神奈川縣橫濱市西區の紅葉坂上に、九月一日に新築された縣立図書館を訪ねてみる。
同じ紅葉坂上にそれまであった縣立図書館は“収蔵館”に、また設計者である前川國男氏の記念館として整備中云々、
新館は廢校後に長らく放置されてゐた専門學校跡地を利用して建てられたものだが、面積が旧館の半分ほどゆゑ手狭感は否めず、やけに小綺麗で小洒落た内装はなにやら氣取った雰囲氣で、それがどうも鼻について好きになれない。
狭くなったぶん、各階の藏書も數が減ったやうで、旧館のはうがゆったり廣くて昔ながらの“図書館感”があり、私には親しみやすかった。
なにより氣に食はないのは、狭苦しいくせして一階にカフェなど併設してゐることだ。
街中へ出ればムダにいくらでもあるしろものを──もっとも人災疫病禍でだいぶ數は減ったやうだが──、資料を収めるべきただでさへ狭い場所を割いて設ける、さういふ感性が私には理解できない。
……まう、ワシは行かんぞ。