「間もなくご遺体が通りますので、それまでここでお待ち願へますか」
中から出て来た男性にさう言はれて、私はにわかに厳粛な気持ちになった。
私はいまからそこに用事があるので、出直すわけにいかず、かと言ってそっぽを向くわけにもいかず、少し離れた場所に移らうかと思ってゐるうちに、チャック付の細長いカバーを乗せた寝台が、数人の男性の手で、静かに運び出されて来た。
間もなく寝台は、私の前を通ることになる . . . 本文を読む
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- 嵐悳江(あらし とくえ)──手猿樂師にして、傳統藝能創造家にして、鐵道愛好家にして、古道探訪者にして、文筆家氣取り。
雅号は「李圜(りかん)」。
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