「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

             TPPのお化け退治

2011-10-18 05:13:12 | Weblog
来月12日から始まるAPEC(アジア太平洋経済協力会議)総会を前に、政府のTPP(環太平洋経済連携協定)交渉参加へのアクセルが一段と強くなってきた。野田総理は”TPP参加は日本にとってプラス”だとし、枝野経産相は"参加しなければ世界の流れに遅れてしまう”と言っている。この発言からみてTPP参加は間違いない。

しかし、民主党内には前原政調会長の言葉を借りれば”TPPお化け”論者がうごめいていて恐怖を煽っている、という。僕は別に”お化け"論者に肩を持つわけではない。世論調査も80%超の人がTPP参加を支持している。しかし、”お化け"論者の"おびえ”も解からないではない。農水省の試算では、日本が手放しでTPPへ参加すれば、農業総生産は4兆1千億円も減り、食糧自給率は14%も下がってしまうという。

TPPへの参加については、昨年の今頃も騒いでいた。同じAPEC総会を前にして前原外相(当時)が突如、耳慣れなかった「TPP」とい言葉を持ち出して"参加は政治的に待ったなしだ”と言い張った。待ったなしの問題が、大震災があったにせよ、1年間手付かずのまま放置されていて、ここへきてこの騒ぎである。

韓国の李明博大統領とオバマ米大統領とのFTA(自由貿易協定)調印のニュースを見れば、世界の趨勢はわかる。わが国はたしかにバスに乗り遅れてきた感じだ。前原氏の言うように、GDP僅か1・5%の農業のために95.5%の輸出産業を犠牲にはできない。しかし、1.5%だからといって、農業をを頭から切り捨てる訳にははいかない。"お化け退治”をするのならば、今一番必要なのは、日本農業をどうするのかーである。具体的な案を一日も早く示すべきだ。