大規模な様變はりが續く小田急線の登戸驛~向ヶ丘遊園驛界隈、普段ならば快速急行などで通り過ぎる向ヶ丘遊園驛の前を通りかかると、昭和二年(1927年)開業當時から現役を張り續けてゐる北口驛舎が、綺麗にお化粧直しされてゐた。
……と云っても、お化粧直しは令和二年のことで、私が今日まで氣が付かなかっただけ。
驛周辺の更地具合から、これからどのやうな街並みになるのか恐ろしい氣もするが──しかしだいたい想像はつく──、この驛舎のやうに姿の優れたものは、どの時代にも調和するものだ。
向ヶ丘遊園驛と云へば、大昔には小田急が運行するモノレールが、この驛前より驛名の語源であった向ヶ丘遊園とを結んでゐて、私も子ども時分に両親につれられて、一度往復で乗った記憶がある。
向ヶ丘遊園の記憶は全く無いが、モノレールは走行中に口笛調の音樂が流れてゐたことは、はっきりと憶えてゐる──
と、いろいろな場所へ遊びに連れて行ってくれた両親に、今ごろになって感謝したくなる、親不孝モノな私である。