迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

愛しや江戸のオモカゲ。

2024-11-13 20:00:00 | 浮世見聞記
川崎浮世繪ギャラリーの「光と影の浮世絵師 小林清親展」を、前期と後期通して觀る。



武士として生まれ、明治と云ふ“御一新”の世へ光と影を色彩に取り入れた江戸版画を生み出した非凡なる浮世繪師の、その影響を受けたと思はれる小倉柳村(おぐら りうそん)に、今回は注目する。

と云っても、明治十年代半ばに作品が確認されるだけで、經歴などは一切不明の謎な人物云々、しかし小林清親の作風をしっかり自分のものにしてゐるところからして、模倣屋ではない非凡な技量の持ち主であったことだけは確かだらう。

自分自身をオモテに晒すことなく、作品だけでその名を遺せる藝術家は、ある意味で幸運のやうに私は思ふ。


(※記念繪葉書より)

上はその小倉柳村が明治十四年(1880年)五月に發表した「湯島之景」、湯島と云へば天神様に困った時のナントカな學生ども、梅、そして藝者と書生の時代錯誤な純愛悲劇を私などは連想するが、江戸時代には“陰間茶屋”が集まる一帯云々、さうした風情をさり氣なく月光の影に映し出したこの一點に、私は皮肉味タップリな現代的価値を見出す。








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