迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

出かける喜び、阻む天候。

2018-07-05 20:17:10 | 浮世見聞記
一尺の渋扇を、京都からやうやく取り寄せる。

一尺──約30Cmの長さは舞扇と同寸で、開き具合は仕舞扇と変はらず、手猿楽のちょっした創造にも手頃なのである。


以前に半ば間に合はせで江戸仕立ての九寸渋扇を購入したが、親骨が四角四面で持った感触が好みでなく、京都の渋扇で親骨が古風な仕立てになってゐるものが出てゐるのを見つけて、コレや! と膝を打ったのである。

さりながら、決して廉(やす)ゐ買ひ物ではなゐゆゑ、まぁいづれ、と思ってゐるうちにどんどんと月日は経つ。

が、今年の夏は何かと外に出ることが多くなりさうなので、「時は今也(いま)!」と、京都へ発注する。


梅雨明けして間もなく、丁寧な梱包で届ひた念願の一品に、「これや、これや……」と、ひとり笑みして煽ぎける。


地紙が広ゐぶん、写真のやうに半開きでも充分に涼がとれる。


やうは好みの問題だが、私は京都でつくられた扇が好きだ。


持ち物が気に入ると、

出かける計画も捗るものだ。



──と、喜びたゐところだが、明らかに梅雨のものではなゐこの頃の荒天はだうしたことだ。

台風のためばかりとは思へなゐ不気味なものを感じる。

今夏も、異様な天候つづきになるのだらうといふ當初の予想は、やはり当たりらしゐ……。
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