備をもっともっと充実するのです。戦車や戦艦など、戦闘に関する装備は、皆災害救助・復旧に係わる装備に変えるのです。自衛官も、この方が安心でしょう。鉄砲を撃てば、自分のところに跳ね返ってくることは明らかだからです。
国民が自衛隊に信頼の声を寄せているのは、現在の災害派遣任務を担当している自衛隊を見ているからです。政府や好戦家たちは、違憲の自衛隊が認知されたと、胸を張っていますが、それはスリカエです。そもそも自衛隊を認知させるために、災害救助派遣に、国際貢献として、海外に派遣してきたのですが、その意味を文字どおり、具体化するというのが、愛国者の邪論の提案です。
これこそが憲法平和主義に基づく積極的平和主義です。自衛隊の活用方法です!
では、ことの本質の論評を避けている沖縄タイムスの記事をご覧ください。
自衛隊機飛行差し止め:沖縄の首長ら矛盾指摘「米軍機も同じ」 2014年5月22日 10:50http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=70306
【中部】第4次厚木基地騒音訴訟で、横浜地裁が国に自衛隊機の夜間飛行差し止めを命じた判決を受け、米軍基地を抱える沖縄県の中部市町村の首長は「これまでにない画期的な判決」と評価する声が大半を占めた。夜間・早朝飛行の中止を訴え続ける嘉手納、普天間両米軍基地の爆音訴訟原告団も「一歩前進だ」としながらも、「米軍機の爆音も被害は同じであり、矛盾を抱えている」と米軍機の飛行差し止めを求めた。
嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会(三連協)会長を務める當山宏嘉手納町長は「一つの成果、今後の騒音問題に影響する可能性もある」と期待する。ただ、「米軍機と自衛隊機で、判決内容に差が出たことは大きな矛盾を感じる」と指摘。「騒音被害は変わらないはずだ。米軍機も自衛隊機と同じように取り締まるべきだ」と求めた。
野国昌春北谷町長も米軍機の夜間飛行差し止めにまで対象を拡大するよう要望。一方、米軍普天間飛行場を抱える宜野湾市の佐喜真淳市長は「詳細が分からない」と言及を避けた。
第3次嘉手納爆音差し止め訴訟原告団の平良眞知事務局長は、横浜地裁で厚木原告団と共に判決を聞き、「画期的な判決で原告団も喜んでいた」と現地の様子を伝えた。「住民の健康被害となることを認め、飛行を差し止めた。米軍機の被害も同じで、沖縄の追い風にしたい」と話した。
嘉手納爆音訴訟で32年間にわたって弁護団長を務める池宮城紀夫弁護士は「大きな意義がある。集団的自衛権の行使容認が進む中、勇気ある判決だ」と評価。一方、自衛隊機による相当深刻な被害を認めながら、米軍機を差し止めないことに「容認しがたい。同じ被害があるのに判断が分かれることそのものが矛盾だ。嘉手納も普天間もこの屁理屈を突破するため全力で研究していく」と話した。
第2次普天間爆音訴訟団の島田善次団長は「米軍機の差し止めは認められなかったが、爆音は自衛隊と変わらない。本来は差し止められるべきもので、国の二重基準が浮き彫りになった」と指摘した。(引用ここまで)
沖縄タイムス社説[厚木基地騒音訴訟]米軍機こそ差し止めよ 2014年5月22日 05:30http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=70286
果たして、基地周辺の住民を苦しめている航空機の騒音被害が、これで解消される判決といえるのであろうか。
米軍と海上自衛隊が共同使用する厚木基地(神奈川県)の騒音被害をめぐり、周辺住民約7千人が国に夜間・早朝の飛行差し止めなどを求めた第4次厚木基地騒音訴訟で、横浜地裁の佐村浩之裁判長は、自衛隊機の夜間・早朝の飛行差し止めを命じる全国で初めての判決を言い渡した。
一方で米軍機への飛行差し止め請求は退けた。
損害賠償も基地騒音訴訟では過去最高となる約70億円の支払いを命じた。
判決は、住民の睡眠妨害などが「健康被害に直接結びつく相当深刻な被害」と認定するとともに、自衛隊が夜間・早朝の飛行を既に自主規制していることから自衛隊機の差し止めで「基地の公共性、公営上の必要性が大きく損なわれることはない」とした。
原告団は判決に対し「100パーセントではないが一歩踏み出した判決」と喜びの声を上げた。一定の前進ではあろう。
しかし、騒音の最大の原因である米軍機の飛行差し止めが認められなかったことで、実質的な騒音軽減策は置き去りにされた。判決でも触れているように「午後10時から午前6時までの時間帯の騒音は大半が米軍機によると認められる」としているからだ。つまり、自衛隊機の差し止めによっても、夜間・早朝の騒音は何ら変わらないということである。
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厚木基地は、横須賀に配備されている原子力空母ジョージ・ワシントンの艦載機部隊と海上自衛隊の哨戒機などが駐留する。米軍機の夜間離着陸訓練(NLP)が実施されるなど、基地がある大和市、綾瀬市などのほか広範囲にわたって騒音被害を及ぼしている。自衛隊機に比べ、はるかに住民への負担が大きい米軍機について判決は「支配の及ばない第三者の行為の差し止めを国に求めるもので、棄却を免れない」と、いわゆる「第三者行為論」によって請求を退けた。原告団はもとより米軍基地が集中する沖縄にとっても、納得できるものではない。判決によって、あらためて司法が判断を避ける米軍の“不可侵”性が浮かび上がった。
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県内では夜間・早朝の飛行差し止めなどを求め、嘉手納で第3次、普天間で第2次の訴訟が、周辺住民らが原告となって進められている。これまでの判決では過去の被害に対する損害賠償のみを認めている。肝心の米軍機の飛行差し止めなどは、「第三者行為論」によって退けられている。だがこれは、最高法規の憲法よりも、日米安保体制を上位に置く思考停止した論理である。人権のとりでである司法の役割を自ら放棄した判決と言わざるを得ない。自衛隊機によって健康被害が生じれば飛行を差し止め、米軍機に対しては差し止めないというのであれば、日本は米国の「属国」というほかない。(引用ここまで)