町田市立國際版画美術館で、「両大戦間のモダニズム 1918-1939 煌めきと戸惑いの時代」展を觀る。
第一次と第二次の世界大戰の狭間二十一年間における、戰勝國と敗戰國それぞれの情勢を當時の版画作品から見ていく。
勝った側の佛國や米國は「狂騒の時代」と呼ばれ、版画の色調も浮薄なくらゐに明るく軽やかだが、
米國の黒みを帯びた色調は經済不況からやがて始まる二度目の世界大戰を暗示させ、しなくてもよかった参戰をしてちゃっかり勝利側となった大日本帝國では、そのおこぼれに與った様が美術作品にも香り、
一方で敗北した独國では隠忍抑圧がやがてナチスヒトラー薹頭の素地につながっていく不氣味さが、
すでに見て取れる。
美術とは、その國のその時を鋭敏に映し出す“鏡”であり、時勢との表裏一体は宿命みたいなものだ。
隣の展示室では、「明治時代の歴史物語」展が同時開催中で、
江戸版画の浮世繪に近代感覺を吹き込んだ月岡芳年たちによる日本史名場面の數々に、やはり私はこちらの画風のはうが性に合ふな、と思ふ。