喫茶 輪

コーヒーカップの耳

歌集『水の言葉』

2016-01-23 09:07:48 | 文学
大分前にお贈り頂いていた。
歌集『水の言葉』 

作者の牧野秀子さんは、わたし未知の人です。
しかし、跋文を書いておられる田岡弘子さんはよく存じ上げている。
ただし田岡さんにもお会いしたことはない。
田岡さんは、伝統ある歌誌「六甲」の現代表者。
「六甲」を毎号お贈り下さる人である。
ということでこの歌集は、田岡さんのご配慮でお送り頂いたもの。
わたし、言うに及ばず短歌は門外漢です。
なんの批評も出来ません。
ただ読ませて頂いて感想を述べるのみ。

わたし、詩集はよくお贈り頂くのだが、先ず後ろから読みます。
「あとがき」や「跋文」から。
そうして本編に進むのですが、今回、この本を読み始める時には、そうしませんでした。
短歌のことをよく知らないわたしは、なんの先入観もなく読んだ方がいいかと思ったのです。

先ず、全篇を読ませて頂いて感じたのは、この牧野さんは詩人だと思ったことです。
もしこの人が詩を書いておられたら、いい詩を書かれただろうなと。
というのも、感性が素晴らしいと思えました。自分の思いを奥に置いて見事な造形をされている。いわゆる暗喩が多用されている。優れた詩人だと感じました。

清潔感がある。透明感がある。写生がきめ細か。視線が涼やか。目を細めて、視線を凝らして対象を見つめている風情。観察眼の素晴らしさ。視点のユニークさ。そして自己への反省心も見える。客観視。
さらに上品。あくまで言葉が上品。
やはり、歌人なのですね。

470首の中から選ぶのは難しいので、初めの方に置かれている4首だけを紹介します。
わたしが気になった歌です。

「我の名と同じ名を持つ幼子が呼ばるるを聞く日暮れの街に」
「寒に入る夕べ厨に掬ふ塩こぼれて水に華のごとしも」
「言葉なき祈りの如く男らは夕空高く鉄骨を組む」
「ひたすらに羽うちてゆく鳥の群れ翳をもたざるものの静けさ」


勉強もよくしておられるようで、本当に感心しました。
もう少し詳しい感想はご本人にお手紙しようと思います。
牧野さん、ありがとうございました。
 
あ、そうだ。田岡さんの跋文の一部を紹介しておきましょう。
 ←例によって二段階クリックでどうぞ。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 宮崎翁からのお手紙 | トップ | 高島俊男先生のブログ »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

文学」カテゴリの最新記事