
山形県米澤市の「第43回 上杉雪灯篭まつり」のステージイベントに参加し、

現代手猿樂「河原左大臣(かわらのおとど)」を舞ふ。

會場は米澤城跡の上杉神社に隣接する、「米沢市上杉博物館 伝国の杜」敷地内の屋根に覆われた野外ゆゑ、先日に降った大雪で厳寒なるは覺悟なれど、

いざ出になると何も感じなくなる。

屋根の外では小雪が舞ひ、時には晴れ間が覗き、そんな気まぐれな空に、ふと一瞬、「きれひだな……」とその表情(いろ)に魅入る。
舞ひ了せたあとも何やら舞ひ足りなさを感じつつ──その気持ちが次へのチカラとなる──、今回のまう一つのお樂しみ、ガラス一枚隔てた“伝国の杜”内の能舞台で行なはれてゐる、金剛流愛好者たちによる謡仕舞の発表会を観る。

子どもたちによる狂言小舞や狂言「痿痢(しびり)」の上演、

また囃子の演奏もあり、

日本古来のかうした聲がやはり自分には性に合ふことを、

しみじみ再認識しながら附祝言まで樂しむ。
日が暮れてから、改めて「上杉雪灯篭まつり」の會場である米澤城跡──上杉神社一帯へ出かける。

雪の幻想的な詩情美、そして平和の礎を築ひた先人たちの遺徳を讃へる主旨をもったまつりなれば、私も特設の鎮魂塔に献灯し、

おのれが現在(いま)あることの感謝を述べる。
そして雪灯篭とキャンドルが彩なす會場をそぞろ歩きしながら、

これで米澤と御縁がつながったらうか、と思ふ。