テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 女王のまなざし ~

2025-02-05 22:03:52 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 ふじさんッ、まッしろォ~でスよゥ!」

「がるる!ぐるがるる=!」(←訳:虎です!大山方面も~!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 富士山はもちろん、大山など丹沢の山肌も

 ひんやりと雪化粧……。

 大寒波よ早く去っておくれと念じつつ、

 さあ、本日の読書タイムは、こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

          ―― アガサ・クリスティー ――

 

 

 著者はルーシー・ワースリーさん、

 原著は2022年に、画像の日本語版は2023年12月に発行されました。

 英語原題は『AGATHA CHRISTIE : A Very Elusive Woman』、

 『とらえどころのないミステリの女王』と日本語副題が付されています。

 

 前回記事では、

 米国西海岸のミステリの王というべき

 レイモンド・チャンドラーさんの研究本を御紹介しましたが、

 こちらは、

 誰もが英国ミステリの女王と認める

 アガサ・クリスティーさんの伝記作品です。

 

「はいいろのォ、のうさいぼうゥ!」

「がるぐるるがるる!」(←訳:村の優しいご老人!)

 

 ベルギー生まれの名探偵エルキュール・ポワロさんと、

 のどかな村に暮らすジェーン・マープルさん。

 

 今も世界中で読まれ、

 愛されている名探偵を創出したアガサさんは、

 これもまた広く知られていることですが、

 ミステリアスな女性でした。

 

 1890年9月15日、デヴォン州トーキーに生まれ、

 1976年1月12日、ウォリングフォードの自宅にて没。

 アガサさんが生涯に著した探偵小説66冊、

 短編集14冊は、現在も版を重ね、

 映画化・ドラマ化もされていて、

 世紀をまたぐ活躍はまだまだ続きそうです。

 

「さすがァでスねッ!」

「ぐるるるるがるるる!」(←訳:それでこそ女王さま!)

 

 アガサさんは、探偵小説の他に

 『アガサ・クリスティー自伝』を著しています(1977年刊行)。

 しかし、著者・ワースリーさんは

 自伝の記述をそのまま信じることはしません。

 

 イングランド南部育ちの、

 良い家に育ち、英国的な文化を好む

 典型的な英国女性、って……本当に?

 

 そう、実は。

 アガサさんの生家は、

 父はNY生まれで両親は米国人、

 母はアイルランドのダブリンに生まれ、

 母方の祖父はドイツ人、

 一家の財産を築いたのは米国人の父方の祖父、と

 国際色豊かな家柄だったのです。

 

「おじいィさんがァ、あめりかのォひとッ?」

「がるるるっる!」(←訳:知らなかった!)

 

 また、アガサさんの”家“は、

 小説を書き始めて間もなかった頃の彼女に、

 或る幸運をもたらしました。

 

 近所に、人気作家の

 イーデン・フィルポッツさんが住んでいる!

 

「わァおォ!」

「ぐるるがっるー!」(←訳:嬉しいラッキー!)

 

 フィルポッツさんはアガサさんの作品を読み、

 その素質を見抜いたのでしょう、

 エージェントに紹介もしてくれました。

 

 ただ、この時期のアガサさんは、

 まだ”書くこと”に本気ではなかったようだと

 ワーズリーさんは推測しています。

 

 それは、裕福な階級の少女の、

 趣味の域を超えていない創作活動、

 だったのかもしれず、そして。

 

 アガサさんの幸福な少女時代に

 終わりが近付いていました。

 

「どれすにィ、ぼうしッ!」

「がるるる~!」(←訳:着飾ろう~!)

 

 美しく着飾り、社交界デビューしたアガサさん。

 何人もの求婚者が現われ、

 背が高くて魅力的な23歳の若者――

 アーチボルト・クリスティーさんと知り合い、

 1914年に結婚するものの。

 

 第一次世界大戦が始まり、アーチボルトさんは従軍、

 アガサさんも赤十字のボランティアとして病院で、

 その後、病院薬局で働き始めます。

 薬局での仕事は、忙しいときもあれば、

 ふっとヒマになるときもあって、

 そんなスキマ時間に。

 

 ついに、得たのでした。

 『スタイルズ荘の怪事件』の着想を。

 

「ようこそォ、ぽわろさんッ!」

「ぐるがるるるる!」(←訳:この現実世界へ!)

 

 いくつもの出版社から原稿を突き返されたのち、

 1920年、ようやく出版されてからは

 『秘密機関』『ゴルフ場殺人事件』『茶色の服の男』と

 次々と作品を刊行、

 1926年刊の『アクロイド殺し』によって

 アガサさんは人気作家となります。

 

 それは、傍から見れば、

 探偵小説家として上り坂の、

 充実した人生。

 

 その最中に。

 

 アガサさんは消えてしまいました。

 

「おうちにィ、いませんッ!」

「がるるるぐるるる!」(←訳:近所にもいないよ!)

 

 1926年12月3日、

 アガサさんは自宅を出たのち、行方不明となりました。

 

 11日後に、保養地のホテルで”発見”されるまで、

 彼女がどうしていたのか、

 現在でも詳細は判明していません。

 

 著者・ワースリーさんは慎重に、

 アガサさんの行動を調査し、考察してゆきます。

 失踪の理由、当時の複雑な状況、

 大騒ぎするメディア、

 家に戻ってからも

 長く影を落とすことになった出来事は、

 いったい何だったのか。

 

「ふうゥ~…ためいきィなのでス……」

「ぐるっるるるるぅ~…」(←訳:何だったのかなぁ~…)

 

 と、御本の前半部分を

 ざっとお喋りいたしましたが、

 では、『失踪者』の刻印を背負うこととなった

 アガサさんの後半生は?

 

 小説で、映画で、

 一度でもアガサさんの作品に接した経験があるのなら、

 考えずにはいられない

 《ミステリの女王》の、こころの奥底。

 

 その深淵を、

 息を呑み、圧倒されながらも、

 ミステリ好きな活字マニアさんは、

 ぜひ――ほんの少しだけでも――覗いてみてくださいね♪

 

コメント
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