「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

            老後の生活は若い時から備えろ!

2011-10-13 05:33:33 | Weblog
年金開始時期を68歳から70歳にしては、という厚生労働省の審議会の一案が実施されるかどうかもわからないのに独り歩きして若い世代に恐慌を呼んでいるようだ。少子高齢化によってわが国の現在の社会保障制度が早晩、破綻するのは間違いない。その一環として現在年金の支給開始年齢を3年に1回ずつ引上げて65歳にする途上だが、厚労省審議会の一案にしても、開始年齢を68歳ー70歳というのは、あまりにも現実離れしている。

わが国では戦前から定年制度があり、僕が現役を離れる平成初め頃までは一般に55歳定年だった。今は公務員(一般職)を初め大方の企業は60歳定年である。政府は高年齢雇用安定法によって、定年を何とか65歳まで引上げようと努力しているが、厚労省の最近の発表では大企業で65歳延長に踏み切ったのは、僅か24%で、中小企業をいれてもまだ半数の企業が60歳定年である。しかし、一方においては年金の開始時期はやがて65歳に引上げれ、将来的にはもっと引上げられよう。この間の生活をどうするかが問題だが、これは今に始まったことではない。

戦前には公務員には恩給制度があったが、民間の企業には年金はなく、サラリーマンは老後の生活は自衛しなくてはならなかった。それが出来なければ、養老院という暗いイメージの老人施設で送らなければならなかった。でも、幸い戦前は家族制度が確立されていて大部分の高齢者は家族に見守られて一生を送ることが出来た。

わが家でも明治17年生まれの父親は昭和14年に定年を迎え退職しているが、当時の日記帳を調べてみると、定年数年前からそれに備えて老後の生活を母親と検討していた。商売も考えたこともあったようだが、商才のない父には無理で、結局郊外に土地を借りて家作を数軒建てて老後に備えた。

サラリーマン二世の僕も、門前の小僧で、老後の設計に入ったのは40歳代後半からであった。幸い、僕ら昭和1桁の世代までは”揺籃から墓場まで”の福祉哲学がまがりなりにも政策に反映していて、こうして何とか生活できている。やはり、頭から年金に頼らず、サラリーマンは若い時から老後に備えたほうがよい。