「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

          「直葬」について考える

2009-09-29 05:18:56 | Weblog
母の実家から、この8月、96歳で永眠した従姉の49日法要の案内状が届いた。
東京では最近仏事は次第に簡素化され、家族やごく親しい人のみで行われる
傾向にあるのだが、やはり旧家には昔のしきたりが残っている。

そんな折、産経新聞のコラムに「直葬」(じきそうと読むらしい)が紹介されていた。
80歳近くになって初めて聞く言葉だ。葬儀を簡略化して御通夜も告別式せず火葬
場で行う"葬儀”なのだそうだ。ネット情報によれば、普通にお葬式を葬儀店など
を介して行うと、最低100万円かかるが、この「直葬」方式だと20万円から30万円
ですむのだという。核家族化や、このところの不況で東京では「直葬」が増え、全
体の葬儀の3割を占めているとのことだ。

仏教に限らず、どんな宗教でも人間の死に際しては一つの儀式があり、それに伴
う習俗がある。10年ほど前滞在先のメダン(インドネシア)で知人の死に遭遇、イス
ラムの葬儀に出席したが、そのあと1週間ごとに家族が集まって法要をしていた。
大學教授の友人の話ではイスラムの教義には無関係で、おそらく昔この地方が仏
教国だった頃のしきたりではないかということだった。

キリスト教でも死者のためのミサや祈祷式があり、地方地方の死者を偲ぶ習俗が
ある。「直葬」では仏教の僧侶抜きの場合もあるそうだ。火葬した後も遺骨も墓に埋
葬することもないという。子供の頃、ウソをつくと閻魔(えんま)さんに舌を抜かれると
育ったぼくには、とても恐ろしくて、こんな「直葬」はして貰いたくない。