4月23日13:15頃、知床半島オホーツク海側の“カシュニの滝”あたりにて、「觀光船KAZU Ⅰの船首が浸水して沈みかかってゐる」と、乗員から海上保安廰へ通報があり、14:00頃に運營會社へ「船体が30度傾いてゐる」と連絡があったのちに消息を絶つ云々、約四時間後に海保が付近を捜索するも船体はおろか子どもを含む乗客乗員26名は發見されず、いやな予感がしてゐたところへ、今日に救助された計10名全員の死亡が確認云々──
當日は波風が強く、地元の漁船は午前中に漁を切り上げて帰港するも、觀光船は同業者の制止を振り切って出航云々、また冬期に船体を陸揚げした際に船首に亀裂を確認しつつも、修理を怠る云々──
起きてほしくない事態が起き、暗然とする。
かつて旧東海道探訪で桑名から宮へ、船渡しの復元イベントに参加した際、乗船したのが今回の海難事故の船と似た型の中古船で、伊勢湾を航行中に付近を通過した船の航跡波で船体が大きく揺れ、「ここで転覆したら怖いな」と本氣で思った経験がある。
それだけに、船体が浸水して傾いたときの乗客たちの恐怖は、察するに余りある。
その一方で、知床が平成十七年に世界自然遺産に登録されたことを、地元の人々は「世界自然遺産=觀光資源」と直結して捉へてゐるらしいことが引っかかる。
その自然環境がそのままの姿で守られてゐるから“遺産”となったのであり、そこへニンゲンが「寄ってらっしゃい、見てらっしゃい」と商賣氣を出したのでは……、言はずもながな。