「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

          ジャワにもあった元寇に想う

2011-10-22 06:33:38 | Weblog
長崎県松浦市の伊万里湾沖で元寇・弘安の役(1281年)のさい"神風”で沈没したと見られる元軍の軍艦の竜骨(キール)がほぼ完全な形で発見されたという。元寇というと、僕ら昭和1けた世代は、子供だった戦争中歌った「元寇の歌」を想い出す。
             ♯ 「元寇の歌」(永井建子 作詞作曲 明治25年)
     四百余州に挙(こぞ)る 十万余騎の敵  国難ここにある 弘安四年夏の頃
     なんぞ怖れん われに鎌倉男児あり 正義武断の名 一喝して世に示す

今の人たちには信じられないだろうが、僕ら銃後の小国民は、空襲で東京が焼野原になりながらも、心のどこかで戦争はいずれ元寇のように"神風”が吹き、勝利するものと固く信じていた。

戦後もかなり経ってからだが、僕はインドネシアの歴史書を読んで驚いた。ジャワのマジャパイト王朝、初代のクルタラジャサ国王(1293-1309年)の時代にも、元軍が来襲したが、やはり"神風”みたいな季節風にあい、逃亡している史実があった。JICA(国際協力事業団)の技術研修員にこのことを話ししたら、スラウェシ出身のその研修員は"ブギス人には、元軍兵士で故国に帰れなかった血が流れている”と言っていた。真偽は判らないが面白い話だ。

それにしても当時の元軍の力はなんだったのだろうか。東日本大震災後"想定外"という言葉をよく耳にするが、元寇が起きたのは700年前のことだが、外国からの元寇に似た侵略がわが国にまったくないとは言い切れない。想定外ではないような気がする。