今大切なことは「政権選択」とそのための「政権公約」づくり!
そのための政権構想の提案だ!それは国民とともにやるべきだ!
北東アジア平和協力構想を政権構想の、政権選択の政権公約として位置付けていないことを検証しました。何故政権構想として提案していないのか、今度は、このことを別の角度から検証してみることにします。それは、以下の、革新懇における講演の内容と、この「構想」を発表した第26回党大会決議、そして共産党の綱領を比較検討してみると、いっそう浮き彫りになってきます。
政策・提案が国民にどのように受け止められたか、検証すべき!
この革新懇の講演が行われたのは、2012年5月12日です。この「提案」内容が、総選挙で、更には参議院選挙で、争点にならなかったのは何故でしょうか?共産党は、時々の「提案」を何のためにしているのでしょうか!政権をとるための道筋を一つ一つ駆け上っていっているはずですが、そうした視点で捉えているでしょうか?
そのような疑問が沸いてくるのは、共産党が発表した政策が、一度も検証されていないのではないか、と思うからです。普通に考えれば、政党が政策を提案するのは、国民の要求があるからです。そして、その要求を実現するために政策をつくり発表し、運動を展開する。特に選挙では、この政策を使って支持を獲得するのです。その場合、その政策がどうだったか、実現した場合と実現しなかった場合、選挙で言えば、どれだけの支持が広がって、国民の支持が「票」となっていたか、そのことを総括するはずです。
しかも、その政策を訴える側の運動力についても、その政策についての理解度がカギであることは、明らかです。良い政策は、共産党員とその支持者は、国民に向かって、それこそ熱狂的に火の玉になって支持を訴えることでしょう。政策というのものはそういうものです。民主党の「コンクリートから人間へ」「政権交代選挙」「政権選択選挙」などという言葉が、国民の心をとらえたからこそ、あの熱狂が創出され「政権交代」が実現したのです。
では、この講演内容にもとづいてつくられた選挙政策が争点にならず、或はマスコミによってスリカエられ、選挙が推移していったのは、何故でしょうか?総選挙は「自力不足」として、参議院選挙は「実力以上」の結果が出た、と総括しましたが、共産党本部が提案した「政策」が共産党員やその支持者、そして国民に響いていたかどうか、或は「届いていたかどうか」、そのことの具体的な検証がなされていないのが、実態ではないでしょうか?
政権選択の政権公約ならば、国民的関心が寄せられるのは当然だ!
そのような状態があるのは何故か!です。その最大の要因は、政権をとることが政党の使命であるにもかかわらず、「政権選択」を迫るための「政権公約」を提案していないことからくる「野党」論に屈している、甘んじているからです。常に政権とのつばぜり合いの中で緊張感をもって政策を提案し、国民にどっちの政権をとるのか、迫っていないから、政策を出しても出しっぱなしなのです。「どうせ実現できない、ムリ」という考えと感情が腹の中に沈殿しているのです。そうした腹の中があるからこそ、「政権構想」を「政権選択」の「政権公約」として位置付けたものが提唱できないのです。そのことは、共産党の政策を貫く思想になっているのではないでしょうか。以下検証してみます。
まず、この「北東アジア平和協力構想」が提唱される前の問題提起の主張は、以下のとおりです。これも日米軍事同盟廃棄に向けた「一般的な」呼びかけです。そこで日米軍事同盟廃棄のためには、何が必要か、考えてみました。これが国民的関心になっているかどうか、です。
1.日米軍事同盟第10条を使ってアメリカ政府に通告すればできる訳ですが。
2.国会で日米軍事同盟廃棄派の国会議員が過半数以上でなければならないことを具体的に示し、どうやって多数派を獲得するか。
3.一つは選挙で多数を獲得しなければならないこと、二つは、国民的運動で、日米軍事同盟廃棄の世論を高めて、現行の議員の意識を変えていくこと、そのためにはどうするか。
4.日米軍事同盟の廃棄前のたたかいと日米軍事同盟廃棄をどう関連させるか、廃棄後の、基地依存症にかかってしまっている、基地で食っている国民をどうするか、などなどの諸「政策」についても、深化させていかないと、圧倒的多数の国民の共感は得られないだろうし、その政権は持ちこたえられないだろうと思います。しかし、そのようなことを想定した「政策」になっているか、を観ると、否です。ここに最大の問題があります。国民に飯を食わせる「本気度」が浮き彫りになるのです。
5.以上のような視点で「憲法を活かした政権構想」と「政権公約」づくりが必要不可欠ではないかということです。ところが、革新懇における「提案」は、あくまで「考えてください」という「呼びかけ」なのです。これでは、国民の支持は広がらないのではないでしょうか?
以下、「よびかけ」の全体像と関係する部分について、抜粋してみましたご覧ください。
日米安保条約をなくしたらどういう展望が開かれるか 全国革新懇総会 志位委員長の記念講演 2012年5月12日 http://www.jcp.or.jp/web_policy/2012/05/post-453.html
安保60年――「こんなアメリカいいなりの国でいいのか」の声が噴き出す
(1)沖縄米軍基地問題の矛盾は限界点を超えた
(2)安保条約と日本国憲法が、いよいよ両立しえなくなった
(3)日本の経済主権を根底から損なう危機に直面している
(4)国際政治における日本外交の地位が著しく低下し、存在感がなくなっている
国民世論の新しい変化――NHKの世論調査から
日米安保条約の是非を根本から問う国民的議論をよびかける
安保条約をなくしたらどういう展望が開けるか
第一。米軍基地の重圧から日本国民が解放される
第二。アメリカの“戦争の根拠地”から、憲法9条を生かした“平和の発信地”に
(1)軍縮への転換のイニシアチブを本格的に発揮する立場に立てる
日米安保条約を解消し、この地域の軍事的緊張の最大の根源となっている在日米軍基地を撤去してこそ、日本は、中国や東アジアの国々にたいして、「ともに軍縮の道に転じよう」と、軍拡から軍縮への転換を提起する、憲法9条を生かした平和のイニシアチブを本格的に発揮する立場に立つことができます。
(2)日本と東アジアの安全保障――軍事に頼らない“平和的安全保障”を追求する
私は、この地域の安全保障で何よりも重要なことは、こうした現実に立って、“軍事依存の安全保障”から脱却し、異なる体制、発展段階、文明を、相互に尊重する対話と信頼醸成の努力をはかり、紛争の平和的解決に徹するなど、道理に立った外交で安全保障をはかる、“平和的安全保障”を追求することにあると考えるものです。
(3)ASEANでつくられている重層的な平和と安全保障の仕組み
これらの重層的な仕組みの全体をつらぬいている考え方は、軍事的手段・軍事的抑止力に依存した安全保障という考え方から脱却し、地域のすべての国を迎え入れ、対話と信頼醸成、紛争の平和的解決など、平和的なアプローチで安全保障を追求する――“平和的安全保障”という新しい考え方であります。
(4)北東アジアに平和の地域共同体を広げる
憲法9条を生かした平和外交、軍事に頼らない“平和的安全保障”という考え方にたって、日本と東アジアの安全保障をはかろうというのが、私たちの提案であります。
(5)憲法9条を生かした平和外交によって、世界平和に貢献する
第三。日本の経済主権を確立するたしかな保障がつくられる
安保条約をなくせば、日本経済をあらゆる面でゆがめ、国民を苦しめてきた経済の面での“アメリカいいなり”を根本から断ち切ることができます。日本経済は、従属の枷(かせ)から解放されて、自主的発展の道を進むことができるでしょう。
日米友好条約の締結、非同盟諸国首脳会議への参加
アメリカとの関係も、私たちが望むのは決して対立や敵対ではありません。日米安保条約に代えて日米友好条約を結ぶというのが、私たちの提案であります。支配・従属のもとでは真の友好は決してつくれない、対等・平等の関係になってこそ日米両国、両国民の真の友好を築くことができるというのが、私たちの確信であります。 非同盟諸国首脳会議は、すでに138カ国、54億人が参加(オブザーバーを含む)し、非軍事同盟・中立、国連憲章にもとづく平和の国際秩序、核兵器の廃絶、公正で民主的な国際経済秩序をめざす巨大な潮流として発展しています。安保条約をなくした日本は、この世界史の本流と合流しようではないか、というのが私たちの提案です。それは、世界の進歩への巨大な貢献となることは疑いない、ここにこそ21世紀の日本が進むべき道はあると訴えたいのであります。
東アジアに平和的環境をつくる緊急の外交努力を
(1)軍事的対応の拡大と悪循環をきびしくしりぞける
(2)米中・日中関係――軍事力で対抗する思考から抜け出し、軍拡から軍縮に
(3)領土をめぐる紛争問題――歴史的事実と国際法にもとづく外交的解決に徹する
(4)歴史問題の解決は、東アジアに平和的環境をつくる土台
日米安保条約をなくす国民的多数派をつくろう
日米安保条約廃棄を求める国民的多数派をつくることは、民主連合政府を樹立する大きな条件を開くことにもなります。(引用ここまで)
次です。以下の文書は、この「構想」を提起した大会決議と、民主連合政府の樹立のための方向が打ち出されている文書です。この文書の最大の問題は、以下の部分です。間違いはないでしょうけれども、しかし間口が狭いと思います。運動を進めながら、「連合の相手」を見極めるというスタンスですが、これはこれで間違いではありませんが、政権をとるという視点ではありません。議席を少しでも多く取ろうという視点です。
――日本共産党は、単独政権でなく、民主連合政府という連合政権をめざしている。その場合の連合の相手はどこから出てくるか。革新懇型の共同――日本共産党と無党派の人々との共同が、いよいよ本流になってくるだろう。同時に、いま「一点共闘」をともにたたかっている人々のなかからも連合の相手が生まれてくるだろう。(引用ここまで)
これでは民主党政権を誕生させた「無党派」層とのコラボは視野に入っていません。今必要なことは「一点共闘」にすら参加できない「無関心」と言われている「貧困層」、「自助」論と「自己責任」論でガマンを強いられている「政党支持なし」層、「政治不信感保持」層、「人生厭世観保持」層などなど、政治から見放された、政治から最も遠い位置で今日のメシをどうするかと喘いでいる「無党派」層に対して、どんなメッセージを与えていくか、ではないでしょうか?
これだけ貧困化が進んでもたたかいが劇的に起こらない、国民同士が分断されてしまっている日本にあって、どうやって国民的団結と連帯を創り出していくか、そのための政策、「政権選択公約」はどうあるべきか、そのことが問われているのではないでしょうか。
「内閣打倒」を掲げているのですから、ただ打倒をすれば良いというものではないはずです。国民の貧困を、国民とともに脱していくためには、国民的たたかい、圧倒的多数の国民が選挙に参加して安倍政権を打倒する一票を投じていかなければなりません。そのような局面をどのようにつくるか、そうした視点に立つと、共産党の姿勢は、極めて不十分、問題だと言わざるを得ません。
もう一つ指摘しておきます。以下の「大会決議」は「呼びかけ」であって、これを「政権選択」の公約としては位置付けていません。ま、大会決議という性格上やむを得ないかもしれませんが、この大会そのものが政権を奪っていくのだという視点に立っていませんので仕方ありません。
軍事的手段・軍事的抑止力にもっぱら依存した安全保障という考え方から脱却し、対話と信頼醸成、紛争の平和的解決など、平和的アプローチで安全保障を追求する――「平和的安全保障」という新しい考え方に立ち、軍拡から軍縮への転換をめざし、平和の地域共同体を北東アジアでもつくりあげるために、関係諸国が対話と協力の促進に力をつくすことを呼びかける。(引用ここまで)
以下、関係する大会決議の部分を掲載しておきます。共産党が、安倍政権の「暴走をストップ」などと言っていますが、その中身が「政権交代」とリンクさせて「暴走をストップ」と言っていないことが判ります。安倍政権を温存したまま、「暴走をストップ」させることができるでしょうか?これは自民党の政権たらい回しを容認する思想と言えます。ネズミを捕らないネコと言われても仕方ありません。こうした共産党の現実が、国民にどのように映っているか、それは各種世論調査にも出ていますが、共産党自身が、国民の声を調査分析するなり、国民との対話の中から、国民の要求の把握と共産党への期待をキャッチすべきではないでしょうか?チャンスは到来しているのに、そのアンテナが錆びついているというのが、率直な見方考え方であると言っておきます。残念なことです。
日本共産党第26回大会決議 2014年1月18日
http://www.jcp.or.jp/web_jcp/html/26th-taikai/20140118-k26th-ketugi.html#_017
第3章 自民党政権の反動的暴走と対決し、新しい日本をめざす
(17)北東アジア平和協力構想を提唱する
北東アジアには、北朝鮮の核兵器問題、尖閣諸島問題などの紛争問題とともに、歴史問題をめぐる対立と相互不信が存在する。今日の情勢のもとで、北東アジアに平和的環境をつくる外交努力を追求することは緊急で重要な課題である。
東南アジアで発展している平和の地域共同体を、北東アジアでも構築しようというのが、日本共産党の提案である。
つぎのような目標と原則にたった、北東アジア平和協力構想を提唱する。
――関係諸国を律する平和のルールとして、武力の行使の放棄、紛争の平和的解決、内政不干渉、信頼醸成のための効果的な対話と協力の促進などを定める北東アジア規模の「友好協力条約」の締結をめざす。
――北朝鮮問題について、「6カ国協議」の2005年9月の「共同声明」に立ち返り、非核の朝鮮半島をつくり、核・ミサイル・拉致・過去の清算などの諸懸案の包括的解決をはかり、この枠組みを、北東アジアの平和と安定の枠組みに発展させる。
――この地域に存在する領土に関する紛争問題の解決にあたっては、歴史的事実と国際法にもとづく冷静な外交的解決に徹する。力による現状変更、武力の行使および威嚇など、紛争をエスカレートさせる行動を厳に慎み、国際法にのっとり、友好的な協議および交渉をつうじて紛争を解決する行動規範を結ぶことをめざす。
――北東アジアで友好と協力を発展させるうえで、日本が過去に行った侵略戦争と植民地支配の反省は、不可欠の土台となる。日本軍「慰安婦」問題など未解決の問題をすみやかに解決するとともに、歴史を偽造する逆流の台頭を許さない。
このような北東アジアの平和協力構想は、いま進展している国際政治の動きをみても、現実性をもっている。
韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領が、2013年5月、米国議会での演説で、「北東アジアの平和協力構想」を提起し、北東アジア全体で多国間対話のプロセスをすすめ、平和と協力のメカニズムを構築することを訴えたことは注目される。6月、中韓首脳会談でかわされた「共同声明」では、「中国側は朴大統領が提起した『北東アジア平和協力構想』を称賛し、原則的に支持する」としている。さらに、10月に開かれた、ASEANプラス3首脳会議でも、「北東アジア平和協力構想」について、参加国の首脳らはこれを歓迎している。続いて12月、インドネシアのユドヨノ大統領が、東京での講演で、武力行使の放棄と紛争の平和解決などを原則とする「インド・太平洋友好協力条約」の締結をよびかけた。
軍事的手段・軍事的抑止力にもっぱら依存した安全保障という考え方から脱却し、対話と信頼醸成、紛争の平和的解決など、平和的アプローチで安全保障を追求する――「平和的安全保障」という新しい考え方に立ち、軍拡から軍縮への転換をめざし、平和の地域共同体を北東アジアでもつくりあげるために、関係諸国が対話と協力の促進に力をつくすことを呼びかける。
(20)統一戦線の現状と展望について
前大会以降の顕著な特徴は、この数年来、原発、TPP、消費税、憲法、米軍基地など、国政の根幹にかかわる問題で、一致点にもとづく共同――「一点共闘」が大きな広がりをもって発展していることにある。広大な無党派の人々、従来の保守といわれてきた人々との共同が各分野で大きく広がっている。文化人、知識人、宗教者が新たに共同に参加する動きも広がっている。これは未来ある画期的な動きである。
この動きを発展させ、日本を変える統一戦線をつくりあげていくうえで、次の諸点に留意して奮闘する。
――わが党は、どの分野でも、一致点を大切にして「一点共闘」の発展のために誠実に力をつくすとともに、必要なときには縁の下の力持ちとして粘り強い努力を重ねてきた。この姿勢を今後も堅持することが何よりも大切である。
――同時に、どんな問題でも、根本的打開をはかろうとすれば、綱領が示した国政の民主的改革が必要になることを、太く明らかにする独自の活動に取り組むことが大切になってくる。この点で、革新懇運動が、草の根から国民の要求にもとづく多彩な共同の取り組みをすすめるとともに、自民党政治を根本から変える「三つの共同目標」(①日本の経済を国民本位に転換し、暮らしが豊かになる日本をめざす、②日本国憲法を生かし、自由と人権、民主主義が発展する日本をめざす、③日米安保条約をなくし、非核・非同盟・中立の平和な日本をめざす)を掲げて国民多数の合意をつくるために奮闘していることはきわめて重要であり、この運動が情勢にふさわしく大きく発展するよう力をそそぐ。革新懇運動を支える自覚的な民主勢力が、広大な国民と結びつき、その活動と組織を前進させることが、強く期待される。
――統一戦線をつくるうえで、労働運動が果たすべき役割はきわめて大きい。この点で、連合指導部の特定政党支持路線と労資協調主義路線という二つの重大な問題点が、深刻な矛盾にぶつかり、変化が起こっていることは注目すべきである。消費税増税、原発推進、公務員賃金削減など悪政を推進した民主党に対する労働者の怒りが広がり、連合系労組で特定政党支持の締め付けがきかなくなりつつあり、民主党一党支持を正面から掲げられなくなった有力単産も生まれた。職場からナショナルセンターの違いを超えて要求にもとづく共同を強め、特定政党支持を打ち破り、労資協調主義を克服するたたかいをすすめる。労働組合への組織率が、労働者全体の18%まで落ち込んだ事態を重視し、党と階級的・民主的労働運動が協力して、広大な未組織労働者の組織化に取り組む。労働者の要求にもとづく共同行動を発展させるうえで、全労連の果たす役割はいよいよ大きくなっており、その発展が強く期待される。
――日本共産党は、単独政権でなく、民主連合政府という連合政権をめざしている。その場合の連合の相手はどこから出てくるか。革新懇型の共同――日本共産党と無党派の人々との共同が、いよいよ本流になってくるだろう。同時に、いま「一点共闘」をともにたたかっている人々のなかからも連合の相手が生まれてくるだろう。
そして、そうした動きともあいまって、政党戦線においても、日本共産党との連合の相手が必ず出てくると、私たちは確信するものである。そのさい、私たちの連合の対象となる相手が、従来の保守の流れも含む修正資本主義の潮流であることも、大いにありうることである。日本共産党は、社会主義・共産主義の日本を展望する党だが、当面する変革の課題は、資本主義の枠内で「二つの異常」を正し、「国民が主人公」の日本への変革をはかることにあると考えている。将来的な展望の違いがあっても、「二つの異常」を正すという当面する課題での一致がえられるならば、統一戦線をともにつくりあげることは可能であり、共同のために努力する。
日本共産党が、あらゆる分野で国民と深く結びつき、強大な組織力をもって発展することは、新しい政治への国民的共同と統一戦線を発展させるための決定的な条件となる。そこにこそ新しい日本への扉を開く保障があることを銘記して奮闘しよう。(引用ここまで)
次は綱領について、です。共産党は、民主連合政府をつくるまでに何をやるか、その前にどうやって民主連合政府に接近していくか、綱領には明確に書かれています。その部分を現在の情勢に当てはめて考えてみると、綱領と大会決議と、その間の方針は、実に、かい離していると言わざるを得ませんが、このことについては、赤旗や会議では説明はなされていません。あるのは、「現段階において国政上の政権について一致できる段階ではない」という評価だけです。確かにそのとおりですが、しかし、ここには重大なことが見落とされています。それは「そうした動きともあいまって、政党戦線においても、日本共産党との連合の相手が必ず出てくると、私たちは確信するものである」という視点です。国会内においても同様に考えるべきです。沖縄の動きは、このことを示しています。国民の現実は、今や待ったなし!なのではないでしょうか?その待ったなしの国民との共同をどのようにつくりあげていくか、民主党政権の誕生を教訓にすべきではないでしょうか?
日本共産党綱領 http://www.jcp.or.jp/web_jcp/html/Koryo/
(一三)民主主義的な変革は、労働者、勤労市民、農漁民、中小企業家、知識人、女性、青年、学生など、独立、民主主義、平和、生活向上を求めるすべての人びとを結集した統一戦線によって、実現される。統一戦線は、反動的党派とたたかいながら、民主的党派、各分野の諸団体、民主的な人びととの共同と団結をかためることによってつくりあげられ、成長・発展する。当面のさしせまった任務にもとづく共同と団結は、世界観や歴史観、宗教的信条の違いをこえて、推進されなければならない。
日本共産党は、国民的な共同と団結をめざすこの運動で、先頭にたって推進する役割を果たさなければならない。日本共産党が、高い政治的、理論的な力量と、労働者をはじめ国民諸階層と広く深く結びついた強大な組織力をもって発展することは、統一戦線の発展のための決定的な条件となる。
日本共産党と統一戦線の勢力が、積極的に国会の議席を占め、国会外の運動と結びついてたたかうことは、国民の要求の実現にとっても、また変革の事業の前進にとっても、重要である。
日本共産党と統一戦線の勢力が、国民多数の支持を得て、国会で安定した過半数を占めるならば、統一戦線の政府・民主連合政府をつくることができる。日本共産党は、「国民が主人公」を一貫した信条として活動してきた政党として、国会の多数の支持を得て民主連合政府をつくるために奮闘する。
統一戦線の発展の過程では、民主的改革の内容の主要点のすべてではないが、いくつかの目標では一致し、その一致点にもとづく統一戦線の条件が生まれるという場合も起こりうる。党は、その場合でも、その共同が国民の利益にこたえ、現在の反動支配を打破だはしてゆくのに役立つかぎり、さしあたって一致できる目標の範囲で統一戦線を形成し、統一戦線の政府をつくるために力をつくす。(引用ここまで)
さしあたって一致できる目標とは憲法を活かすということではないのか!
最後になりますが、これらの文書で強調されていないことがあります。それは安倍首相が仕掛けてきているのは憲法の形骸化から否定という戦略です。2016年に憲法改悪の国民投票を実施するということを堂々と語っているのですから、それを批判し、その野望を打ち砕いていくための戦略、更に「憲法を活かす政権」を樹立することで、安倍首相派の野望を徹底して少数派に追い落としていく作戦が提起されなければなりません。
このたたかいは、憲法が最大の争点です。しかも抽象的な憲法論争ではありません。憲法を暮しに活かすか、否定するか、それが最大の争点なのです。この争点の決着は選挙によって決めるということです。選挙によって安倍首相派=憲法否定派を少数派にするということです。もう一つは選挙前に退陣させることもあります。しかし、安倍首相派の議席は残っているのですから、安倍首相派の火種を消しとることが必要不可欠です。
選挙は選挙のためだけにあるのではなく、日常的な要求運動と、それを支える大義名分を広げるイデオロギー運動が必要不可欠です。安倍首相派はテレビ・新聞、その他のマスメディアを使って国民の意識を獲得するために、スリカエ・ゴマカシ・デタラメ・大ウソを振りまいています。そのトリックをどのようにして打ち破るか、そのことを抜きに安倍首相派の野望を打ち砕くことはできないでしょう。その最大の武器は日本国憲法です。
国民生活に噴出している膿である様々な出来事は、憲法をないがしろにしてきた「成果」です。その責任は安倍政権、自民党政権、自公政権にあります。ところが、この責任を曖昧にして、何か新しいことを提起することで改善できるのではないかという幻想を振りまいているのです。「アベノミクス成長戦略」「女性の活躍」「教育再生」「地方創生」というコピーの裏側に何があるか、それを曖昧にしたまま、マスコミも追及することなく安倍首相を免罪するのです。安倍首相のマスコミ戦略がここにあります。
それを上回るたたかいをおこしていくことです。そのためにも「政権選択」とそのための「政権公約」づくりが必要不可欠です。