歴代政権が禁じてきた集団的自衛権の行使を可能にする安全保障関連法が成立した昨年9月19日以降、法律の廃止や国民への丁寧な説明を求める地方議会の意見書が少なくとも58件可決され、国会に提出されたことが13日、衆参両院事務局などへの取材で分かった。安倍晋三首相は「国民に誠実に粘り強く説明していく」としてきたが、いまだ根強い反対があることが浮き彫りになった。住民に身近な地方議会が、意見書でその不安の声を反映した形だ。(引用ここまで)
愛国者の邪論の提案した意見書採択に向けた要望書
「国会審議において国民の理解を得るための最大限の努力を求める」意見書をいかすために
いわゆる安全保障法の廃止を要請する市議会の意見書の採択を求める要望書
はじめに
日頃より市民の福祉向上のためにご尽力いただき感謝申し上げます。
さて、第3回定例会中に国会において、いわゆる安全保障法が「強行可決」されたことはご案内の通りです。このことについては、すでにご承知のとおり、たくさんの問題点を含んでいることは、市議会における「意見書」においても述べられています。
そこで、以下の視点にたって、また市議会における「意見書「を踏まえて、以下の「意見書」(案)をご検討いただき、第4回定例会において、御審議いただき、内閣に送付されますよう、宜しくお願い申し上げます。
1.安全保障法廃止を求める「意見書」(案)について
先の国会において「平和安全法制整備法案」及び「国際平和支援法案」が審議され、可決された。この二つの法は日本の平和と安全の在り方に関わる重要な内容を含んでおり、国民が重大な関心を持って注視してきた。
政府においては、「我が国の平和と安全」と「国際社会の平和と安全」を将来にわたってより一層確保するとしてきたが、審議内容と経過を踏まえて、市議会は、国会審議において国民の理解を得るための最大限の努力を求めることを要請する意見書を送付した。
しかし、最終盤における審議内容と経過を視ると、「国民の理解を得た」とは到底言えないことは、安倍首相・中谷防衛大臣などの発言を視ても明らかである。
また新聞・テレビなどの世論調査を視ても、政府が国民に「説明責任を果たしている」とは言えないことも明らかである。
よって、この二つの法は、一度廃止して、再度、「国民の理解を得る」ために、「最大限の努力を求める」ものである。
2.上記「意見書」を求める根拠について
―住民提出の「陳情」を不採択にして「国会審議において国民の理解を得るための最大限の努力を求める」市議会の「意見書」採択の問題点について―
私は、平成27年7月議会に下記の陳情を提出しました。
「国会に上程されている、いわゆる『安保法制』の撤回を要請する市議会の意見書の採択を求める陳情書」
私と同じような「撤回」を求める[陳情]はありませんでしたが、「廃案」を求める陳情は5件、「慎重審議」を求める「陳情」は2件、合計8件の「陳情「が同議会に提出されました。結果は「継続審査となりました。
そして9月議会において、9月7日、委員会審査直前の本会議において「安全保障法制の国会審議に最大限の努力を求める意見書」が可決され、市議会として、国に対して、意見書を提出することになり、この「意見書」を持って、「陳情」は「了承できない」ものとなりました。
しかし、この「判断」については、以下の点で問題がありました。
(1)「意見書」の中身については、住民に、陳情者には知らされていない。
(2)「意見書」の中身と、住民から提出されていた陳情の中身の違いと一致点は全く不明だった。
(3)「陳情者の意見を述べる機会を与えるように」との意見については、今回も黙殺して審査が行われた。
(4)住民の提出した陳情についての審査を経ることなく、いわば門前払いをして「了承できない」としたことは、「議会基本条例」の趣旨に反する行為であった。
(5)情報公開で手に入れた「意見書」について検討してみると、以下の点で問題がありました。
①「この2法案は日本の平和と安全の在り方に関わる重要な内容を含んでおり」と、ありますが、「重要な内容」とは何か、具体的には何も指摘していません。
②しかも、「政府においては、『我が国の平和と安全』『国際社会の平和と安全』を将来にわたってより一層確保すること」とありますが、どのような内容で「確保する」のか、全く触れていません。
③「国民が重大な関心を持って注視している」との指摘がなされていますが、国民はどのような内容で「重大な関心を持って注視している」のか、全く触れていません。これでは陳情の内容と大きな祖語があると言われても仕方ありません。
④「国会審議において国民の理解を得るための最大限の努力を求める」とありますが、「国民の理解」とはどのようなことか、全く曖昧です。国民が何を求めているのか、市議会としての判断はありません。
(6)以上のような「意見書」を「理由」として、「陳情」が「不採択」となったことを視ると、「陳情」を政策提案として位置付けている「市議会基本条例」が空文化していたと断ぜざるを得ません。
(7)自ら採択した「意見書」を優先させ、住民から提出された「陳情」を不採択にした「理由」について、それぞれの「陳情」の内容を踏まえて、議員各位の説明責任を果たすべきです。
(8)私は、陳情者」の意見陳述の機会を設けることを要請してきましたが、ここでも、委員会審査にあたって、政策提案者としての陳情者の意見陳述の機会を設けなかったことの問題点、すなわち、「より良い意見書を採択する」という点において、その問題点が、その後の経過を視ると、改めて浮き彫りになたと言わざるえを得ません。
3.安全保障法制が強行可決されたことを踏まえて、市議会の「意見書」を活かすために
以上、市議会における「意見書」採択に係る問題点を指摘してみましたが、「強行可決」された安全保障法制の今後の具体化のことを踏まえると、また市議会で採択された「意見書」の「趣旨」を踏まえると、参議院における審議は、どうみても「国会審議において国民の理解を得るための最大限の努力を求める」の「意見書」とは真逆のことが行われていたと言わざるを得ません。
これについて、市議会として、「意見書」を提出した立場から視れば、あのような「強行可決」を看過・容認することは、法案が「可決」されたということにはならないはずです。
その最大の理由は、「意見書」にも書かれてあるように、「我が国の平和と安全」「国際社会の平和と安全」を「将来にわたってより一層確保する」ためには国民の「理解」が必要不可欠なことは言うまでもないからです。そこで、市議会として、再度、政府と国会に対して、「安全保障法制の廃止を求める意見書」を提出することが相当ではないかと判断し、市議会として、法律の廃止を求める「意見書」を採択して、政府に提出していただく「要望書」を提出することにしました。
市議会として、先の議会における手続きと同じ手続きを踏まえて、ご検討の程、宜しくお願い申し上げます。
4. 私の「要望書」の「趣旨」の根拠が妥当かどうか、以下、具体的にあげておきます。
(1)政府関係者の発言にみる委員会審議の不十分さは浮き彫りになります。成立の根拠が希薄です。
安倍首相「まだまだこれから粘り強く、丁寧に法案の説明を行っていきたい」
中谷防衛大臣「国民に十分に理解されていない部分があるので引き続き努力していく」
山口公明党代表「国民に、なおいっそうの理解をいただけるよう政府に対応を望むとともに、国会としても努力したい」
鴻池委員長「ああいった形で委員会可決は不本意だった」
(2)防衛大出身の佐藤正久筆頭理事が指南役となり、開会前の同日早朝、ひそかに集まってシミュレーションもしたという委員会採決の方法は憲法前文と第41条に違反していると言わざるを得ません。しかも「若手議員たち」は委員会の委員とは関係のない議員だったことは、映像を視れば周知の事実であり、このことの持つ愚劣極まりない行為の意味は計り知れないと言わなければなりません。以下をご覧ください。
http://www.sankei.com/politics/news/150918/plt1509180085-n1.html
(3)テレビ・新聞の世論調査でも「説明責任を果たしていない」という声はは圧倒的多数です。
【朝日新聞】
国会での議論は尽くされていない:75%
安倍政権が、広く国民の理解を得ようとする努力を十分にしてこなかった:74%
【毎日新聞】
政府・与党の国民への説明が不十分だ:78%
【読売新聞】
政府・与党が安保関連法の内容について十分に説明したと答えた人は12%にとどまった
【日本経済新聞】
説明不十分だ:78%
【産経新聞・フジテレビ FNN】
十分に尽くされたと思わない:78.4%
【共同通信】
安保法の審議不十分79%
安保法への安倍政権の姿勢 十分に説明しているとは思わない:81.6%
【日テレ】
安倍内閣が、この法案の内容について、国民に十分に説明しているとは思わない 8月76.4% 9月78.1%
政府・与党が安保関連法の内容について国民に十分に説明したと思わない:10月82%
【JNN】
政府・与党が安保法案について十分国民に説明している不十分だ 83%
安保関連法が成立するまでの国会での審議について不十分だった 76%
【テレビ朝日】
この安全保障関連法案について、国民に十分に説明していると思わない 9月80% 10月78%
【NHK】説明責任については設問なし
安全保障関連法の成立 「評価する」39%、「評価しない」54%
(4)安全保障関連法に関する参院特別委員会が、採決を宣告する鴻池祥肇委員長の発言を「聴取不能としながら「可決すべきものと決定した」と議事録に付け加えた「議事録改ざん」に視るように、委員会採決そのものが成り立っていません。
(5)この「安全保障法制」が地方自治に与える影響は大きいと言えますが、国会においても、また市議会においても、議論にすらなっていません。9月議会において、共産党から質問がありましたが、市長はまともに応えませんでした。これでは「国民の理解を得るための最大限の努力を求める」という以前の問題があると言わなければなりません。
おわりに
以上、手続き的な側面からのみ問題点を指摘してみました。まさに民主主義のイロハに係る問題です。これらのことを看過容認することが、来年から始まる18歳選挙権の行使に大きな影響を与えることは明らかです。18歳以下の「子ども」にも、判る政治を行うことは政治家の責任と言わなければなりません。市議会と議員の皆さんが、自ら制定した『市議会基本条例』を具体化する立場にたって慎重審議をお願いするものです。 以上(引用ここまで)