夏に伸びきって視界を遮ってゐた堤の草もやうやく全て刈り取られ、青々とした残り香が冷たい空氣にいよいよ冴えて、今年を締めくくる冬がまうそこまで来てゐることを感じさせる、十月の晦日。
十月の晦日と云へば、今では“ハロウィン”がすっかり定着し、假装した真正のバケモノどもがわざわざ街に集まって真正の亂痴氣騒ぎを見せつける。
その度が過ぎた事例が、このたび朝鮮國の繁華街で發生した集團ドミノ倒し事件であり、勝手に集まって勝手にスッ転んだ連中のために、いちいち警備体制の甘さを責められる官に、むしろ私は同情する。
言葉と文字が違ふだけで、あちらの國も事情は全く変はらない。
もしこれがニッポンのシブヤであったら、それはそれは見モノであったらうに。