初めから言ひ訳と言ひ逃れに始終するかと思ってゐましたが、まずはしおらしく先制に出たと云ったところでせうか。
ところが、事故原因は何かと問ふ報道屋に、
「分からない」──
私が独立した人生を歩むことを決心するきっかけとなった、忘目上の返答を思ひ出させてくれる發言であります。
「分からない」──
お素人サンが玄人(プロ)の世界に首を突っ込むとだうなるか、その現實をこれほど明瞭に示した言葉もありますまい。
次々に判明する杜撰この上ない運營管理の實態と云ひ、これはもはや海難事故ではない、れっきとした人災事故であります。
それをこの明らかに現場責任能力、管理能力の無い人物は、お素人サンであることを言ひ訳に、すべてについて「分からない」の一點張りで、結局のところ逃げを打ってゐるのではないか……?
だうも私は、平成三十年の「振袖詐欺(はれのひ)事件」の社長に對してと同じ強い憤りを、この人物に感じます。