「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

伊勢神宮式年遷宮と昔の日本人の信仰

2013-10-01 06:46:14 | Weblog
第六十二回伊勢神宮の式年遷宮の儀式がクライマックスである。二十年に一回の内宮(皇大神宮]外宮(豊受大神宮)の正宮の正座が新しく造営される伝統ある厳粛な儀式である。記録によれば、持統天皇の御世(690年)に第一回が挙式されており、1600年もの由緒あるものだが、戦国時代の120年間と、昭和24年の遷宮は中止となっている。恐らく戦争の激化で準備ができなかったためなのか、それとも連合軍の占領下で遠慮したためなのだろうか-。

戦前の伊勢神宮、天皇家への崇拝の念は今の日本人にはとても理解できないものがあろう。たいていどこの家にも仏壇とともに神棚があり、毎月1日と15日には家の主人が両方を参拝した。神棚には、天つ神として天皇がまつられ、新聞に掲載された天皇のお写真も飾られていたものだ。戦争中小学生であった僕らは登校前、1日、15日には近くの神社を清掃した。

71年前の昭和17年の今頃、東京の国民学校6年生であった僕らは関西へ修学旅行に出かける機会に恵まれた、緒戦の勝利のご褒美だっただが、修学旅行とは呼ばず「参宮旅行」であった。4泊5泊(往復2日は車中泊)の日程で伊勢神宮、橿原神宮、春日大社、平安神宮をめぐり市電の車窓から京都御所に頭をさげて参拝した。

式年遷宮の今年、伊勢神宮は未曾有の観光客で賑わっているという。観光客で目立つのは女性の若い世代だとのことだ。いわゆる「パワー.スポット」を求めての参拝であるようだ。神宮のある伊勢市の食堂の中には予約がないと入れない店もあるという。昭和17年の参宮旅行の時、僕らは食糧難か奈良では鹿用のせんべいを買って食べた。常套句だが今は平和な好い時代である。、二度と戦争で式年遷宮が出来ないことがないよう祈りたい。