商業施設の壁に掲げられてゐた、作り物の女のコたち。
雰囲気がよく似てゐるので、てっきり一人の作家の作品(もの)かと思ったら、四人が一點づつ手掛けたものと云ふ。
現今の街中でうんざりするほど見掛ける同じ“顔”の女のコたちを、そのまま繪にしたかのやうだ。
夏目漱石の「吾輩は猫である」にも、平凡な器量の若い女性につひて、“五分も外を歩ひてゐれば必ず會へる顔である”と云った感じの一文があった。
しかし。
私はこの描き物にふと足を止めたのだから、なんらかの個性をもった作り物たちではあるのだらう。
こちらの創作意欲を刺激されたとき、
その作り物は確かな“魂”を宿してゐることになる。