「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

       イスラム女性のベールとノーベル平和賞

2011-10-09 05:53:16 | Weblog
今年のノーベル平和賞に中東イエメンの女性反政府活動家のタワックル・カルマンさん(32)がエレン・リーリーフ・リベリア大統領ら二人と共に選ばれた。選考の理由は民主化が遅れている地域で女性の地位向上に尽力したというものだ。いつも思うのだが、このノーベル平和賞は多分にジャーナリスティックな要素があるみたいだが、ベールをかぶったイスラム女性が選ばれたのは画期的だ。
 
イエメンはアラビア半島の北端にあり、隣国サウジアラビアと共に同じ中東諸国の中にあっても女性の地位は低い。つい最近もサウジアラビアでは、女性の車の運転が法で禁止されているにもかかわらず運転して、ムチ打ち刑に処せられそうになった。両国ともいまだに女性は「アバヤ」というい黒い衣装で人前ではマスクをして目以外は出さない。50年前、、僕はイエメンを取材し、その異様な姿にびっくり仰天したのを覚えている。

クワックル・カルマンさんは今年初頭より始まったサレハ(大統領)独裁政権反対運動に参加、6月には女性だけで街頭デモを展開しているジャーナリストだそうだ。最近までのイエメンでは考えも及ばなかった女性の活動だ。そのデモに参加したイエメンの女性たちは全員「アバヤ」姿か、あるいはそれに近く頭にはベールをしていた。

ご存知のように、フランスでは宗教スカーフ禁止法があって、公立学校へはベールをかぶって通学することが禁じられている。イスラムの掟「コーラン」では女性は髪と襟元を人前でさらす事は禁止されている。この宗教的なスカーフ禁止法をめぐって、最近イスラム移民が増加している西欧社会に色々波紋が広がっている。

ノーベル委員会が、西欧でのこの動きを意識してタワックル・カルマンさんに平和賞を授与したのかどうかはわからない。しかし、多分カルマンさんは授賞式には、伝統的なベール姿で現れるだろう。イスラム信仰と西欧的価値観にたつ民主化とは無関係なものだ。