対処療法的対策ではなく子どもを人権こそ尊重しなければならないものと自覚させるためには!
さて、文部科学省が発表した子どもの不登校・いじめ・暴力行為に対する社説が書かれました。現段階で、どのような社説が書かれているか、検証してみたいと思います。30日以上も学校に行けない子どもについて、29日の子どもは不登校対象者にはならないのですから、この数字が、学校の真実を語っていないことは明らかです。また「いじめ」の実態いついても、何を以って「いじめ」とするか不明とされている学校現場です。暴力行為も、学校と教師の目の届かないところで行われている暴力行為、その結果として不登校になる場合もあるでしょうし、貧困に見舞われている社会・家庭の問題もあるかも知れません。いずれにしても、現在の子どもが置かれている社会風潮、学校の質、地域社会、家庭環境などなど、子どもの意識を形成している、子どもを取り巻く社会がどのようになっているのか、その社会が子どもにどのような影響を与えているか、その分析が社説で行われ、解明されているか、です。ポイントは、
1.子どもが生活している家庭の環境に迫っているか。
2.子どもが生きる地域社会はどうなっているか。
3.子どもが学ぶ学校ではどのような教育が行われているか。
4.子どもの意識の中に、どのような「事実」が入り込んでいるか。
5.憲法の理念を使った政治を求めているか。
以上の視点から、子どもを捉えているかどうか、その点に注目して考えて観たいと思います。その際に社説でもとりあげられている以下の法律と文部科学省の「通知」という名の「命令」「指導」を掲載しておきます。ご覧ください。
いじめ防止対策推進法 http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1337278.htm
いじめ防止対策推進法の公布について(通知):文部科学省 http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1337219.htm
別添4 いじめ防止対策推進法案に対する附帯決議 (衆議院文部科学委員会)http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1337280.htm
別添5 いじめ防止対策推進法案に対する附帯決議 (参議院文教科学委員会http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1337282.htm
京都新聞 小学校のいじめ/異変に気付く目もっと 2014/10/18 12:05 http://www.kyoto-np.co.jp/info/syasetsu/20141018_4.html
高知新聞 いじめ対策/たくさんの見守る目を 2014/10/18 10:07 http://www.kochinews.co.jp/?&nwSrl=327637&nwIW=1&nwVt=knd
南日本新聞 小学いじめ最多/早期把握に全力挙げよ 2014/10/18 8:07 http://373news.com/_column/./syasetu.php?ym=201410&storyid=60684
北國新聞 小学校のいじめ最多/小さな事象も見逃さずに 2014/10/19 4:05
http://www.hokkoku.co.jp/_syasetu/syasetu.htm
富山新聞 小学校のいじめ最多/小さな事象も見逃さずに 2014/10/19 4:06
http://www.toyama.hokkoku.co.jp/_syasetu/syasetu.htm
福島民友 いじめの認知件数/実態を把握し防止に努めよ 2014/10/18 12:05
http://www49.atpages.jp/toms/charset.php?s=Shift_JIS&d=UTF-8&url=http://www.minyu-net.com/shasetsu/syasetu/141018s.html
沖縄タイムス 子どもの問題行動/支える厚み発揮したい 2014/10/18 8:07
http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=87058
北海道新聞 児童の暴力/社会的背景も見逃せぬ 2014/10/18 10:00
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/569250.html
毎日新聞 子供の問題行動/情報わかちあい連携を 2014/10/17 4:00
http://mainichi.jp/opinion/news/20141017k0000m070148000c.html
中日/東京新聞 奪われる子の命/親を支え虐待の芽摘む 2014/10/17 8:00
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014101702000164.html
愛国者の邪論 どうでしょうか。テーマを観ただけでも、対処療法的社説になっていることが判ります。北海道新聞、毎日、東京新聞をみると、社会的背景に目を向けていますが、政府の政策として、行政や教育機関まで、この理念を徹底させているかどうか、検証していません。そこで、その部分について、掲載してみました。ご覧ください。
1.学校の努力を求めるものの、学校ができないのは何故か。
2.家庭の努力を求めるものの、家庭からは、どうしてよいのか判らないという悲鳴が聞こえてきます。その最大の理由は、貧困です。また貧困ばかりではなくスマホなど、新しい機器が、子どもに与えている心理的問題に対応できない大人の側の問題です。更に言えば、高学歴を求めるための塾通いに係って形成されている競争主義の弊害と塾通いのための資金稼ぎのために失う家庭内のコミュケーション不足の問題などがあります。しかし、こうした問題の奥深いところに新自由主義経済政策とそれを補うための学校教育という位置づけは皆無です。
3.こうした家庭が地域の中で住民同士が支え合っていくための装置としてコミュニティーとづくりが、また地域社会として、子どもの未来のために何ができるか、更には地域として、教育現場の声に耳を傾けているか、それを促すような書き方になっているか。
4.国と行政の責任の問題について、この分野における努力がなされているかどうかです。これはズバリ「カネ」です。「人・もの」を予算として計上できるかどうかです。偏差値輪切りの弊害が顕著になった70年代以後、中央教育審議会を中心とした日本の学校教育づくりがどうだったか、その反省、教訓は、全く顧みられていません。その路線によってつくりだされている問題に対処するための方策として、その場しのきと場当たりの諸政策が積み重ねられてきたからこそ、今日の問題が噴出しているとの認識はありません。不登校・いじめ・暴力・児童虐待が、日本社会のどのような問題から発生しているのか、それはとりもなおさず戦後自民党政治の帰結であるとの認識にはなっていないというのが、社説を読んだ結論です・
5.したがって、教育現場の実態の背景の解明について、貧困問題が書かれているものの、この貧困の原因は何か、明らかにされていません。家庭の経済的貧困と精神的貧困の原因と対策案を提起し、一つ一つの過程や子ども保護者のところまで入り込んで、彼らの心の中に埋めていくためには何が必要か、です。まさに未来の日本を担う子どもの教育については、総力戦でなければなりません。しかし、財政危機、新自由主義政策の大儲け主義路線は、こうした視点に立つことはありません。そのことが、社説の中ににじみ出ているのです。問題点と対策は、それなりに書かれているものの、子どもの心の中に、現代日本資本主義社会の思潮が突き刺さっていることを避けているとしか思えません。
それでは、その部分について、掲載しておきますのでご覧ください。
京都新聞
いじめの形態は多様だ。「冷やかし」「からかい」「あだ名」など、どこで線を引くかは明快な判別は難しく、個人でとらえ方も違う。ただし、全国調査という以上は、統一的な基準は欠かせない。昨年、いじめ防止対策推進法が施行され、取り組みが始まった。京滋の各自治体でも、いじめ防止に関する条例や基本方針制定の動きが進んでいる。京都では重大ないじめが起きた場合の調査機関を府教委と8教委が置き、滋賀では全小中学校に担当教員を配置した。いじめをなくすには早期に子どもの異変に気付くことが何よりも重要だ。この点で、大津市の中学校で「ひとことノート」に書き込んだ「班替えしたら嫌だった」の一文を手掛かりに教諭が生徒のSOSを聞き分けた事例は貴重だ。多忙を極める先生たちのマンパワーに不足はないのか。個々の学校現場への目配りも教委や自治体の大きな責務となる。 (引用ここまで)
高知新聞
…本欄でも言ってきたように件数増減にあまり一喜一憂する必要はない。当然、いじめは減らすよう努力すべきだ。ただ件数増は、それだけ小さないじめも見逃さない教員や子どもが増えているという見方もできる。件数が減った場合は、理由や状況をよく調べ、対策が有効なら別のいじめ克服に生かせばよいだろう。いじめで精神的に追い詰められて自ら命を絶つケースが続いている。悲劇を防ぐにはまず、誰にも言えずに苦しんでいる子どものサインを教員や保護者、友人らが見逃さないことだ。文科省の調査でも、子どものアンケートや個別面談をよく行った学校ほどいじめをつかんでいた。把握する力がいじめ対策の出発点となる。学校や家庭はむろん、地域住民を含めたたくさんの見守る目で、いじめの芽を摘んでいきたい。早期発見を早期対応につなげていくには、昨年9月に施行された「いじめ防止対策推進法」も鍵になるだろう。大津市の中2男子生徒の自殺を教訓に法制化され、各校に外部専門家や複数の教員らで構成する対策組織を置くよう求めている。いじめや暴力に遭い、休んだり不登校になったりする児童生徒もいる。子どもの情報を教員や専門家が共有すれば素早い対応につながるはずだ。大津市の場合はそうした連携が足らずに最悪の事態を招いてしまった。…小さなサインも見逃さないよう情報の共有を図ってほしい。文科省の調査では、パソコンや携帯電話でのいじめが急速に増えている。ネット上のやりとりは、教員らには見えにくく、陰湿化する傾向がある。トラブルに巻き込まれず、またいじめる側にもならない。携帯などの利用ルールを家庭で話し合うべきだ。(引用ここまで)
西日本新聞
いじめは対応の遅れが命に関わる事態に進展する恐れがあり、深刻化する前の兆候を見つけることが重要になる。学校現場は早期発見と、きめ細かな対策に努めてもらいたい。…いじめ件数の高止まりは文科省が分析した通り、「積極的な掘り起こしが進んだ」結果とみていいだろう。内訳をみると、「パソコンや携帯電話での誹謗(ひぼう)中傷」が8700件(複数回答)を超え、過去最多だった。スマホなどを持つ子どもが急増し、今後も「ネットいじめ」が広がる恐れがある。家庭と連携し、正しいネットの使い方を教える機会を増やす必要がある。気がかりなのは「重大事態」が181件に上ったことだ。生命身体に大きな被害などを受けるいじめなどを指し、昨年9月施行の「いじめ防止対策推進法」で初めて規定された。長期間の不登校になったこともある。背景などしっかり検証し再発防止につなげたい。推進法は、学校に「いじめ防止基本方針」づくりを義務づけた。96%が策定し教員の意識改革に活用されているという。ただ、具体的な方針を盛り込んだ学校は少数だという。いじめの根絶には実効性のある対策が欠かせない。子どもたちの意見を反映させることが有効だとされる。学校外の意見も取り入れ、内容の充実を図るべきだ。今回の調査では、小学生の暴力行為が初めて1万件を超え、7年間で2.9倍に増えたことが分かった。教員への暴力が1900件に上り、深刻な状況だ。専門家は「小さい頃から集団で遊ぶことが少なく、衝動的に暴力を振るってしまうのでないか」と指摘する。問題行動の背景には、家庭や地域環境などさまざまな要因がある。学校は保護者らと十分な意思疎通を図りながら、さらに意識改革を進めていくべきだ。(引用ここまで)
北國・富山新聞
…両県教委とも、いじめ対策の成果が表れているとみているが、いじめは子どもを苦しめ、心身に深刻な影響を及ぼす。学校と家庭、関係機関が連携して、どんな小さな事象も見逃すことなく、いじめから子どもたちを守りたい。大津市の中2男子自殺を契機に成立した「いじめ防止対策推進法」が施行されて1年が経過し、全国の自治体と学校は、それぞれ基本方針の策定や対策のための組織づくりを進めている。石川、富山両県でも、いじめ問題対策チームの設置や対策をまとめた事例集配布、研修や教育相談の強化を図っているが、いじめの早期発見・防止につながっているか絶えず点検して、実効性のある取り組みを進める必要がある。金沢市では市内の中学1年の男子生徒が、小学生の時にいじめを受けて心的外傷後スト レス障害(PTSD)を発症したとして、市と同級生3人の保護者に損害賠償を求める訴えを起こしている。事実関係は法廷で争われることになるが、今後、いじめに関連した訴えが生じないように、各校でいじめは決して許さない校風を教師と児童生徒でつくりあげたい。大津市の中2男子が自殺した問題では、「先生はいじめを見て見ぬふりをした」と、生徒たちが教師に強い不信を抱いたという。いじめ防止には互いの信頼関係がなくてはならない。巧妙な「ネットいじめ」や不登校も増えているが、教師と保護者は、日ごろから子どもたちの様子をしっかり見て、話を十分に聞いてあげてほしい。(引用ここまで)
福島民友
いじめは、いつ、どこで起きるのか分からない。教室から離れたところに隠れて見えないケースはないか。子どもたちの様子を注意深く見守る意識を常に持つことが大切だ。学校には、いじめをより減らし、なくす取り組みを強めていってもらいたい。…学校の認知件数は、いじめが社会問題化すると大幅に増加し、その後は年々減少する傾向にあるという。学校での実態把握の取り組みが弱まったために認知件数が減少した可能性はないのかとの疑問が浮かぶ。…臨床心理士らが子どもたちの相談に応じるスクールカウンセラーの増員や、独自の道徳教材の活用が進んできたことを理由に挙げる。カウンセラーの相談件数は年々増えているという。子どもたちが友人との人間関係や学業への悩みを相談しやすい環境の整備に一層努め、いじめの早期把握につなげることが肝要だ。一方で、県教委のいじめ専用の電話相談も増えている現状がある。学校が把握する認知件数が、いじめの実態を正確に映し出しているとは限らないと、肝に銘じるべきだ。全国的には、パソコンやスマホでの誹謗(ひぼう)中傷など「ネットいじめ」が広がっている傾向にあり、いじめが潜在化していく懸念に十分に注意を払わなければならない。大津市の問題をきっかけに昨年9月に施行されたいじめ防止対策推進法はいじめの禁止を明確にし、学校に基本方針の策定や防止対策の組織の設置を義務付けている。県内の小中学校ではほぼ全校で法律に沿った対応が整えられた。実態把握と同時にいじめ防止の実効性を高めることが重要だ。(引用ここまで)
沖縄タイムス
いじめが大きな社会問題になると認知件数が増え、落ち着くと減るというのが、これまでの傾向だ。…いじめ調査では、しばしば都道府県による把握件数のばらつきが指摘される。実態に大きな差があるとは思えない。むしろ件数の多い自治体の方が、丁寧に調査し、しっかり対応しているケースが目立つ。大人の目が届かないところでパソコンや携帯電話を使ったネットいじめが増えつつある現状を考えると、いじめの件数に一喜一憂するのではなく、早期発見と解決にこそ重点を置くべきだ。…全国で1万件を超える小学生の暴力行為の内容は多い方から「子ども同士の暴力」「教員への暴力」「器物損壊」である。まだあどけなさが残る子どもの教師への暴力が、小学校の「荒れ」を象徴する。今の子どもたちは、少子化で集団でもまれることが少ない。そのため対人関係で押したり引いたりといったバランスを取る力が弱い。感情コントロールが未熟で、衝動的に手が出てしまうのだという。小学生の暴力行為が、中学でエスカレートし、非行などにつながる前に支援の手を差し伸べる必要がある。うまく人間関係がつくれない子ども自身へのアプローチも大切だが、子どもに「なぜ」と問い掛けるだけでは解決しない。背景にある貧困など家庭の教育力の低下にも目を向け、子どもと一緒に、親も支えていく姿勢が求められる。問題行動に直接接する学校側の関わりも重要だ。それには世界でも多忙といわれる教師が、じっくり子どもと向き合う時間を確保しなければならない。家庭、学校、そして地域がチームとなって、支える側の厚みを発揮したい。(引用ここまで)
北海道新聞
学校と家庭が連携を強め、いじめとともに早期に芽を摘み、暴力の低年齢化に歯止めをかけていく必要がある。…ささいなことで突然キレる、教師に注意されると逆上する、自分の意思をうまく伝えられずいらつく—。こうした子どもたちへの対応の必要性が叫ばれて久しい。なのになぜ、これほど急カーブを描いて増えるのか。近年、顕在化した子どもの貧困や社会格差の拡大が背景にあるのではないか。教育の枠組みを超えた社会全体の問題ととらえて、貧困や格差の解消に本気で取り組まなければ、今後も増加を食い止められまい。暴力行為が急増した06年、文科省は小さなルール違反も見逃さない厳罰主義で暴力を抑え込む米国流の手法を提唱した。しかし、その後の増加をみればそれが根本対策にはならないことは明らかだ。むしろ目指さないといけないのは、子どもに人とのつながりや自分の居場所、精神的ゆとりや安心感を与えることではないのか。教師や保護者には子どもとのコミュニケーションを増やすことを心がけてもらいたい。自分を表現する力、相手の気持ちを察する力を各教科の学習や読書、対話を通じて養うことも有効だろう。校内暴力は学級崩壊が絡むケースが多い。教室が乱雑になる、常にざわつくといった状況があれば、早いうちに手を打つべきだ。担任教師が1人で抱え込むことのないよう、複数担任制の導入や教職員同士の風通しをよくしておくことが欠かせない。各家庭では子どもがゲームやスマートフォンにはまって自分の世界にこもることのないよう、生活習慣の改善に気を配ってほしい。(引用ここまで)
毎日新聞
政府は表看板に教育制度改革を掲げ、「グローバル人材の育成」をうたう。その大前提には、土台となる心の成長の安定があるはずだ。「問題行動」というが、その行動は、むしろ学校教育が抱える問題点や家庭、大人社会のありようを色濃く反映したものである。暴力の低年齢化現象については近年、一線の先生らがしばしば語るところだ。今回の調査で文科省が、なぜ暴力行為が増えたか都道府県教育委員会にアンケートしたところ「感情コントロールがうまくできない児童が増え、ささいなことから暴力に至る」などが挙げられた。不登校増加には「人間関係が構築できない」「家庭の教育力が低下し、基本的な生活習慣が身につかない」などの指摘があったという。そうした不安定さは、むろん学校だけではなく、家庭、社会などさまざまな環境がかかわっている。先生が一人で背負い込んで簡単に改善・解決されるものではない。自分を大切な存在と思い、自信を持つ「自己肯定感」の低さを子供の中に感じ取る先生もいる。いわゆる団塊の世代の大量退職後、若手の先生たちのよき助言者、協力者となるベテラン層が薄くなったといわれる。また国際比較調査でも、細かな校務などで日本の先生たちはあまりに多忙で、子供たちと向き合う時間が不足しがちだ。それらを補い、先生を孤立無援の状況に置かないよう、複数担任学級の普及や、家庭、地域社会を含めた情報、問題意識の共有と支援態勢の充実を求めたい。また、従来の経験だけでは対処が難しいような、新しい課題もある。それらは時を追うようにして増えていくだろう。例えば、メールなどで中傷を流す「ネットいじめ」は、いじめの認知件数全体の4.7%、8787件だが、増え続けている。水面下に、大人たちの目が届きにくい新たないじめが広がる恐れがある。(引用ここまで)
中日/東京新聞
子どもの命を脅かす事件が絶えない。全国の児童相談所が二〇一三年度に対応した児童虐待件数は七万件を超え過去最多に。行政や医療、地域が妊娠期から親の支援に連携し、虐待の芽を摘みたい。…厚生労働省のまとめによると、〇三年七月から約十年間で、虐待死した子どもは五百四十六人。ゼロ歳児は二百四十人で約四割を占める。身体的暴力、育児放棄、生まれたまま放置など、虐待死のケースで加害者の大半は実母だ。貧困や精神疾患、夫のDV、未成年など、虐待におよぶリスクをいくつも抱え、親としてどう振る舞えばいいのかが分からない。助けて、と声を上げられない彼女たちにこそ、妊娠時から支援の手が差し伸べられるべきだ。小児科のある中核的病院には虐待に対応する組織が整えられつつある。産科のある病院では妊娠期から不安な人を見つけ、出産後に育児支援が必要と判断すれば、地域の保健サービスにつなぐ。全国には予算や人手不足で体制をとれない施設が多い。地域や病院間の格差とならないよう、国は予算を投じ、取り組みを加速させてほしい。「望まない妊娠」のために妊婦検診も受けず、病院に行かずに自宅で出産する人が少なくない。名古屋市や大阪府では電話やメールで助産師が相談を受ける「妊娠SOS」を開設し、効果を上げている。地道な取り組みが親たちを孤立から守る。児童相談所や病院、保健所、地域が、支援の窓はいつでも開かれているのだというメッセージを、絶えず発信してほしい。(引用ここまで)