迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

火の用心

2016-12-26 06:22:03 | 戯作
師走の夜八時。 権堂太郎兵衛じいさんはほくそ笑みながら、居間の炬燵で晩酌をチビチビとやっていました。 「やっぱり、静かなのが一番じゃ……」 それは、今宵から夜回りを、廃止にさせたからです。 夜回りとは、 「火の用心」 チョンチョン、と拍子木を打って町内を巡回する、あれです。 権堂じいさんは日頃からあの「火の用心」チョンチョンを、町内の静かな夜を掻き乱す、騒音だと感じていました。 あ . . . 本文を読む
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