真偽不明のウワサ話に基づくパククネ大統領事批判を展開した産経を批判しない地方紙の本質は?
第六弾です。今日掲載された地方紙の社説を検証してみました。ここでも視点は同じです。韓国政府の在宅起訴は許しがたい暴挙として捉えなければなりません。しかし、同時に、「うわさ」「真偽の確かめようがない情報」に基づく記事が、日本向けと言え、このネット社会において、その境界線がなくなっている状況下において、書かれたまま、謝罪も訂正もされず、自らを正当化する産経に、果たして「非」はないのでしょうか。勿論、在宅起訴という措置が言論の自由を侵害するものであることは明らかです。しかし、産経の側にも問題があることは、また当然です。何故、その問題点を検証しないのでしょうか。以下各紙の、問題になるであろう部分を抜き出してみました。ご覧ください。
北海道新聞
「旅客船セウォル号が沈没した4月16日、朴氏が男性と密会していたのではないかとのうわさを朝鮮日報などから引用して伝え、政権のレームダック(死に体)化が進んでいるなどと指摘した」記事が「辛口の批判」なのか、どうか、北海道寸分は検証しているのか!(引用ここまで)
信濃毎日
「記事はうわさ話を基に構成されている。真偽の確かめようがない情報を『産経』の名を冠したサイトに載せたのは、軽率だったと言われても仕方ない」というが、「軽率」で済ますのか!「韓国の大統領は直接投票で選ばれる。国家と国民を代表する元首である。記事にするときは、たとえ批判的に取り上げる場合でも節度があってしかるべきだ。記事にはその点でも疑問が残る」というのであれば、まず、産経に謝罪を要求すべきではないのか。そして、記事の訂正ないし撤回を求めるべきではないのか、しかし、「以上を割り引いても、今度の起訴には問題が多い。外国メディアが国外のサイトに載せた記事に対し国内法を適用して罪を問うのは無理がある。権力の乱用だ」と、「マスコミと民主主義」の関係を一般論として論じてしまうのです。
こうした論じ方で良いのかどうかです。朝日新聞の訂正に対して、他の新聞はどのように報道したか、とりわけ産経波動のようにしたか、検証すべきです。(引用ここまで)
神戸新聞
「問題の記事は8月3日に同紙サイトに掲載された。旅客船セウォル号沈没事故が起きた日の朴氏の動向について、所在が確認されていない時間帯に男性と会っていたのでは、とのうわさを交えて論評」することが許されるならば、何でもアリにならないだろうか。(引用ここまで)
北國新聞
「政府は起訴前からさまざまなチャンネルを通じ、韓国側に『強い関心』を伝えていた」ということであれば、産経の記事の信ぴょう性、下品さ、パククネ大統領の人格を貶めるようなない内容にもかかわらず、産経は謝罪もしないし、撤回・訂正もしていないことを、日本政府も北國新聞も問題ナシと認めることになります。このようなことでは、「日韓の溝がさらに深まるのは避けられそうもないというのは事実でしょう。
その責任は、いったいどっちにあるか!今回の問題の奥深いところに、植民地支配に対する認識が鋭く問われていることは、「李明博・前大統領の竹島上陸に始まり、天皇陛下への謝罪要求、世界各地での慰安婦像建立活動、日本海の「東海」表記運動など、一連の「反日」的行為は目に余る」という指摘に象徴的です。
さらに「日本と韓国は近くて遠い関係といわれる。同じ民主主義国家であり、価値観を共有しているはずの両国が理解し合えないのは不幸なことだ。日韓両国は本当に同じ価値観を有しているのか、日本国民は疑念を持ち始めている」という指摘に、日本目線の傲慢さが浮き彫りになります。
佐賀新聞
更に言えば、「今回の措置は韓国社会の未成熟さを露呈したもので、国際的な批判は必至だろう」という言葉そのものが思い上がり、韓国社会を見下す最悪最低の視点であると言わなければなりません。まず自分の、日本の足元をよく見て観ろ!ということです。日本には、「他人(人)の振り見て我が振り直せ」という諺があります。こうした不道徳がまかり通ること、いや、こうした新聞論調が、国民にどのような影響を与えているか、新聞はよくよく反省すべきです。
同じ民主主義国家であり、価値観を共有しているはずであるが、その前提は、産経特有のスリカエではないか!
最高権力者の当日の動静を伝えることには公共性があるだろうが、それは「事実」が「真実」であることを前提にしている!
メディアが政治家の発言や行動、人格など全てにわたりチェックしていくのも有権者の判断に役立つが、うわさ話で良いか!
公平な選挙と自由な議論は社会の基盤である基に構成されているのは当然だが、それは「真実報道」を土台にしているのだ!
真偽の確かめようがない情報を「産経」の名を冠したサイトに掲載することは問題ナシと言えるか!
密会していたのではないかとのうわさを朝鮮日報などから引用して伝えることは妥当か!
「証券街の関係筋」の情報として、「大統領と男性の関係に関するもの」との表現で男女関係に言及するのは妥当か!
男性に会っていたとのうわさを、韓国で最大部数を誇る「朝鮮日報」のコラムを基に報じるのは妥当か!
以上の「情報」に基づいて政権のレームダック(死に体)化が進んでいるなどと指摘することは妥当か!
北海道新聞 産経記者起訴/言論の自由脅かす行為 2014/10/10 10:00 http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/567798.html
これでは言論の自由を認めないと言っているに等しい。韓国のソウル中央地検は産経新聞の加藤達也前ソウル支局長(48)を情報通信網法上の名誉毀損(きそん)罪で在宅起訴した。加藤氏が産経新聞ウェブサイトに掲載した朴槿恵(パククネ)大統領の動静に関するコラムが大統領の名誉を傷つけたという理由だ。報道の自由を保障しているはずの韓国で、外国メディアの記者が報道をめぐり刑事責任を問われるのは極めて異例だ。加藤氏は容疑事実を否認している。朴政権の意向が強く働いているようだ。これでは三権分立が機能しているとはとても言えない。国内外から批判が出ており、民主主義国家である韓国のイメージダウンは避けられない。報道の自由は、国民の知る権利を守るうえで欠かせない。在宅起訴の撤回を求めたい。
コラムの掲載は8月上旬だ。旅客船セウォル号が沈没した4月16日、朴氏が男性と密会していたのではないかとのうわさを朝鮮日報などから引用して伝え、政権のレームダック(死に体)化が進んでいるなどと指摘した。市民団体の告発を受けた地検は加藤氏を3度にわたり聴取した。同氏には東京本社への異動が発令されたが、出国禁止状態が続いている。沈没事故は修学旅行の高校生ら多くの犠牲者を出した。最高権力者の当日の動静を伝えることには公共性があるだろう。産経新聞の報道は朴政権に批判的だ。だからといって在宅起訴するなら、言論の統制である。
日本新聞協会は捜査段階で「報道の自由が脅かされる」と談話を発表した。韓国メディアも今回の司法手続きに疑問を呈している。
「被害者」の朴氏は起訴を拒否できる立場だったが、事実上容認した。言論には言論で反論できたはずなのに残念だ。韓国が民主化運動の末、言論の自由を勝ち得たことを思い出してほしい。検察が朴政権の意向を反映したのも韓国大統領は国家元首として絶大な権力を握るからだ。だからこそ一層の自重が求められる。日韓両国は11月の首脳会談実現に向け調整を進めている。辛口の批判でも報道の自由は民主主義国家共通の原則だ。韓国政府はぜひ理解してもらいたい。日本政府は韓国側に事態を深く憂慮すると伝えた。だが、今回の件をもって関係改善の動きに水を差すことがあってはならない。(引用ここまで)
信濃毎日 支局長起訴/韓国政治の信用損なう 2014/10/10 10:05 http://www.shinmai.co.jp/news/20141010/KT141009ETI090002000.php
韓国の検察当局が産経新聞の前ソウル支局長を在宅起訴した。同紙のウェブサイトに載せた記事により、朴槿恵大統領の名誉を傷つけた罪である。
メディアによる政治家の言動のチェックは、民主政治の健全な運営に欠かせない。前支局長が処罰される展開になれば、韓国は「報道の自由を制約する国」との評価を受けるだろう。国の信用を守るためにも、当局は起訴を取り下げるべきだ。
問題とされているのは、サイトに8月3日付で掲載した「朴槿恵大統領が旅客船沈没当日、行方不明に…誰と会っていた?」と題する記事。旅客船セウォル号が沈没した4月16日に7時間にわたり、大統領の所在が不明だったとされていることを取り上げた。国会での議論や韓国紙コラムの紹介に加え、「証券街の関係筋」の情報として、「大統領と男性の関係に関するもの」との表現で男女関係に言及している。この記事に対し韓国の市民団体が名誉毀損(きそん)の疑いで告発。検察当局が支局長を出国禁止にして事情聴取を続けてきた。記事はうわさ話を基に構成されている。真偽の確かめようがない情報を「産経」の名を冠したサイトに載せたのは、軽率だったと言われても仕方ない。
韓国の大統領は直接投票で選ばれる。国家と国民を代表する元首である。記事にするときは、たとえ批判的に取り上げる場合でも節度があってしかるべきだ。記事にはその点でも疑問が残る。以上を割り引いても、今度の起訴には問題が多い。外国メディアが国外のサイトに載せた記事に対し国内法を適用して罪を問うのは無理がある。権力の乱用だ。
日本新聞協会、日本ペンクラブ、パリに本部を置く国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」など、世界のジャーナリスト団体から「懸念」や「憂慮」の声が出るのは当然である。
韓国では1980年代まで、クーデターで実権を握った軍人出身の政権が続いた。民主化運動は弾圧され、メディアの報道も当局の制約の下に置かれた。その後、直接大統領制を導入した民主化宣言(87年)、民主化運動リーダー金大中氏の大統領就任(98年)などを通じ、政治の改革とイメージ転換を着実に進めて今日に至っている。今度の訴追は韓国政治に強権的な体質が根強く残っていることをあらためて世界に印象づけている。残念なことだ。(引用ここまで)
北國新聞 産経前支局長起訴/民主国家の信用を損なう 2014/10/10 4:05 http://www.hokkoku.co.jp/_syasetu/syasetu.htm
産経新聞の前ソウル支局長が書いた朴槿恵韓国大統領に関する記事をめぐり、ソウル中 央地検が情報通信網法違反の名誉毀損で前支局長を在宅起訴したのは、表現の自由、報道の自由を脅かし、民主主義国家の信用を損なう行為と言わざるを得ない。菅義偉官房長官が「極めて遺憾で、国際常識とは大きくかけ離れている」と批判したのもうなずける。
記事は、旅客船「セウォル号」の沈没事故が起きた4月16日、朴大統領の所在が7時 間にわたって確認できなくなり、その間に男性に会っていたとのうわさを、韓国で最大部数を誇る「朝鮮日報」のコラムを基に報じたものである。記事の元になった韓国紙は不問に付し、記事を引用した外国メディアの責任を追及するのは理解に苦しむ。国際社会は、国家指導者を批判したメディア、人物を恣意(しい)的に罰する国と見なすだろう。
朴政権は旅客船沈没事故に絡む報道で政権を批判した国内メディアに対しても、名誉毀 損による損害賠償請求訴訟を既に4件起こしている。前支局長の起訴と同様、高圧的な姿勢は報道機関の正当な取材活動を萎縮させ、表現および報道の自由を阻害しかねない。また、日本の新聞が日本向けに日本語で報じた記事に、韓国の国内法を適用することに も違和感がある。前支局長を長期間にわたって出国禁止とし、軟禁状態に置くことにも人権上の問題が指摘されている。
日本と韓国は近くて遠い関係といわれる。同じ民主主義国家であり、価値観を共有しているはずの両国が理解し合えないのは不幸なことだ。李明博・前大統領の竹島上陸に始まり、天皇陛下への謝罪要求、世界各地での慰安婦像建立活動、日本海の「東海」表記運動など、一連の「反日」的行為は目に余る。日韓両国は本当に同じ価値観を有しているのか、日本国民は疑念を持ち始めている。
政府は起訴前からさまざまなチャンネルを通じ、韓国側に「強い関心」を伝えていたにもかかわらず、検察当局は無理筋の起訴に踏み切った。日韓の溝がさらに深まるのは避けられそうもない。(引用ここまで)
神戸新聞 前支局長起訴/傷ついた韓国の民主主義 2014/10/10 6:05 http://www.kobe-np.co.jp/column/shasetsu/201410/0007405480.shtml
韓国の朴槿恵(パククネ)大統領の動静に関する記事が朴氏の名誉を傷つけたとして、韓国検察当局はおととい、産経新聞の前ソウル支局長を情報通信網法違反の罪で在宅起訴した。
海外メディアを対象に、政府に批判的な報道を名誉毀損(きそん)で刑事責任を問うのは、きわめて異例である。
発端は市民団体の告発だったが、当初から大統領府の反発は激しかった。その意向が検察の判断に反映しているとみるのが自然だろう。
政権批判を処罰で抑え込めば言論の自由は損なわれ、もの言えぬ社会に陥る。韓国の民主主義に疑問符がつく決定と言わざるを得ない。
問題の記事は8月3日に同紙サイトに掲載された。旅客船セウォル号沈没事故が起きた日の朴氏の動向について、所在が確認されていない時間帯に男性と会っていたのでは、とのうわさを交えて論評している。
韓国国会での議論や大手紙コラムなどを引用した内容はスキャンダラスな部分を含んでおり、「国家元首への冒涜(ぼうとく)」との怒りを招いた。とはいえ、大統領は公人の最たるものである。あの大事故で国のトップがどう動いたかは、危機管理の要だ。風聞を基にした意に沿わない記事であっても、公権力で断罪しようという姿勢は国際社会の常識からかけ離れ、許されるものではない。
かつての軍事政権下では、体制を引き締めるため、権力を批判する者を罰する「国家冒涜罪」が国民を縛った。その後の民主化で同罪は廃止されたが、名誉毀損罪に名を変えて復活したとの指摘もある。すでに朴政権は、セウォル号沈没事故に絡む報道などで政権に批判的なメディアに対し、厳しい対応を見せている。重苦しい時代を越えてきた経緯を思うとき、流れを元に戻すような強硬姿勢は気になる。もっとも、今回の在宅起訴に韓国内の評価が一様でないことは留意しておきたい。リベラル系の新聞は「時代に逆行」との弁護士コメントを掲載。別の中立的な新聞は、記事の引用元を検察が捜査しなかった点を、公平性の面から問題視した。日本政府や与党内からは、改善の機運が生まれている日韓関係への悪影響を心配する声が出ている。言うべきことはしっかり言わねばならないが、まずは朴政権が各方面からの懸念や憂慮にどう応えるか、そこを見守ることから始めたい。(引用ここまで)
佐賀新聞 産経前支局長の起訴 2014/10/10 6:07 http://www.saga-s.co.jp/column/ronsetsu/113234
韓国検察が朴槿恵(パククネ)大統領に関する記事をめぐり、産経新聞の前ソウル支局長を名誉毀損(きそん)罪で在宅起訴した。政治家への論評は正当な報道の範囲であり、表現の自由は民主主義の基盤といえる。韓国政府の措置は国際的な信用を失墜させ、日韓関係にひびを入れることにもなる。
記事は旅客船セウォル号が沈没した4月16日、大統領の所在が7時間にわたり確認されなかった問題を取り上げたもの。韓国国会のやりとりや韓国紙のコラムを引用し、朴氏が男性と会っていたうわさがあることを指摘している。
日本の読者へ向けてウェブサイトに発表されたが、韓国の保守団体が名誉毀損で告発、事実上、大統領府の意向に沿った捜査が行われてきた。韓国では政府に批判的な報道をけん制する動きは珍しくないが、海外メディアにまで対象を広げたのは異例だろう。
セウォル号沈没事故では、救助活動のずさんさが問題になった。大統領は浸水が始まった1時間後から随時報告を受けて指示を出していたというものの、最初の報告から約7時間後も正確な状況を理解していなかった可能性が指摘されている。救出が遅れた理由や政府の対応を究明する上で、トップの当日の行動に関心が集まるのは当然である。産経は起訴について社長声明を出し、「大統領を誹謗(ひぼう)中傷する意図は全くなく、公人である大統領に対する論評として報道の自由、表現の自由の範囲内だ」としている。
民主主義国家では有権者が投票で代表を選び、国のかじ取りを付託する。メディアが政治家の発言や行動、人格など全てにわたりチェックしていくのも有権者の判断に役立つ。公平な選挙と自由な議論は社会の基盤である。韓国は南北分断の下で軍事独裁が続いた。その時代は「国家冒?(ぼうとく)罪」によって権力者への批判が封じられていたが、1987年の民主化で廃止された。改正憲法には大統領の直接選挙や言論の自由がうたわれたが、今はそれと逆行するかのようだ。
朴政権は沈没事故にからみ批判的なメディアに対して名誉毀損による損害賠償請求訴訟を起こし、大統領側近や情報機関が名誉毀損罪で記者や弁護士を訴える動きが常態化している。国家冒?罪が名誉毀損罪に姿を変えたのと同じ格好である。
こうした法の運用は国際的に懸念を呼んでいる。民主主義を掲げている以上、国内、海外メディアを問わず言論を封じようという動きは許されない。また、日本の報道機関が日本の読者に向けて発信した記事を、韓国の法律で処罰することも疑問だ。記事を書いた前支局長は1日付で東京本社に異動したが、法相が出国禁止措置を取り続けているため帰国できずにいる。記者の行動を恣意(しい)的な行政措置で制限したのも不当である。今回の措置は韓国社会の未成熟さを露呈したもので、国際的な批判は必至だろう。引用されたコラムを書いた韓国紙記者は捜査対象になっておらず、意図的な摘発とみられる。大統領が名誉毀損罪の被害者になり得るのかは法曹界で見解が分かれているという。韓国内の健全な世論を期待したい。(宇都宮忠)(引用ここまで)