北朝鮮のホンネと日本の憲法平和主義の関係をどう読み取るか!
ホンネ・ホンキを実現していくための懐の深さを!
日朝合意について、まともな分析と論評をしている記事を紹介しておきます。以下をご覧ください。
朝日5月30日2面 北朝鮮、本気の証し 日本、メンツに配慮 関西大・平岩俊司教授が分析
今回の合意文書のポイントは、2002年の日朝平壌宣言を前提としていることだ。拉致問題だけに特化するのではなく、終戦直後に北朝鮮に残された日本人遺骨問題などにも触れ、日朝の懸案にトータルで取り組み、それと引き換えに制裁を解除するという論理構成になっている。
これで北朝鮮は、日本側に一方的に屈したのではなく、あくまで国益のために合意したという建前をとることができる。金正恩第一書記のメンツを潰さぬよう、日本側がぎりぎりのところで配慮した形跡がうかがえる内容だ。
北朝鮮は昨年、日本や米国、韓国への挑発行為を繰り返してきた。しかし、今年初めごろから対話路線に転じた。2月の米韓軍事演習への「対抗措置」も非常に抑制的だったし、韓国で発見された小型無人機の問題でも、南北の共同調査を求めている。日韓との対話を突破口に、米朝関係の改善を目指す思惑があるのは明白だ。
日朝平壌宣言にサインしたのは故金正日総書記だ。正恩氏にとっては、宣言を履行していく父の遺訓を果たせば、権威誇示につながるというメリットもある。今回の文書は、北朝鮮が拉致問題に本気で取り組もうとしている証しと捉えていいだろう。日本政府も本気になる必要がある。北朝鮮が約束を果たした時には、国交回復を含めた良好な関係を構築する「覚悟」を持ち、調査の推移をしっかりと見極めるべきだ。(聞き手・鬼原民幸)(引用ここまで)
安倍政権のホンネに日本国憲法の原則を当てはめるとどうなるか!
北の再調査 実効性確保が課題 5月30日 4時30http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140530/k10014841651000.html
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日本と北朝鮮の政府間協議で、北朝鮮側が拉致被害者を含む日本人行方不明者の全面的な調査を行うと約束したことを受けて、日本側は再調査が開始された時点で制裁措置の一部を解除することを決めました。
安倍総理大臣は「拉致問題の全面解決に向けて第一歩となることを期待する」と評価しており、拉致被害者などの帰国につながるような北朝鮮側の調査の実効性を確保できるかどうかが課題となります。
今月26日から3日間、スウェーデンで行われた日本と北朝鮮の政府間協議で、北朝鮮側は、拉致被害者や行方不明者を含む、すべての日本人に関する調査を全面的に実施することを約束しました。これを受けて日本側は、安倍総理大臣と関係閣僚が協議し、北朝鮮側が「特別調査委員会」を立ち上げ再調査を開始する時点で、人的往来の規制措置や人道目的の北朝鮮籍の船舶の日本への入港禁止措置など、日本が独自に行っている制裁措置の一部を解除することを決めました。
これについて、安倍総理大臣は「拉致問題の全面解決に向けて第一歩となることを期待している」と述べ、政府・与党内では、拉致問題の解決に向けた一定の前進だと受け止める声が広がっています。
ただ、拉致問題の調査を巡っては、2008年8月に行われた日朝協議で、今回と同様に北朝鮮側が拉致被害者などの再調査に応じ、調査が行われれば日本側が制裁措置の一部を解除することで合意しましたが、そのあと北朝鮮側が一方的に取りやめを通告してきた経緯があります。
日本政府は政府間の協議などを通じて、北朝鮮が設置する「特別調査委員会」の構成や具体的な調査手法などを見極めたうえで、制裁措置の解除を判断することにしており、拉致被害者などの帰国につながるような北朝鮮側の調査の実効性を確保できるかどうかが課題となります。
米「日本から事前に通告」
日本と北朝鮮の政府間協議での合意について、アメリカ国務省のサキ報道官は29日の記者会見で「日本側から事前に連絡があった。引き続き連絡を取っていく」と述べ、政府の公式発表の前に外交ルートを通じて連絡があったことを明らかにしました。
一方、日本が一方的に制裁を緩和した場合、北朝鮮への圧力を強めているアメリカなどとの間で足並みが乱れるのではないかという質問に対しては、「制裁の一部解除について議論していくという連絡は受けている」と述べ、合意に対する評価は示さず、アメリカ政府として事態の推移を注視していく考えを示しました。
専門家「新たな被害者明らかになるか」
北朝鮮情勢に詳しい関西学院大学の平岩俊司教授はNHKとのインタビューで、北朝鮮が拉致被害者の再調査を行うことを決めたことで、日本政府が認定していない新たな被害者の情報が明らかになる可能性があるという見方を示しました。平岩教授は、北朝鮮が拉致問題などで包括的、全面的調査を行うと約束したことが持つ意味について、「これまでの発表も含めてすべて白紙にして調査をし直すということだ」と述べ、日本側の疑問点に答える調査を行う構えだとして一定の評価をしました。そのうえで、「日本政府が認定している12人の被害者以外についても調査に応じたと言ってよい。これまで政府が認定してこなかった被害者も含めて、生存者がいる可能性がある」と述べ、生存者を含めて、日本政府が認定していない新たな被害者の情報が明らかになる可能性があるという見方を示しました。一方、平岩教授は、拉致被害者の再調査と日本独自の制裁が一部解除された場合、関係国に与える影響について、「拉致問題を軸に日朝関係が進んでいくことに対して、アメリカや韓国の立場からすれば、多少、懸念が出てもおかしくない」と述べました。そして、「日本側からすれば、核やミサイルの問題についても北朝鮮の姿勢が変化するよう働きかけることが重要だ」として、拉致に加えて、核やミサイルの問題についても前向きな姿勢を引き出すことが必要だと指摘しました。(引用ここまで)
情報まるごと 2014年5月30日放送 14:05 - 14:55 NHK総合
(オープニング)司会者によるオープニングの挨拶と今日のラインナップを紹介。http://datazoo.jp/w/%E5%B9%B3%E5%B2%A9%E4%BF%8A%E5%8F%B8/18979690
他にもこんな番組で紹介されています…
NHK総合NHKニュース おはよう日本(ニュース)2014年5月30日放送 5:00 - 6:30
スウェーデンで行われた日朝政府間協議で北朝鮮が拉致被害者を含む日本人行方不明者の全面的調査を行うと約束し、日本側は再調査が開始された時点で制裁措置の一部を解除することで合意した。安倍首相は解決への第一歩となることを期待すると評価しており、調査の実効性確保が課題となる。拉致被害者の家族は、確実にこの展開をリードしてもらいたいなどと話した。北朝鮮情勢に詳しい専門家は新たな被害者の情報が明らかになる可能性があると示した。
テレビ朝日グッド!モーニング朝刊チェック2014年5月30日放送 4:55 - 8:00
関西学院大学・平岩俊司教授は今回の合意文書のポイントは2002年の日朝平壌宣言を前提としている事だという。この宣言にサインしたのは故金正日総書記。正恩氏にとっては、宣言を履行して父の遺訓を果たせば権威の誇示につながるというメリットもある。今回の文書は、北朝鮮が拉致問題に本気で取り組もうとしている証しと捉えていいだろう、と分析している。
コリア・レポートの辺真一編集長(67)は、「今回の協議で北朝鮮側は、拉致被害者を監督する国家安全保衛部のメンバーが同席しており、再調査への姿勢は本気だとみていい。ゼロ回答ではなく、何人かの生存者を出してくる可能性が高い。」としている。(朝日新聞/産経新聞)(引用ここまで)(引用ここまで)
どうでしょうか。平岩氏の分析では、巷間言われている北朝鮮の経済的困窮は、かつてのほどではないということです。この間の辺氏の北朝鮮敵視観にもとづく「脅威」煽動には辟易します。しかも、この御仁の推測は、悉く外れているにもかかわらず、テレビに出続けているのです。テレビ局は、辺氏の発言を一度も検証していません。北朝鮮政府の指導部の発言と辺氏の発言を検証してみれば、辺氏が、如何にウソとデタラメを撒き散らしているか、判ります。この御仁の脅威扇動家としての役割は、自民党政権の延命に一役も二役もかっているということを強調しておきます。
そこで、再度、今回の合意のキーワードについて検証しておきます。
日朝合意の三つのキーワードを強調しているのはどこもない!
三つのキーワードこそ拉致問題も戦争責任も平和の枠組みも解決できる!
まず第一に日朝平壌宣言です。以下ご覧ください。
両首脳は、日朝間の不幸な過去を清算し、懸案事項を解決し、実りある政治、経済、文化的関係を樹立することが、双方の基本利益に合致するとともに、地域の平和と安定に大きく寄与するものとなるとの共通の認識を確認した。
1.双方は、この宣言に示された精神及び基本原則に従い、国交正常化を早期に実現させるため、あらゆる努力を傾注することとし、そのために2002年10月中に日朝国交正常化交渉を再開することとした。
双方は、相互の信頼関係に基づき、国交正常化の実現に至る過程においても、日朝間に存在する諸問題に誠意をもって取り組む強い決意を表明した。
2.日本側は、過去の植民地支配によって、朝鮮の人々に多大の損害と苦痛を与えたという歴史の事実を謙虚に受け止め、痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明した。
双方は、日本側が朝鮮民主主義人民共和国側に対して、国交正常化の後、双方が適切と考える期間にわたり、無償資金協力、低金利の長期借款供与及び国際機関を通じた人道主義的支援等の経済協力を実施し、また、民間経済活動を支援する見地から国際協力銀行等による融資、信用供与等が実施されることが、この宣言の精神に合致するとの基本認識の下、国交正常化交渉において、経済協力の具体的な規模と内容を誠実に協議することとした。
双方は、国交正常化を実現するにあたっては、1945年8月15日以前に生じた事由に基づく両国及びその国民のすべての財産及び請求権を相互に放棄するとの基本原則に従い、国交正常化交渉においてこれを具体的に協議することとした。
双方は、在日朝鮮人の地位に関する問題及び文化財の問題については、国交正常化交渉において誠実に協議することとした。
3.双方は、国際法を遵守し、互いの安全を脅かす行動をとらないことを確認した。また、日本国民の生命と安全にかかわる懸案問題については、朝鮮民主主義人民共和国側は、日朝が不正常な関係にある中で生じたこのような遺憾な問題が今後再び生じることがないよう適切な措置をとることを確認した。
4.双方は、北東アジア地域の平和と安定を維持、強化するため、互いに協力していくことを確認した。
双方は、この地域の関係各国の間に、相互の信頼に基づく協力関係が構築されることの重要性を確認するとともに、この地域の関係国間の関係が正常化されるにつれ、地域の信頼醸成を図るための枠組みを整備していくことが重要であるとの認識を一にした。
双方は、朝鮮半島の核問題の包括的な解決のため、関連するすべての国際的合意を遵守することを確認した。また、双方は、核問題及びミサイル問題を含む安全保障上の諸問題に関し、関係諸国間の対話を促進し、問題解決を図ることの必要性を確認した。
朝鮮民主主義人民共和国側は、この宣言の精神に従い、ミサイル発射のモラトリアムを2003年以降も更に延長していく意向を表明した。(引用ここまで)
第二には、人道主義、ヒューマニズムを適用したということです。この思想にもとづいて、国際社会は国際人道法 を構築し、国家間の平和な関係を実現していこうということしてきましたが、今回の合意文書は、この思想をみることができるのです。両国にとって、この思想と方法を使うかどうか、国際社会は注視しているのです。
第三には、日本国憲法の国際平和主義、とりわけ憲法九条の紛争の解決のためには非軍事的手段を使うという考えにもとづいて合意がなされたということです。
この三つの考えに基づいて調印された今回の合意文書は、これまでの如何なる否定的な事項があったとしても、そのことを糧・教訓に、新しい日朝関係を構築していくことを双方に義務付けたということです。
過去の侵略戦争と植民地支配の教訓を本当のものにするために!
具体的には、「宣言に示された精神及び基本原則に従い、国交正常化を早期に実現させる」ことを最大獲得目標を掲げたことです。そして「国交正常化の実現に至る過程においても、日朝間に存在する諸問題に誠意をもって取り組む」ことを約束しているのです。
そのなかで、「過去の植民地支配によって、朝鮮の人々に多大の損害と苦痛を与えたという歴史の事実を謙虚に受け止め、痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを」具体化していくために、日本政府が何をやるべきか、そのことを忘れることはできないということです。しかし、今回の合意において、このことの「分析」はほとんどなされていないのです。ここに大きなスリカエがあります。
この「歴史の事実」、「植民地支配」のなかに日本が行った「拉致」問題が含まれていることを日本国民は忘れてはなりません。慰安婦問題、強制連行問題そのものです。いわゆる「武断政治」と「文化政治」と言われている植民地政策の実態について、日本政府は、北朝鮮政府に要求することと同じ目線にたたなければなりません。河野談話の見直しや村山談話の見直しなど、歴史認識問題の解明は避けて通ることはできない問題です。今閣僚をはじめとして識者やマスコミが盛んに強調している北朝鮮不信感は、そのまま日本国政府にも当てはめられることです。
以上のような視点にたって、発言が、そして記事が書かれてないことに可笑しさを感じると同時に怒りがこみ上げてきます。自分の蛮行は棚にあげて他人の蛮行を批判非難している日本!全くの不道徳の象徴・典型です!こうした思想状況が、国民に与える思想的・思潮は計り知れないものがあると思います。日常的に報道され、マンネリ化している国民生活の中に繰り返されている犯罪の手口と証言、そしてそれを批判・非難する解説の言葉の中に潜む、こうした日本国民の無反省と不道徳が、実は日本国民を汚染しているように思います。
憲法九条の非軍事的手段を使ってこそ!
次の問題は、「国際法を遵守し、互いの安全を脅かす行動をとらないことを確認」したということです。「軍事的抑止力」論は取らないということです。北朝鮮は先軍政治にもとづく、いあゆる挑発的言動、核ミサイルの脅しは放棄するということです。同時に日本は、日米軍事同盟の「軍事的抑止力」論と「核抑止力」論を放棄するということです。
更に「日本国民の生命と安全にかかわる懸案問題」、すなわち拉致問題について、被害者の帰国を実現するということです。
そして最後に、「北東アジア地域の平和と安定を維持、強化するため、地域の関係国間の関係が正常化されるにつれ、地域の信頼醸成を図るための枠組みを整備していくこと」、そのために、日本・韓国・北朝鮮・中国・ロシア・アメリカの、6カ国の協議が求められているのです。その基本は、最初に述べた思想と国際法です。北朝鮮の「脅威」を強調する側は、自分の「脅威」、北朝鮮の側の「脅威」についても、同等の視点で反省し、「脅威」の除去のために使われている「軍事的抑止力」論の「放棄」を行わなければなりません。人の振り視て我が振り直せ!です。
ちゃぶ台返しは歴史に対する裏切りと冒涜!
以上の平壌宣言の内容を具体化するために再確認された今回の「日朝合意」を、両国は、如何なる経過と理由があろうとも、これまでの否定的側面を持ち出すことで、ちゃぶ台返しすることなく、粘り強く交渉することで、平壌宣言の合意に一歩でも二歩でも近づけるべきです。このことこそが、両国国民の幸福追求の権利を保障するものであることを自覚しなければなりません。
とりわけ、安倍首相は、この路線を具体化することで、自身が強調してきた北朝鮮の「脅威」の除去のために全力を傾けるべきです。このことこそが「積極的平和主義」の具体化であることを自覚すべきです。
日本国民は、安倍首相の集団的自衛権行使論の容認から憲法改悪などの理由・根拠である北朝鮮の「脅威」を消滅させる安倍首相をあらゆる面から応援していくべきです。今回の合意を積極的に履行させていくために、マスコミの振りまくスリカエ・デタラメ・大ウソ・トリックを批判し、安倍首相を激励していくべきです。こうしてこそ、拉致被害者の痛苦の歴史が終止符を打たれることになるのだと言うことに確信をもつべきです。そして、このことこそが、憲法を活かしていくことになるということを確認していくべきです。
歴史認識と非軍事的抑止力論行使と経済的繁栄と幸福追求権は一体!
繰り返して強調します。今回の合意によって何としても拉致被害者の帰国を実現すること、そのことをとおして「過去の植民地支配によって、朝鮮の人々に多大の損害と苦痛を与えたという歴史の事実を謙虚に受け止め、痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを」具体化していくこと、そのことを通して「軍事的抑止力」論を放棄していくことです。こうした営みのなかで、北東アジアの、非暴力・非軍事・非核・対等平等の人間・経済・文化の関係を構築し、平和の枠組み、平和共同体の構築を実現していくべきです。